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    スドウ

    @mkmk_poipoi

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    スドウ

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    【オデ銀】戻ってきたオーディーンと主がいちゃついとる。白銀の話で盛り上がっている今が再録時です!

    【オデ銀】機械たちの午後 純白の世界に包み込まれながら、久しくまみえた自分の主の顔をこっそりと覗き見る。
     主である人間は、肩にちょこんと座り、それはそれは幸せそうにアルティメット・オーディーンの鋼鉄の身体へとその身を寄せていた。
     別離の哀しみを少しでも埋めるかのように、白銀のゼロは相棒であるアルティメットの傍らから片時も離れまいとしている。
     流れ星によって奪い去られたアルティメット・オーディーンも、主の傍に居られないのはとても「心苦しく」、「身を裂かれる思い」をしたのだから、その行動はとてもよく分かる。確かに自分も「喜び」を覚えている。だが、ずっとこの状況に置くというのも少々甘やかし過ぎだろうか。
     瞳を閉じ、安寧に包まれている白銀の美しい髪が、さらりと雪風に揺れる。この雪結晶の世界では、この小さく真っ白な身体はすぐに霞んで見失ってしまう事だろう。
     自分が不在の中、アルティメット・ジークフリーデンが彼の傍に居てくれたのだろうが、やはりお前が居ないと駄目だ、と涙に濡れた瞳で主は呟いてくれた。その濡れそぼった柔らかな頬を撫でたいと指を伸ばすも、躊躇してしまった事をこれ程「後悔する」とは思わなかった。気高く美しいが、雪結晶のように何処か儚ささえ感じさせてしまう彼に、自分が触れたら壊してしまいそうだったから。
     他のゼロの前では、無事帰還したか息災であったか、と凛とした声で自分の名を呼んでいた。しかし白の世界へ舞い戻った時には、彼は今にも崩れ落ちそうに身体を震わせて、自分に縋りついてきた。また相まみえた、と涙を零し、そして愛おしげにこの鋼鉄の身体を撫でて。そんな白銀を見るのは初めてで、さすがに驚いてしまった。それ程までに、彼は追い詰められていたのかと。
     自我を持つものの所詮は機械でしかないこの自分を、種族すら違うこの自分を、彼は愛を宿した瞳で見上げてくれる。とろりと蕩けた瞳が青いバイザー越しに、長く待ち望んでいたアルティメットを求めて揺らめいていた。
     それが何を意味するかは、鉄くずの自分にはよく分からなかった。それでも彼の期待に応えたいと、冷たい身体が熱くなるのを、確かに感じた。
    「オーディーン……」
     すり、と頬に小さな身体が擦り合わされる。
     結局、あの時は恐れから彼に触れる事はなかったが、今のように白銀からの接触が多くなった。冷たさの中に燃える闘志を宿す常の時と比べ、埋め火のように炎の勢いを無くした覇気なく甘やかな声音で囁きを零す。
     青がお前を邪魔するから、と目元を覆っているバイザーも今は取り去られていた。それは自分も同じように感じていた。銀色に輝く綺麗な瞳を、バイザーが邪魔をしてしまうのを「煩わしい」と思っていた。ブルーに染められた瞳も良いが、やはりこうして彼の素顔を見ていたい。
    「オーディーン、やはりお前の傍にいる方が落ち着く」
    「ジークフリーデンが聞いたら嫉妬する」
    「だが、今はお前とこの時を共有していたい」
     涙を零しながら溶けていく氷のように、甘さと切なさを感じさせる声音。
     鉄の頬に、白銀の柔い身体が更に押し付けられた。嬉しそうに、もういっその事一つになりたいとでも云うように。だが、この身体には何の感触も伝わってこない。それは彼も分かっている筈だ。それでも傍らに居ずにいられないと、白銀はただただアルティメット・オーディーンと共に雪風に髪を靡かせている。
    「……主よ」
    「何だ」
     他のゼロが聞いたら笑われるか驚愕されるか、すっかり表情を綻ばせた白銀がアルティメット・オーディーンの瞳を見つめ返してくる。まるで紫電や閃光を思わせるような、儚さと輝きを兼ね備えた微笑みだ。各々、別のアルティメットの力を受けているとはいえ、同じ人間から生まれ出た存在なのだから、その面影を見てしまうのは当たり前なのだが。
    「いや、呼んだだけだ」
    「……そうか」
     くすり、と笑い、白銀はアルティメット・オーディーンの頬を撫でて、もう一度身体を冷たい機械へと寄せた。
     幸福感に包み込まれ目元を赤く染める姿は、「可愛らしい」という言葉が当て嵌まるのだろう。やはり、自分にはよく分からない感覚である。
     寒くないか、と問えば、このままが良い、と彼は答える。しかし薔薇色だった頬が、段々と白く透き通っていく事に少し「不安」を覚えてしまう。このままではまた、白銀が凍えて辛い思いをする。自分と離れていた時と同じように。
    「……オーディーン?」
     慎重に慎重を重ねて、細かい修正を加えながら、主へと指を伸ばす。指一本だけで白銀以上の大きさはある、巨大な掌。一歩間違えれば、捻り潰してしまいそうだ。出来るだけゆっくりと彼の頭に触れ、そして数ミリ浮かせながら髪の上に指を滑らせる。驚きに白銀の瞳が見開かれるが、それはすぐに細められて唇に弧が描かれた。
     指のジョイントの部分に極細の髪が引っかかり、くんと白銀の首が傾いて思わず手を引こうとしてしまう。しかし、その手に自分の指を絡ませて白銀は引き留める。首を振って自分のアルティメットを制してから、ぷつんと抜けてしまった髪をジョイントから取り去ってくれた。これで良い、と呟いて、彼はもう一度相棒へと無防備に身体を差し出してくる。
    「もっと、我に触れてくれ」
    「だが……」
    「我は寵愛するに値しないか」
    「そういうわけでは……」
     それならば、と白銀は機械の手を取る。米粒と例えても良い位に、自分より遥かに小さく細い指に誘導され、アルティメット・オーディーンは白銀の頬へ触れた。ぷくりとした頬が、指に押されて軽く凹む。
    「こうしていてくれ、次の出撃の時まで。これは命令だ」
    「……主の命令とあらば」
     腕と指をそのままの状態でロックする。こういう時、機械の身体というのはとても便利だ。
     その音を聞いて、白銀はうっとりと笑う。指に自分の腕を絡め、頬や胸、腰――全身で抱き付いてきた。冷え切った身体中を、じんわりと熱くなったオイルが駆け巡っていく。
    「オーディーン……、これからは共に……」
     指先に、ぷっくりとした唇が押し付けられた。その口付けを受け、アルティメット・オーディーンは少し「残念」に感じてしまう。その唇の感触を感じられない、この身の何とも疎ましい事か……。それでも白銀は、この姿を好ましいと言ってくれる。
     複雑に蠢く疑問符のせいで、無限ループした末にショートしてしまいそうだ。巡ったままの思考に強制終了をかけて、アルティメット・オーディーンは白銀の唇から伝わってくる愛を、何を言うでもなくただ黙って受け入れ続けていた。


    2014.08.10
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