9/11 うさぎ 寝物語はいつだって胡乱だ。
窓の障子を開けたまま、夜空を見上げて寝ることにした。窓から月が見える方角に枕を決めて横たわる。長谷部が頭を持ち上げて後頭部の髪を撫で付けると、長谷部の首を支えるように燭台切の二の腕が差し込まれた。あとはもう据え直さずとも自然と心地の良い具合に納まる。
途中で解いて別の姿勢になることもあるけれど、結局これが一番落ち着くのかお互い無意識にこの体勢に帰ってくる。もう何年もずっと。
星を数えていたら、いつしか月の話になった。うさぎの話。月うさぎの伝説。
「そんなのあったな。もう忘れたけど」
「じゃあお話してあげるよ。昔々あるところに、うさぎさんとときつねさんとおさるさんが」
「やめろその語り口」
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