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    ひぐらし

    ひぐらし@higurashi113043
    ※作品は全て二次創作です。公式様とは一切関係ありません。

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    ひぐらし

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    4(帰り道)

    4二人で夜道を歩く。
    遠くで風車の回る音や、狼の遠吠えが聞こえる。
    そんな静かな道を、普段から無口であることが多いディルックはおろか、いつもずっと喋っているようなガイアでさえ黙って歩いた。
    二人の歩く微かな足音と、自然の音だけがその場を支配していた。

    だんだん葡萄の香りが漂ってきた。
    二人の目的地、アカツキワイナリーが見えてきた。

    あともう少しで葡萄畑にへ続く道へ入らんとする時、ディルックは急に立ち止まり、後ろにいるガイアへ声を掛けた。

    「…ガイア。今日は酒場に来てからずっと笑っていただろう?でもずっと言っているけれど、もう無理して笑わなくていいんだよ」

    ディルックは振り返り、真剣な顔付きでガイアを見る。

    「前も言ったけれど、君はもっと周りの人や僕を頼っていいんだよ」

    「…ハハッ旦那様、俺は無理して笑っているんじゃないぞ?…最近は本当に楽しいと思っているんだ。それに1ヶ月間、お前に頼りきってたじゃないか」

    ガイアはそう言ってにっこりと微笑むと、前へ駆け出した。

    「ほら、もうすぐワイナリーだ。アデリン達が待ってるぜ?」

    ディルックの前へと躍り出たガイアは、青い髪を揺らして言う。

    それはまるで、まだ何も知らなかった、幸せなあの時に戻ったようで。

    彼が笑うのなら、きっと要らぬ心配だったのだろう。
    そう思い、ガイアを追いかけようとしてディルックが一歩踏み出した瞬間、ガイアの体が突然ぐらりと傾いた。

    「!ガイアッッ!!どうしたんだ!」

    ディルックは慌てて抱き留めて、ガイアへ呼びかける。しかし、ガイア自身も自分の状況に戸惑っているようだった。

    「…あ、れ……まだ持つって言ってたくせに……」

    「すまん…少し…疲れたみたいだ…」

    ガイアはそう呟いて、ふっと意識を失ってしまった。

    「ガイア!…クソッ、なんで突然…」

    ディルックはガイアのいつもより青白くなった顔を見る。1ヶ月前ワイナリーに連れ帰った時と同じほど、いや、その時よりも顔色が悪くなっていた。
    先程酒場で彼を見た時は元気そうだったのに。
    どうして急に。やはりガイアが生きることはできないのだろうか。自分が酒場に連れていったからだろうか。大体、自分があの時動けていたら、彼は今も元気だったんじゃないか。
    頭の中で様々な思いが駆け巡る。

    「…いや、それより今は早くガイアを運ばないと」

    思いを振り払うようにかぶりを振って、ディルックはガイアを背負い、目の前に見えるワイナリーへと走り出した。

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