話があるから来いと、傲慢不羈の男の背中を追いかけて着いた先は滞在中の宿。
お帰りなさいと挨拶をしてくれた宿の主人には目もくれず、男はさっさとカウンターを横切って客室へと向かっていく。
その態度はないだろ!と心中で憤慨しながら、代わりにスバルが低姿勢で主人から部屋の鍵を受けとり男の後を追った。
さっさと開けろと威圧してくるその眼を睨み、凡人なら恐怖するそれも男には効かない。
早々に諦めて凶悪顔を解いたスバルは、扉に鍵を差し込みドアノブを回す。
男が部屋に先に入り、あとに続いたスバルはしかし突然肩を勢いよく掴まれ、体を扉に縫い付けられた。
堅い木製が背中に当たり、出かけた文句は男の口腔に消えていく。
「ん!?んんーー!!」
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