約束「なぁ俺らってずっと一緒におられへんよな?」
そう問われた時俺は何と返したのか。思い出せないが確かその問いを肯定したと思う。
安心きたような顔をする簓を見て自分の答えは間違っていなかったのだと俺も同じ様に安心した。その日はその後どうしたんだったか、それも思い出す事ができない。
◇◇◇◇◇
『ごめん今日行けんくなった』
暗かったスマホの画面が簓のからの通知によって明るく光る。
蒸し暑い梅雨終わりの夕暮れ。天谷奴はいつもの喫茶店で冷めた珈琲を流し込んだ。約束の時間から早二時間。昔は天谷奴が待たせる方であったというのに最近は待ちぼうける事が多くなった。待ちぼうけるだけならまだいい。しかし最近は今日の様に『行けなくなった』の一言で約束を反故にされる。
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