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    たけち

    @tk_3cr

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    たけち

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    カクスパでこういうのが書きたいなぁとふわっと思ったのでその「こういうの」をちょろっとだけふわっと書いてみただけのやつ。
    オチも何も考えてないので続きはない。

    #カクスパ

    どこかでカクスパになる予定のメモ「あれ? お帰り今日でしたっけ」
    司令室へと向かう階段近くで、見知った文官に声を掛けられた。
    「順調にいきすぎて帰りの船がなくての、ついでで海軍に乗せてもろうた」
    帰島が三日も前倒しになったと肩を竦めてみせたカクに、そりゃ早いわけだと笑う文官。
    「今ここに残っとるのは誰じゃ?」
    「ジャブラさんが……ああ、でも急な案件が入ったとかで昼前にマリンフォードへ」
    「なんじゃガラ空きか、珍しい」
    司法島では9のメンバーが常に一人は塔に残っているのが通例なのだが、任務の兼ね合いでこういう例外日もまれにある。
    年に数日あるかないかの珍しい日だが、カクの帰島が早まったおかげで今現在は常在一人に変わりはなく、珍しくもなんともない日になってしまった。
    書類を抱えた文官に片手をあげて、カクは上階へと足を向ける。いつもと変わらぬ光の差し込む明るい塔を上って目指す階へと辿り着けば、右手にある上司の待つ司令室の扉からワゴンを押した小使いが出ていくのが見えた。
    時間はちょうど十五時、おやつタイムというやつだ。
    扉前を守る衛兵がカクを認めて敬礼と挨拶を口にするのを手で制し、開いた扉の隙間からひょいと部屋を覗くと、大きな窓の前で淡いラベンダー色の髪を揺らしてカップを持ち上げる上司の姿があった。その上司の前には焼き菓子のようなものが載った皿も見える。
    「ティータイムとは優雅じゃのう、長官」
    「ぎゃぁぁぁあぁぁぁぁあああ!!」
    カクが奥に座する上司の側へと剃を使って移動して密着せんばかりの真横で話しかければ、大音量の叫びが塔内に響いた。
    「あ──あほか! びびらせてんじゃねぇぞ!? このクソバカガキンチョ! バーカバーカ!!」
    意識外から一瞬にして隣に現れた人影に飛び上がり大声で叫んだ後、それが最年少の部下であることに気付き目を吊り上げて怒り始める上司のスパンダム。
    余程驚いたのか手に持っていたカップを取り落として、机上の重要そうな紙片達は既に茶色く染まっている。まあ茶染みが出来ていようともエニエスではいつものことなので別段問題はない。
    「つーかカク! 予定変更があるなら連絡しろっていつもいつも言ってんだろうが! 報連相だぞ!」
    「すまん忘れとった。で、長官、あれなんじゃ?」
    「え? なに? どれ?」
    司令長官のもっともなお叱りにもまったく悪びれない態度で、しかもうわべだけの謝罪とも言えないものを口にしたカクはスパンダムの背後を指差し、部下の指が示す方へと上司はつられて振り向いた。
    「なんだ? なんもねぇ……って、あぁぁぁぁぁ!!!」
    指された先には見慣れた石造りの堅牢な壁があるだけで、おまえは何を見たんだと訝しげに顔を戻したスパンダムがまたしても叫ぶ。
    「ほうふふぁひいふぉふふぉ」
    両頬を膨らませてもしゃもしゃと咀嚼しながら何かを喋っているカク。
    小皿の上にあったはずの菓子はひとつも残ってはいない。
    「おまっ、何全部食ってんだ! 一つくらい残しとけよ! バカバカバーカ!」
    こどものようにバカバカと繰り返す司令長官を無視して、口に入った菓子をザクザクもぐもぐと頬張りながら「洋酒が効いとるの」と再度不明瞭な言葉を放つカク。
    ひとくちサイズの小さな焼き菓子はカクの言うとおり酒をかなり効かせたビターなチョコタルトで、辛党で甘い物を苦手とするスパンダムでも口にする菓子の一つだ。
    プッチの店から取り寄せているというそれは、時折スパンダムのおやつタイムに登場するのだと以前ブルーノから聞いたことがあった。
    (酒がよう効いとる……というか効き過ぎとるというか……)
    ギャンギャン喚くスパンダムの声をBGMに、カクは噛み砕いた菓子をゴクリと飲む込む。
    (ふむ……こんだけ効いとったらまあ気付かんじゃろうなぁ……)
    口の端に付いたタルト生地のカスを舐めとり、食ってやったとばかりにふうと息をつく。隣では上司がまだまだ煩い。
    舌先にピリリと残る苦みとも痺れともとれる僅かな違和感。
    甘みをかなり抑えたビターなチョコレートと濃すぎる酒の味と香りでごまかされ、普通ならその違和には気付かないであろう程度の……だが、体内に入れれば確実にアウトなもの。
    (遅効性か? 明日の朝起きてこない長官を見に行けば、ってところじゃな……ついでにこれも)
    机に落ちて砕けたカップと茶色に染みた書類とを横目で見つつ、カクはもう一度今度は小さめに息を吐いた。
    (さて……どうしたものかの……)
    一番疑わしきはサーバーと厨房だが、カクの知る限りあの小使いは先代のスパンダインの頃から務めている者で、塔に従事する者達は全員、来歴はもちろん血縁・交遊までを徹底的に調べ上げられているはず。
    無論それとて絶対ではないので役人や海兵も対象とする必要がある。その上菓子が作られた時点で混入されていたのなら、島外にも手を伸ばさねばならない。
    立場上、司法島の総責任者が島外で標的になるのは直接的にも搦手的にもままあることだが、八百年の間一人の侵入者も脱走者も許してはいないこの堅城鉄壁の施設でこのような事態が起こった記録は、既遂未遂にかかわらず今までにない。
    連行された罪人が血迷って暴走することは茶飯事でも、それは施設破壊や要人暗殺などの計画性も何もないただの最後の悪足掻きで、確信犯的な事由もない。
    そしてそれらを含む不測の事態に備えるのもカク達CP9の役割の一つで、常在一人はそのための暗黙のルールだった……となれば、塔に居残りのはずのジャブラが急遽島を離れざるを得なくなったのは偶然とは言い難い。
    (わしの予定が早まっとらんかったら詰んどったの……感謝せいよ、長官)





    ……とかいう、9メンでカクが一番毒耐性高かったらいいなぁというわしの妄想の産物

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