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    へいほう

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    土沖+銀 記憶が一日しか持たない沖田のメモ

    #土沖
    tsuchikawa

    土沖+銀 記憶が一日しか持たない沖田のメモパラレルワールドの真選組解体後に土方と銀時が出会ったという設定


    ────
    土方と銀時は飲み友達ってわけじゃないけど居酒屋でたまに顔を合わせることがある。
    虫の好かねえやつってお互い思ってる。

    土方とはよく呑み屋で顔を合わせた。と言っても飲み友達というわけではない。通っている店はそう少なくはないのだがふらっと立ち寄った店で土方のほうが先に座っていたり、またこっちが飲んでると向こうがやってきたりといった具合だ。
    それで気が合うのならいいのだが、性格が正反対だからかそれともどこか質が似ているからか、会うたびに嫌味を投げ合い飲み比べで口論の決着をつけるような仲だった。
    尋常じゃない目つきでガンを飛ばしてくるからヤクザでもやっているんだろうと思っていたがどうもお堅い仕事についていたらしい。今はもう解散してしまった幕府のお抱え武装警察の副長をやっていたと大将から聞かされたことがある。
    会うたびに火花を散らしていたが、時間とともにお互いにそんな気力もなくなって、いけ好かねえことには変わりないが顔を合わせれば二言三言交わす程度の仲にはなった。



    知り合いから飲みの誘いがきて乗った。店はそこそこ盛況していた。

    突然がらりと戸が開き、一瞬店内の喧騒が止まった。反射的に顔を上げるとそこにはずぶ濡れの土方が立っていた。予報に反して雨が降っているようだ。いつもはきっちり前髪が下がている。目が合うとこちらにずんずんと向かってきた。いつになく殺気立っていて殴られるかと身構えたが土方が差し出したのは拳ではなく、厚みのある封筒だった。
    「なにこれ」
    「前金だ。万事屋に依頼したいことがある」
    「金積まれたって運び屋とかはやらねえぞ」
    「違法でも危険でもねえ簡単な仕事だ。礼はこの倍出す」
    うますぎる話には裏があるにきまってる。それになにより土方が俺に借りを作るようなことをするなんて考えられない。断りの言葉を言おうと開い

    「わかった」
    「明日の夜明け前、この店の前に来てくれ」
    「そんな早く起きれねえよ」
    土方の背中に声をかけた。

    目ざとい大将に溜まっていたつけの清算をせがまれたのをきっかけに、店に飲みに来ていたそば屋の店主や飲み代を借りていた客にも返済を要求される。そこへ大家も登場したもんだから、封筒には数枚しか残らなかった。

    家に帰って寝ると寝過ごしてしまいそうだから何軒か飲み歩いて封筒をすっかり空にした。夜も明けようという頃に最初の店に戻ってきて間もなく土方が現れた。先のような切迫とした様子はないものの、その顔にはいつになく疲れがにじみ出ていた。
    酒臭い銀時に眉をひそめるもそのことには何も言わずについて来いとだけ言った。

    まだ寝静まった街は静かだった。

    歩くには遠すぎる距離。しばらく歩いて古い家の前につく。
    慣れた様子で入っていく。死んだように静まりかえっている。

    狭く薄暗い部屋の真ん中に長くこんもりとした影があって誰かが寝ているんだろうと察しをつけた。土方に続いて部屋に上がる。その人物の肩の上まで布団が掛けられ、長い髪だけがぼんやりと見えた。

    「こいつの名前は沖田総悟。一日面倒を見てくれ。それが俺の依頼だ」
    「世話が必要な歳には見えねえけど」
    「怪我の後遺症で記憶が一日しか持たなくなった。日常生活に支障はない。怪我をする前にあったことは覚えているがそれ以降のことは全部忘れている。昨日あったことは一晩経った今日はなにも覚えていない」
    「記憶喪失みたいなもんか」
    「そんなところだ」
    「だれなんだ、この男」
    「もうじき起きる。夜にまた戻ってくるからあとは頼んだ」
    「お、おい」
    説明も不十分に腰をあげて出ていこうとする土方を呼び止めるも振り返らずに行ってしまった。
    「なんだってんだよ……」




