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    doen2525

    ネタのメモやらチラシの裏レベルのらくがきやらの避難場所

    ☆quiet follow
    POIPOI 117

    doen2525

    ☆quiet follow

    遠征から戻った国広は本丸内が少しバタついていることに気付いた。通りがかった燭台切に「何かあったのか」と聞けば「長義くんが倒れてしまって」と言われてしまい動揺してしまう。
    「大丈夫なのか?」
    「朝から具合が悪かったみたいでね。ただの風邪みたい。今部屋で寝ているよ」
    「そうか……」
    「薬研くんが薬を調合してくれているから、僕はお粥を作ろうと思って……そうだ、国広くん、長義くんの傍にいてあげてくれない?」
    「え?俺が?」
    「体調が悪いときって人肌恋しくなるって言うし」
    「でも……俺は……」
    「お粥と薬が用意出来たら持って行くから。よろしくね」
    「ええ…」
    部屋に戻って着替えた国広は恐る恐る長義の部屋を訪れる。そっと障子を開けると長義は眠っていた。そっと枕元に近付きしゃがみこむ。
    (顔が赤い。熱があるのか)
    普段とは違う幼い寝顔に見惚れていると、不意に長義の腕が伸びてきた。


    「ほんかぁ!」
    「またお前は勝手に俺の布を被って……そんなことをしているから転ぶんだよ」
    「だって……ほんかのぬの……」
    「お前は俺の写しのくせに泣き虫だね。泣き虫の写しなのかな?」
    「ちがう!」
    「俺の写しなら泣き止め」
    「ぐず……」
    「ん?お前、何持って…花?」
    「あ!そう、おはな!きれいなおはな!ほんかといっしょ!」
    「青い綺麗な花だね。摘んできてくれたのかな?」
    「ん!ほんかにあげる!」
    「そう、ありがとう」


    懐かしい夢だった。ふと目を開けると目の前に国広がいる。熱のせいで頭が回らない長義はふと腕を伸ばし国広の布を掴んだ。
    「くにひろ、またお前は俺の布を被って……」
    「……え」
    「……」
    「や、山姥切…?」
    国広の布を掴みながら長義は再び目を閉じた。布を掴んだまま離してくれない。どうしようとオロオロしているとき、そっと障子が開いて燭台切が顔をのぞかせた。
    「国広くん、長義くんの様子は……」
    「あ……」
    「仲良しだね」
    「た、助けてくれ燭台切…」
    「お粥とお薬置いておくから、長義君が目を覚ましたら食べさせてあげてね」
    「ま、待って、助けてくれ!」
    一振り残された国広は恐る恐る長義に向き直る。すやすやと眠っている長義の顔色が少しだけ良くなったような気がした。
    (は…早く起きてくれ……!)
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    doen2525

    DOODLE100%捏造設定。モブ職員さんいますし喋ります。
    とある写しととある本歌のよもやま話山姥切長義は幼い姿で顕現した。それだけならよかったのだが自身の霊力のコントロールができず、しばしばその力を抑えられず暴走させ体調を崩していた。霊力をうまく扱えるようになり安定するまで時の政府管轄の医療機関に収容されることとなった。ここは合戦場で手入れですら治らない深い傷を負った刀剣男士が何振りも収容されており、治療を続ける個体、あるいは最期の時を静かに待っている個体がいた。
    「おれはほんかやまんばぎり。でも、おれはふかんぜんだから、かっせんにいくことも、ましてやかたなをふるうこともできない。おれは、どうして」
    そんなある日の事だった。霊力が暴走し、ベッドでうなされていた長義の元に誰かが近づいてくる。それは汗で張り付いた長義の前髪を指で梳き、優しく頭を撫でてくれた。そうすると、その日の夕方には症状がおさまっていた。とても懐かしく温かな大きな手のひら。ぼんやり覚えていた長義は、いよいよその誰かと対面する。その誰かは唐突に長義の病室を訪れた。一目でわかった、それは山姥切国広。長義の写しである刀剣男士だった。
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