秀と女性P(あ、この曲いいな。MVも凝ってるし、話題になりそうじゃん。——そういえば、昨日の動画も悪くなかった。……と、さっきも見たけど最終確認、しとくか)
以前、プロデューサーに共有した動画。楽しそうな彼女になんだか気分が良くなって、ついでにと気に入っている曲を聴かせてみれば、これも好みであったらしい。間に合えばCDショップに寄ってみようか、と呟いていた。
案外趣味が合うんじゃないの、なんて、少し嬉しくなったのだ。「うちにCDあるからさ」とごく自然に口にしたのは、そのためだろう。
家を出る前に確認して、学校を出る前にも見た。そして目の前の扉を開ける前に、もう一度。どう考えてもなくなりはしないのに、何をやっているのだろうと思いはするけれど。
「おはようございます」
「ああ、おはようございます、秀さん」
「プロデューサー。ちょうどよかった、はいこれ、言ってたCD」
「ありがとうございます。あの後探してみたのですが、見つからなくて」
「貸すって言ったじゃん。ま、アンタはそうするだろうなって思ってたけど」
このアーティスト、そこまでメジャーじゃないからね。これから流行るのは間違いないけど。
言って袋を手渡すと、彼女は再び「ありがとうございます」と言葉にする。やはり、これは少し嬉しい。
「プロデューサー、手空きそう?またいい曲見つけてさ、一緒に聞こう」
だからつい、一緒にを探してしまうのだ。