Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    9cc5e6ea930a

    ばじふゆばじ/たいみつ/はちみつ

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    9cc5e6ea930a

    ☆quiet follow

    大人になった みつや、たいじゅ、ゆずは、はっかい で、初めてのディナーをする話①
    しば兄弟の可能性を祈ってます。
    ※たいみつを含みます。
    ※デザイナー、モデル軸の現代+オーナー設定です。
    ※しば母捏造してます。

    白のプレリュード①「すげぇ……」
     天井から床まで、ゆうに五メートルは超える巨大な水槽。
     その圧倒的な迫力に、八戒は思わずそんな声を漏らした。
    「サメまでいるじゃん……」
     品の良いインテリアの並ぶレストランの中心で、悠々と泳ぐ数匹のサメと、色とりどりの魚たち。
     パッと見ただけでもハイランクの店だと分かる内装だというのに、水生生物の選択だけは理解ができず、八戒は渋い顔をする。
    「サメを選んじゃうところが面白いよな」
     そんな八戒とは対照的に、隣の三ツ谷は楽しそうに笑っていた。
    「えぇ……。タカちゃん、什器とか選ぶの手伝ったんでしょ? サメ選ぶのなんで止めなかったの?」
    「なんで? 個性があって面白いじゃん。それに大寿くんとちょっと似てる感じしねぇ?」
    「まぁ、凶暴そうなところは似てるけど……」
    「それが、サメって殆どが大人しい性格なんだってさ。攻撃されたりしない限り、自分から危害加える事もないらしいし。大寿くんも見た目は怖ぇけど、普段は結構静かで」
    「三ツ谷」
     楽しそうに話していた三ツ谷の言葉を、低い声が遮る。
    「ん? どうしたの、大寿くん」
     眉間に皺を寄せたしかめっ面には、それ以上喋るなとありありと書かれているというのに、素知らぬ顔で聞き返す三ツ谷に、八戒は思わず顔を引きつらせた。
    恐る恐る大寿の方に視線を移せば、より深くなっている眉間の皺に、思わず背筋が伸びてしまう。
    「お前……」
     唸るような大寿の重低音が響けば、八戒の身体は反射的に強張っていた。
     けれど凍りつく八戒とは裏腹に、当の三ツ谷はのんびりとした様子で大寿に返事をする。
    「ん? あ、もしかしてドレスコード間違ってる?」
     言いながら、どこかおかしい場所はないかと、三ツ谷は手製のスーツを確認する。
    「多少遊び心は加えてあるけど、ちゃんとフォーマルではあるはず……」
     結局どこか思い当たる節もなく、三ツ谷は大寿の方を伺いみた。
    「……問題ねぇよ」
     苦虫でも噛み締めたような表情で、大寿が絞り出す。
    「ならよかった」
     そう微笑む三ツ谷から、どこかバツが悪そうに顔を逸らした。
    「……さっさとしろ」
     大寿がそう言いながら顎で奥を指す。
     それを見た三ツ谷は、八戒と柚葉に振り向いてニコリと笑った。
    「やったな。オーナーが直々に、オープン前の店内を案内してくれるってさ」
     疎ましそうに顔を顰める大寿をよそに、三ツ谷は殊更楽しそうな顔をした。
     そんな対極的な二人がレストランホールに歩いていくのを見ながら、八戒は隣にいる柚葉に、ひそひそと耳打ちする。
    「……柚葉、……タカちゃんって、心臓強くない?」
    「あんた、今頃気付いたの?」
     柚葉はしれっと答えると、白の刺繍が入ったブルーグレーのロングドレスを波のように揺らしながら、八戒の脇をすたすたと通り過ぎていく。
    「え……、って、ちょっと待ってよ柚葉!」
     一人エントランスに取り残された八戒は、柚葉の言葉を十分に理解できないまま、慌てて後を追いかける。
     四回目となる三ツ谷と柴兄弟の会食は、今までで一番騒がしい始まりだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💕❤😭😭💞💞👏👏😍😍☺☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    9cc5e6ea930a

    SPUR ME大人になった みつや、たいじゅ、ゆずは、はっかい で、初めてのディナーをする話④
    しば兄弟の可能性を祈ってます。
    ※たい みつ を含みます。
    ※デザイナー、モデル軸の現代+オーナー設定です。
    ※しば母捏造してます。
    白のプレリュード④ side - 柴 大寿「ま、待ってよ、兄貴……」
     そんな八戒の声が聞こえた瞬間、大寿は思わず息を呑んだ。
     三ツ谷に唆され行くぞとは言ったものの、ついて来ない可能性も、十分にあると思っていたからだ。
    「早くしろ」
     動揺を悟られぬよう、極めて冷静に返しながらも、自然と大寿の歩く速度は落ちていた。
     ほどなくして追いついた八戒を連れ、大寿はワインセラーへと案内する。その少し後ろを歩きながら、八戒はチラリと兄の様子を伺った。
     ただ淡々と先を進む姿には、なんの打算も感情も見て取れない。笑うでも怒るでもない様子は、むしろ何を考えいるのか分からず、八戒はかえって不安になる。とはいえ訪ねる勇気もなかった。
     なにせ大寿と再び会うようになってからは、いつも三ツ谷が一緒にいたため、二人きりになるのは初めてなのだ。三ツ谷がいたからこそ言葉を交わせていたが、そのサポートがない今、一体何を話せばいいのか分からない。取っ掛りすら思い浮かばず、八戒は閉口するしかなかった。
    4835

    recommended works