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    ひぐらし

    ひぐらし@higurashi113043
    ※作品は全て二次創作です。公式様とは一切関係ありません。

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    ひぐらし

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    8(ウェンティ2回目)

    8「やぁディルック、ガイアの調子はどう?」

    ヒュウ、と風の音がした。
    ディルックが音のした方を振り向くと、飲んだくれの吟遊詩人もとい風神が笑っていた。

    「…ガイアさんは長期の任務でモンドから離れているんだろう?彼の体調なんて、僕が知るわけがない」

    そう言うと、もう用事は済んだと言わんばかりに歩き出す。
    風神になら話しても良いのかもしれないとも思ったが、神はガイアの状況を良しとしない可能性もある。
    そう危惧して、何も言わずさっさと歩いていこうとするディルックの姿を見て、ウェンティは目をぱちくりと瞬かせた。

    「あーなるほどね。大丈夫、ボクは君の弟の事情を知ってるよ。やっぱり、どんどん死にそうになってるの?」

    「……知っていたのか」

    ディルックはそう、警戒心を滲ませた声を零した。
    ガイアに仇なすと言うのなら、幾ら七神であろうが、ガイアに近づかせるわけにはいかない、とウェンティを睨めつける。

    ボクは君の弟が生きることを悪いことだとは思ってないから安心して。でも……ガイアはやっぱりその道を選んだんだね……」

    神は寂しそうに、眉を下げて笑った。
    ディルックの声は、ともすれば風に攫われそうな程小さなものだったのだが、風神にはバッチリ聞えたようだ。

    「…ねぇディルック。もしも、ガイアが助かる方法をボクが知っていたとして、でもその方法はガイアが嫌っていることだったら……それでも君は、彼を生き長らえさせたい?」

    その声に、ディルックは即座に返す。

    「たとえガイアが嫌がろうと、僕はもうガイアを離さないと決めたんだ!!」

    ディルックの目の下にはくっきりと見える隈があり、もう何日も休息を取れていないことは誰の目にも明らかだ。きっと彼の体はとっくに限界を超えている。
    だが、ウェンティにそう叫んだディルックの目には、断固とした決意に燃える真っ赤な炎が揺らめいていた。

    「そっか……君の決意は受け取ったよ。それに、ボクもガイアには生きていてほしいんだ。彼もボクの大事なモンドの民だからね」

    ウェンティはそう言うと、ディルックの傍に駆け寄り、内緒話をするように小さな声で話し出す。

    「だからディルック、よく聞いてね。彼を助ける方法は___」


    ディルックの赤い目が、大きく見開かれた。
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