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    とわこ

    @towako71

    レツゴ(主にエリシュミ、シュミ右)とかレツゴストDKとか

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    とわこ

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    2022年シュミット誕②
    過去と現在のエリシュミ

    ある日、幼いシュミットは世話係から、こんな話を聞いた。運命の相手とは、赤い糸で結ばれているものなのですよ、と。
    それでシュミットは自分の指をまじまじと見てみた。
    何も無い。
    身体中、くまなく探してみたけれど、シュミットの身体から糸など出ていなかった。
    そしてシュミットは、自分は一生ひとりで生きていかねばならないのか、と悲しくなり、ベッドにうつ伏せて泣いてしまった。
    それをシュミットの世話係から聞いたエーリッヒはひどく驚いてショックを受けた。
    シュミットが、一生ひとりぼっちだなんて、有り得ないと思った。
    だってエーリッヒは、一生シュミットの隣に居るつもりでいたからだ。
    運命の相手、とは何なのか、同じく幼いエーリッヒにはまだよく分からない。
    しかしシュミットが泣いているのも寂しい思いをするのも、エーリッヒには耐えられない。
    「どうしたら、シュミットのうんめいのひとになれますか」
    エーリッヒは大人に訊いてみた。
    誰に聞いても、「運命っていうのは、人間がどうこうできないものなんだよ」と、エーリッヒにはよく分からない返事が返ってきた。
    ただ、シュミットの世話係からは、シュミットが聞いたのと同じ話を──運命の相手とは、赤い糸で結ばれているものだと、教えて貰えた。
    「あかい、いと」
    エーリッヒは何度も呟いた。
    そしてすぐに、裁縫箱をひっくり返して、赤い刺繍糸を見つけ出すと、それを持って、シュミットの元へ走った。
    「シュミット。てをだして」
    言われたシュミットは、首を傾げながら小さな手をエーリッヒに差し出す。
    「どうした、エーリッヒ」
    「ぼくとシュミットを、むすびましょう」
    エーリッヒはシュミットの指に、刺繍糸を器用に結んだ。
    シュミットは目を零れそうな程大きく見開き、それからエーリッヒを見た。
    「エーリッヒと、あかいいとでむすばれるのか?」
    「そうですよ。ぼくじゃいやですか?」
    エーリッヒは、少し緊張して訊く。
    シュミットははにかんで、
    「エーリッヒがいい」
    と答えた。
    それでエーリッヒは、一大決心をして、刺繍糸の反対側を自分の指にぐるぐる巻き付ける。
    「ほら。これでぼくたちは、ずっといっしょですよ」
    シュミットは、こくりと頷き、晴れやかに笑った。

    それから、三十年は経っただろうか。
    シュミットとエーリッヒの左手薬指には、同じ指輪が煌めいている。
    かなり昔、エーリッヒがシュミットの誕生日に贈ったものだ。
    酷く緊張して、「僕の人生をあなたに捧げます」と。
    「あの時が初めてのプロポーズだったな」
    少し酒に酔いながら、シュミットは自分の指輪を愛しげに撫でた。
    「違いますよ。指輪より前に、赤い糸を贈ったことがありますよ。初めてのプロポーズはそれです」
    忘れたんですか?とエーリッヒは悪戯な表情で訊ねる。
    「ああ、そうか。あの糸もプロポーズだな、そう言えば。忘れていないさ、嬉しかったからな」
    シュミットは目を細めて、
    「お前は幼い頃から何度も何度もプロポーズしてきたな」
    と言った。
    「そうですね。ことある事に、あなたに告白して、将来を誓ってましたね」
    エーリッヒはシュミットの美しい横顔を見つめ、そっとシュミットの手に手を重ねる。
    「いつだって、あなたの返事はJaでしたね」
    「当然だろう?私はお前の事が大好きだったんだから」
    「今は?」
    「……好きさ。じゃなければ、こんな生活していないよ」
    あの時、エーリッヒが誓った通り、ふたりはずっと一緒だった。
    同じ学校に進学し、実家を出る時もふたりでルームシェアをし、それから恋人として付き合うようになって、途切れずずっと一緒に暮らしている。
    「……ああ、日付が変わりますね」
    エーリッヒは時計を見ながら呟いた。
    カチリ、時計の針が頂点を指す。
    「お誕生日おめでとうございます、シュミット」
    エーリッヒは、シュミットの手を取り、指輪に恭しく口付けた。
    「ありがとう、エーリッヒ。今年もお前が一番に祝ってくれて嬉しいよ」
    シュミットはひどく満ち足りた顔をして微笑んだ。
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