折れた写しと、視力を失った本歌の話本丸が襲撃され、主をかばい折れた山姥切国広極と、主をかばい両目を深く傷つけられ失明してしまった山姥切長義極。この本丸の主力であった二振りは主を守り通したが、うしなかったものは大きかった。長義は国広が折れたことを知らされぬまま、自室で静かに過ごしていた。そんなある日、この本丸に山姥切国広が顕現する。本丸に来て日の浅い国広はかつてこの本丸にいた自身の同位体のこと、そして本歌たる長義のことを主から聞かされる。そうして、視力を失い一人部屋で過ごす長義と会ってしまった。
「偽物くん?」
そう声をかけられ、国広は咄嗟に折れた同位体に成りすましてしまった。長義は気付いていないようで、優しく話しかけてくる。両親が痛んだが、優しく接してくれる長義に心を開いていく。ある日は甘い物を差し入れ、ある日は香りのよい紅茶を、ある日は穏やかな季節の風を感じ、ある日は美しく良い香りの花を愛で、国広は長義が退屈しないように毎日部屋を訪れた。
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