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    tsunati

    @tsunati

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    文字書きの端くれ。ほぼ腐向けを生産。
    支部に上げる前に書き散らしたかったりプロット置き場。
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    tsunati

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    ヒバニキはスタバのカスタム詠唱出来そうよね、って幻覚です。
    現パロヒバハン♂です。

    #ヒバハン♂
    #現パロ
    parodyingTheReality

    慣れれば詠唱出来ますよ! それなりの頻度で来店してくれるイケメン…店員の間で兄貴と呼ばれているお客様が今日も来店してくれた。兄貴は大人の余裕たっぷりで、でもちょっとヤンチャしてそうなオトナの男、という感じでいかにも兄貴肌、と思われるのでいつの間にか『兄貴』で定着していた。一人で来るのが常なのだが、今日は連れが居る。珍しい、と思わず観察してしまった。だってこんな綺麗な男の子…男の子?でいいんだよな?を間近に見るのは初めてだ。美人くんは左右で瞳の色が違うように見えるが、それを気にしてか前髪を垂らしていてハッキリしないが、声を聞く限り男の子でよさそうだ。銀髪というのだろうか、白髪とは違う光沢のある長い髪をハーフアップにした美人くんは恐らくこのタイプのコーヒーショップが初めてなのだろう、不安そうに兄貴に話し掛けては笑われている。気持ちはよくわかる、勤める前の自分もそうだった。
    「決まったな?」
    「え、ああうん、大丈夫」
     ちょうどカウンターから人が居なくなった頃、兄貴が先に注文を通す。そのまま美人くんの分も頼むかと思ったら、意地悪な笑みでもって振り向いて促すので、可哀想な程慌ててしまっている。
    「ゆっくりで大丈夫ですよ」
    「す、すみません…」
      本当に慌てなくて大丈夫です、身に覚えがあるので。
     これで、とメニューを指差した美人くんに親近感を覚えながら注文を繰り返すと、美人くんは頷いたが兄貴が待ったを掛けた。
    「こいつの、カスタム頼むわ」
     え、と振り仰ぐ美人くんを見ないままカスタム詠唱を終える兄貴。
    「以上でよろしいでしょうか?」
    「あ、あとこれも一緒に」
    「かしこまりました。他には何かございますか?」
    「いや、以上で」
    「ありがとうございます。ではお会計こちらになります。ドリンクはあちらのカウンターでお受け取り下さい」
     ドリンクを用意しながら兄貴と美人くんの会話に耳をそばだてる。というのも、兄貴は普段クッキーもカスタムも頼まない。つまりそれらは美人くんの為なのだ。
    「…ありがと。覚えててくれんだ」
    「初回サービスってヤツだよ。次からは自分で頼みな」
    「うぐ…それが出来れば苦労しないよ」
    「しかし意外だなァ。お前カスタムすんなり言えそうなのに」
    「……悪かったね見かけ倒しで」
    「ンなこた言ってねェよ。ただこういうのは若いのが得意だと思ってたんだ」
    「若いとかってより慣れって感じだと思うけど。ヒバサにぃは慣れてるから言えたんでしょ」
    「まァな。んじゃお前が慣れるまで通うか?」
    「んぐぅ……」
     ほう、兄貴はヒバサというのか、いいことを聞いた。ヒバサ兄貴美人くんの為に詠唱覚えてたんですかそうですか。
    「お待たせいたしました」
     兄貴にはホットのコーヒー、美人くんにはカスタムしたフラペチーノを渡し、間違いが無いか確認してさよならだ。ああ、今回も貴重な心の潤いをありがとうございます。
    「…あれ、これメッセージ?」
    「お、何て?」
     気付いてもらえたようで何より。
    「ハハッ、やっぱ通わないとなァ?」
    「うぐ……ヒバサにぃの奢りなら」
    「いいぜ、それくらいお安い御用だ」
     仲良しなんだなぁ、とほっこりした気分のまま休憩室に引っ込んで、ライングループに兄貴来店報告を入れておいた。



     あれから兄貴とエルサくんはほぼ毎回一緒に来店してくれる。美人くん改めエルサくんの名は、ジャックフロストかエルサかで争った結果、ジャックフロストはヒーホーくんしか認めない!とアトラス勢が断固として反対したので無事にエルサくんで決定した。ペルソナかメガテンかはまた別の宗教戦争になってしまうので放っておく。
    「ご注文お決まりですか?」
     営業だけじゃないスマイルを提供しながら問うと、兄貴はいつも通りシンプルなホットコーヒー、エルサくんはたどたどしくカスタム詠唱した季節のフラペチーノを頼んだ。今日は珍しく焼き菓子を二つ買ってくれたが、聞き耳を立てた会話によるとこれから食べるつもりらしい。夕飯前に元気な胃袋だなぁ、なんて思いながらドリンクを渡すと、気になる言葉が聞こえてきた。
    「これから体力使うからなァ?」
     エルサくんが真っ赤になって兄貴を叩いているが、どういうことなんです?
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    consacrer au sort d’une journée enneigée

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    子猫と蝶のヴァリアシオン


    「と、言うわけで、こちらが完成したお品でございます」

    小さな白い紙袋を両手でうやうやしく差し出しながら、ラズの向かいに座った男は頭を垂れた。
    作家先生ご自宅のリビング、十四時半、打ち合わせ。
    作家先生、こと、ラズルーカはただでさえ寄り気味の眉根をぐっと近づけて不快感をあらわにした。

    「そういう茶番は要らない」

    本を渡すくらい普通にやれ、と、差し出された紙袋をぱっと奪い取る。男は、空中に浮いたまま所在なくなった手をにぎにぎと開け閉じしながら、さも悲しげな様子でため息をついた。

    「つれないなぁ、ラズ先生は」
    「シリュウは喧しい」

    シリュウ、と呼ばれた青年は、心外だと言わんばかりに片眉をひょいとあげ、先生ひどい、と文句を垂れる。が、ラズは知らん顔だ。聞こえていないのか聞こえていないことにしているのか、不機嫌そうな顔のまま紙袋の中身を検めはじめる。
    紙袋の中身は小さな絵本だ。ラズはその一ページずつを、端々までを丁寧に目を通していく。
    まったく相手にされないだけでなく、真面目に仕事を始めてしまった作家先生を前に、シリュウはやれやれとため息をついた。

    ラズ 6285