現パロ デフアロその掌の温もりは確かにあった。
「デーフロット!」
「お前…まだその河童着てんのかよ、もう雨は上がったんだからいい加減に脱げよな」
「カエルさんは格好良いから大丈夫なんだよ!」
「答えになってねぇし…」
差し出された手を握りながら、他愛ない話をしながら家路につく。
それがどれ程かけがえのないものだったかを今更ながらに懐かしく思う。
年齢の差は如何ともしがたく、成長するにつれてお互いの生活範囲がすれ違って挨拶することも儘ならない現状にいい加減嫌気がさしてきたところだ。
かつて差し出された手は既に無いけれど。…ならば己自らが掴めば良いのだ。
あの頃から変わらない蒼の紫陽花色の傘を持つ人の背を追いかける。カエルのレインコートは無いけれど…ちゃんと振り返ってくれるよな?勇気を出して一歩を踏み出す。
「デーフロット!」
かけ声に振り返るその人の顔は、あの頃と同じで…少し違った感情を見せて応えてくれた。
「 」
それは雨上がりの虹が見せてくれた素敵なお話。