    鳥の声が聞こえはじめた。やわらかな朝陽が差し込み寝顔を照らした。中性的な整った顔をまじまじと見つめているとそのまつげが小さく震えた。ゆっくりとまぶたを開いてぼおっと天井を見つめた。声をかけるまえに布団の横にいる銀時に気づいた沖田は説明を促すようにじっと見つめる。
    「えーと、その、マヨ野郎……土方にあんたの世話するように頼まれた万事屋の坂田銀時っていうんだけど」
    銀時を警戒する様子に居心地の悪さを感じた。起きるのを待たずにこの場を去ってしまった土方に心の中で舌打ちした。
    「あーと、なんか怪我して記憶がなくなったんだと」
    「怪我って?」
    寝起きのせいか少しかすれた声は想像よりも低かった。
    「俺も知らねえ」
    「ふーん。土方さんは?」
    「こっちが聞きてえよ。そのうち戻ってくるんじゃね?」
    部屋の中を見回す。
    肩から垂れる長い髪をつまんでしばらく見つめた。

    沈黙が気まずくてどうしたものかと頭をかいていると沖田という男はふたたびの布団に身を埋め、どこかからアイマスクを取り出した。
    「え?寝んの?」
    「眠いんでもう一眠りしまさァ。万事屋の旦那も適当にくつろいでてくだせェ」
    拍子抜けしてしまった。土方の言うことが本当なら沖田の記憶は長いこと空白になっているはずだ。パニックになったらどうしようかと思ってたけど案外簡単に受け入れたものだ。もう寝息を立てている。

    とはいえこちらも夜通し飲み歩いたあとだ。変なアイマスクをした憎たらしい寝顔を見てるとさっきまで張っていた気が抜けて急に眠気が襲って来た。文机のそばの座布団を折って枕にして銀時も寝ることにした。

    揺り起こされる。 
    「んあ?」
    「ちょっと旦那ァ。くつろげっては言いましたけどなに世話係がガチ寝してるんですか。あんたのいびきで起きちまいました」
    すこし横になるだけのつもりが寝入ってしまったらしい。頭がずいぶんすっきりしている。

    「腹減りやした」
    昼に近い時間だった。銀時も空腹を感じていた。冷蔵庫を覗いた。
    「冷蔵庫にマヨしか入ってねえんだけど」
    「じゃあなんか買ってきてくだせえ」
    「金ねえんだけど」
    「土方さんからもらってねえの?」
    「もらったけど使っちまった」
    「あらら。とんだ世話係ですね」

    近所の戸を叩いて野菜を分けてもらう。
    ご飯を作っていっしょに食べる。

    沖田が銀時に対して興味がなさそうだったからそれならこっちも好きになさせてもらうとくつろいでいたらそれがかえって沖田の気を惹いたみたいで話しかけてきた。
    外にでて周りの様子を見てきたりした。

    夜になって沖田が寝る前に土方がやっと来た。
    「よお、ニコチンマヨ野郎」
    銀時と沖田はすっかり打ち解けてる。ふたりで土方をからかう。


    「近藤さんはお元気ですか?」
    「ああ、元気だよ」
    「そうですか」
    沖田はそれ以上何も聞かなかったし土方も話さなかった。



    沖田が寝てから沖田のことを話す
    明日からも来てくれるように銀時に頼む


    倒幕のごたごたで幕府が治安がどんどん悪くなり、真選組が対応に追われていた時、沖田がなんかの病気を発症。一命をとりとめるものの高熱が続き脳がダメージを受け、病気の前から記憶が更新されなくなってしまう。
    その間に近藤さんは戦死。幕府の事実上崩壊して真選組もなくなってしまう。

    「治らねえのか?」
    「さあな。これまでは悪くなる一方だった」

    「これからしばらく世話を頼みたい」
    「しばらくっていつまでだよ。俺だって暇じゃねえんだ」
    「別の依頼があるのか?」
    「まあ、あるっちゃあることもないけどないこともなくはない」
    「明日も頼んだ。また来る」









