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    緒々葉

    @aojiso_up
    過去絵とか供養とか

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    緒々葉

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    支部にweb再録した「心伝う、想い花」の世界線スピンオフに滾った時に書いてお蔵入りな話。
    真←翔(失恋)←那の冒頭しかないプロット。
    翔那風味。
    永遠に書けないから供養!!!💦💦

    俺はまた、あいつの背中を見送った。
    今までも何度か、それはあった。
    だけど、今回はきっともう取り戻せない。
    あんなに血相変えた顔、向けられたことなんてなかったから。
    この想いを叶えようなんて考えてなかった。それでもやっぱりここまで面と向かって突き付けられると、嫌でも痛感する。
    いつか、そんな日が来ると解ってたけど。
    あいつにとって心から大切な相手が出来た時には、俺もめいっぱい喜んでやろうって。
    笑顔で見送ろうって、そう決めてたのに。
    いざそうなってみると、みっともなく足掻いてる俺がいた。

    こんだけ、長いこと一緒にいても、所詮良い同僚止まりだったってわけだ。


    「あーあ…こんな俺じゃ、聖川じゃなくても誰かに好かれる訳ねーよな」

    もう誰一人として残っていないオフィスに、投げやりな声が消えていく。
    なんとなく、帰る気力がなかった俺は、大掃除後の小綺麗な室内でぼうっと過ごしていた。

    「翔ちゃん!」
    ドアの方から、馴染みの深い中性的な声がして。
    振り向くと大柄な影が、がらっと快活な音を立てオフィスに姿を見せた。
    「ひとりでどうしたんですか?」
    「げ、那月……」

    「別に、どうもしてねーよ」
    そっぽ向く。
    「……失恋、しちゃったの?」
    (自暴自棄になる翔、那月に当たる。)「安心してください。僕は翔ちゃんが大好きですから」「那月……、こんな時までからかうなよ」「え……」「……なぁ、お前が言ってる好きって、こういうことじゃねぇだろ?」
    壁ドンか床ドンする翔。「……こういうことです。ずっと前から、僕は翔ちゃんのこと見てるんですよ」見たことない憂い顔。「……」どく。「……わりぃ」「ふふっ、そのまま襲ってくれても良かったのに」起き上がる那月「なっ、襲うかよ!」にこっ「翔ちゃん優しいね」「……どこがだよ。俺はお前の気持ちに応えられねーんだぜ」「そうやってちゃんと考えてくれるところ」「……」今までの那月と同じ風に見られなくなる。
    翔を抱きしめる那月「僕が、ぎゅってしてるから、いっぱい泣いていいですよ」毎回熱苦しいだけだったその腕の中が、初めてあったかいと思った。
    「…泣かねーよ」
    強がったはいいけど、ちょっと危なかった。
    だってさ。
    こんな情けない俺の傍で、こうして言葉をかけてくれて。
    今までさんざん、引っ付いてくるから邪険にしてたのに。
    俺は、那月が離れるまで大人しく身を委ねていた。
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