ありがとうの音を込めて 人工的な闇に包まれ、人工的な光に照らされている電子の世界、サイバーワールド。その世界の内の一つの土地、サイバーフィールドの一角に一際目立つ店が経っている。三人組の音楽ユニット、スイート・キャップ・ケーキのジャンクショップだ。普段は店内から騒音や賑やかな会話、惹き込まれる音楽等が聴こえるが今はそれらも大人しい。その静けさを象徴するのは、照明に照らされた制作室に籠って何やら作業しているスイートとキャップの姿だ。スイートはパソコンと向き合って打ち込み、キャップは床に座って箱型の物体に色を付けている。然程大きくもないキーボードのタイピングと無地の茶色い箱を彩る為に絵の具で塗る筆の音は、操作している者が沈黙を貫いていることもあり室内でハッキリと響き渡る。
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