    次の日、
    「おう、起きたか」
    「はあ」
    「えっと、俺のことわかるか?」
    口に出してからすこし恥ずかしくなった。本当に覚えていないなんてにわかには信じがたく、なに言ってんですか旦那、と笑い飛ばされるかと思った。
    「いやわかんねえです」
    「あーそうだよな……」
    昨夜あんなに親しく話していたのにぜんぶ忘れられている。これは精神に応える。
    しかしそれからは昨日とあまり変わらなかった。土方の名前を出すと一応安心するのかまた二度寝に就く。今度は昼飯を食いっぱぐれることがないようにと買い出しに行った。大したものは作れない。作っていると沖田が起き出してくる。

    割りのいい仕事ではある。沖田は基本ひとりでいるのが好きみたいだから銀時もジャンプ読んだりなんだり好きなことしてる。手のかかることはほとんどない。それで結構な報酬がもらえるんだからこんなに楽なことはない。
    土方には忙しくしていると言ったが正直のところ助かったと思っていた。ここのところ治安が悪くなってきてぽつぽつとあった仕事の依頼がぱったりと途絶えて家賃の支払いにあえいでいたのだ。

    面倒を見るように土方に言われていると毎朝言えと土方に伝えられる。
    毎朝同じ時間に起きる。その時にそばにいて最初に声をかけることになっている。朝起きた時に混乱している感じはしない。
    記憶がなくなっていると伝えても、はあそうですかと返事をするだけ。拍子抜けする。
    もともと感情の起伏が顔に出づらいタイプらしい。
    ただ毎朝髪が伸びていることに気づいたときにしばらく無言になる。


    土方に仕掛けるいたずらの準備する
    「玄関の前に落とし穴堀りやしょう」

    沖田が寝た後に来た土方引っかかる。土を払いながら長屋に入ってくる。

    長屋には土方の跡がいたるところにあった。
    居間にも沖田の部屋にも灰皿が置かれヤニくさい。
    小型冷蔵庫のスペースは半分以上マヨネーズが占めているのは土方が吸うためだろう。きも。

    病気のせいなんだかわからないが沖田は一度寝たら何をしても次の朝まで目を覚まさない。
    沖田が寝ている時に茶碗を落として割ってしまったことがある。大きな音を立てたにもかかわらず沖田は全く反応を示さず眠ったままだった。不審に思って揺り起こそうとするも眠ったまま。でも次の朝はちゃんと目覚めた。


    「あんた剣やるでしょ。ちょっと手合わせしてくだせえよ」
    「動いて大丈夫なのか?」
    「身体には問題ないんでしょ」

    毎日見ている剣筋だけど沖田は強かった。一番隊隊長をしていただけある。
    あまりやりたくなかったから沖田の様子を見て断ったり、銀時の気分によって応じたり

    なんとなく後ろめくて手合わせしていることは土方には黙っていたが、あるとき間のわるいことに手合わせしていると土方が訪ねてきた。苦い顔してたってた
    土方に気づいた二人は手を止める。
    沖田が土方に挨拶する

    「近藤さんは」
    「元気だよ」
    「そうですか」



    銀時は沖田が長い髪に慣れていないことに気づいていた。
    「前は短かったのか?」
    「へえ、まあ」
    聞いてから失敗したと思った。沖田にとっては知らない間に流れている時間の長さを感じさせるものだろう。しかし妙だ。土方はなんでそれを切らないでおくのだろう。
    文机の上に髪結い紐が置いてあったのを思い出した。使うか?って差し出す。
    受け取ったもののどうしたらいいかわからないようにしてる。
    「ほら、貸せよ」
    髪を結ってやる。
    人の髪を結ったのは初めてで不格好になった。手で触って出来を確認した沖田がへたくそって笑う。
    うるせえって頭はたく。


    もうだいぶ慣れてきた。毎朝リセットされるのはさみしくもあるが夜になるころには懐いてくれる。
    沖田はこっちが聞かない限り自分のことを語ることもないし銀時のことを聞くこともあまりない。世間話の延長線を続けているだけ。

    土方が来ない日もそのうちくるだろって言う。一週間一度も顔を見せないこともあった。だんだん頻度が少なくなる。だけど今日は来なかったなって毎日来てるふうに伝える。


    「俺はいつから記憶が持たなくなったんですか?」
    「五年前からだ」
    「そうですか」

    かける言葉を探していると沖田が唐突に文机をあさりだした。
    「なにやってんの」
    「たばこのフィルターにタバスコしこみやしょう」

    「旦那は明日もくるんですかィ?」
    「ああ、来るよ」
    「じゃあ俺が土方さんに同じいたずら仕掛けないように教えてくだせェ。知ってやがったらつまんねえから」




