八月八日のわがままスマホの画面を確認してロナルドは小さくため息をついた。
「やっぱり今日中には帰れねぇよなあ。」
こぼしつつ周りを見回すが、住宅街どころか民家一軒見えない山の中でロナルドは1人退治仕事終えたところだ。
最後に散布した吸血鬼避けの薬が浸透しているのを確認して完了の連絡を送る。もう夜も遅く相手方から返信があるのは朝になってからだろう。
今日は八月八日。ロナルドの誕生日も残り一時間程で終わりを迎える。
「まぁわかってたけどな!」
誕生日にひとりで過ごすのは初めてではない。
子供の頃なら滅多になかったけれど。ひとりで事務所を開いた年はそれどころではなかったし、それこそ妹からのおめでとうの連絡で思い出した位だったのだ。
ただ、ここ数年は家でのイベントとして楽しく過ごした方が多かったから、久しぶりの事ではあった。
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