あーんあーんと子供が泣いている声がした。
あたりは薄暗くもう5時を過ぎている。変質者に何かされているのかと慌てて公園に飛び込んだら、しゃがみこんでる少年の横で見覚えのある女の子たちが泣いていた。
「ルナちゃんマナちゃん…?
ってことは」
具合が悪そうにベンチのわきでしゃがんでいるのは三ツ谷だった。
「どうしたんすか三ツ谷君!?
って熱…!?」
上気した頬に荒い息。明らかに高熱が出ている。
妹たちは具合が悪そうな兄に対して何もできず、うろたえて泣いていたようだった。
日頃から面倒見がよく家事の一切を任されていると聞く。つまり本人が具合が悪い時、頼る相手がいない。
「三ツ谷君、立てそうっスか?
家まで肩貸します」
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