    銀時が来る前は土方が沖田のそばにいたのは明白だ。
    なぜ土方は銀時に沖田を任せたのか。二人の間に何があったのか。

    「なあ、なんで沖田を俺に任せたんだ?」

    沖田は怪我の後すぐに記憶が保てなくなったわけではない。はじめは物忘れがひどくなって徐々に記憶の間隔が短くなっていった。

    「忘れさせてやりたいんだ」

    沖田の髪はずっと近藤がきっていた。沖田は近藤の身に何かあったということをずっと知っていた。

    沖田は毎朝起きて自分の髪の長さを見て流れた時の長さと近藤の身に訪れた不幸を知るんだろう。沖田の朝は絶望に満ちている。
    沖田は近藤がもういないことを知りながら近藤が元気かと土方に聞き、土方は沖田がその答えを知っていると知りながら嘘をつく。沖田の髪だけが残酷な真実を物語っている。

    いっそすべての記憶をなくしたなら沖田は過去にとらわれることもないのに。


    土方は沖田の髪を切ろうとしたことがあっただろうか。もしあったとしたら沖田はそれを受け入れるだろうか。きっとひどく抵抗しただろう。柱の刀傷を思い出した。

    「近藤さんを護れなかった俺と土方さんに与えられた罰なのかもしれねえなぁ」
    なにも言えなかった。
    銀時もそういうやるせなさは知っているから。
    「かわいそうな土方さん」
    涙声に聞こえたような気がした。

    土方が銀時に沖田を任せた理由が分かった気がした。
    土方の思い通りになるのはしゃくだがそれは沖田の願いでもある。

    文机の上にあった鋏を手に取った。
    耳にすこし髪がかかるくらいの長さにまで切った。

    髪が短くなった分若干体重も軽くなったような気がする。
    眠ったままの沖田をおぶる。門のところで土方が煙草を吸っていた。
    「切ったのか」
    「もう必要ねえだろ」
    「そうだな」
    タバコの煙を振り払うように立ち去った。
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    へいほう

    MEMO書きかけのメモですがかわいいのであげました〜5年くらい前に書いてたやつ
    【銀沖+土】SMプレイを土に見られた銀沖今日は待ちに待ったSMプレイの日。銀時は沖田が万事屋の戸を叩くのを今か今かと待ちわびていた。

    銀時が沖田と団子屋の話し相手以上の関係になってから
    身体を交えた回数は片手で余るが両手に足りる程度。
    なし崩しのように始まった。

    身体をつなげるようになってからしばらくしたころ、お気に入りのAV談義をしていた流れでSMについて沖田と話したことがあった。
    「旦那はSMプレイしたことありやすか?」
    「まあ、一応」
    まさかイジメてもらって方だったなんてわざわざ沖田に打ち明ける必要はない。

    「へえ、じゃあ俺ともやってみます?」
    「S同士じゃ成り立たねえだろ。おまえM役やってくれんの?」
    「Sならよろこんで」

     事後のゆるくとりとめのない会話はすぐに忘れてしまっていたと思っていたが銀時の無意識はしっかりと覚えていたらしい。それからしばらくして沖田と会う約束をしていた連れ込み宿で待ちぼうけを食らったことがあった。ひさびさの逢瀬に浮ついて沖田を乱す手順を頭の中で繰り返していたが当の本人はいつまで経っても現れなかった。誘ってきたのは向こうなんだし、まさか忘れたわけではあるまい。大方急な仕事でも入ったのだろう。このまま帰るのも癪だし、と宿のテレビに流れていた好みでないシチュエーションのAVで抜き、いちゃつくカップルを横目にいつもは沖田持ちの宿代を払った。案の定急な仕事が入って連絡する暇もなかったと後日沖田から釈明があったが、仕事なら仕方ないとわかっていたものの心も懐も寒くなっていたから電話越しの沖田に銀時の不機嫌は伝わってしまったらしい。埋め合わせはしますから、と珍しく殊勝なことを言わせてしまった。
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