兄者の手紙。続きの続きの続き「
俺を迎えてくださった髭切様は、とても自分に厳しい方だった。
常に気高く美しく、強い惣領刀として見られることを是として振る舞われていた。
畏れをまとい、他の本丸の髭切様より気迫に満ちたお姿。
俺はそんな髭切様が好きで好きで、自分もその高みを目指そう、気高く美しく強く、源氏の矜持をしっかりと持ち、刀剣の神たろうとするあの兄者に、追いつき、並びたち、支え、共に歩める存在になろう、と、強く思っていた。
そして、時折ふと見せる、ただ一振りの刀剣男士、のお顔が、何よりも好きだった。
あるとき、俺がそのことを話したら、
そうかい?ありがとう、嬉しいよ。と仰って。
そして、
居なくなってしまわれた。
兄者、兄者はお分かりになるか?
あの方の胸の内が。
二振一具、一対の刀、ふたりでひとつ、
…だが、我らは別個体だ。
数多の自分ですら個体差があるのだから、別の刀剣ではもっと大きいだろう。
加えて我ら兄弟は、長く、永くながいながい時間を、月日を、気が遠くなるほどの年月を、遠く遠く分かれて過ごしてきた。
だから、兄者と俺の、あの髭切様とこの個体の俺の歩む道が交わらなかったとしても、、
しても、、、
兄者、兄者はお分かりになるか?
この俺の胸の内が。
」