曲 ラストジャーニー いよわ
どこかに連れていかれる大佐🤕と、置いていかれたロナ🧲妄想(死亡描写あり)
酷い戦争が終わって、舞台俳優として大成した🧲と、表向きの英雄として、今はもう大袈裟に称えられることはなく、書類仕事におわれる🤕。
告白したけれど、拒絶もせず、そのまま恋人未満の関係を続ける🤕とそれに甘えてそばにいる🧲…
気がつけば心ここに在らずというように一点を見つめる。理由は教えてくれないがなんとなく察しが着いている。厳しいようで優しい人だから、自分からは飛び込まないが、いつかその手に連れていかれそうな気がして。それが怖くなって、赤いアネモネを送った。何か花を贈りたくて、花屋の彼女に花言葉を教えて貰って、贈ることにした。理由がわからずその花を握っていた彼は、律儀にもその花言葉を調べて自分によく似合う花だと初めて力を抜いて笑った。
赤いアネモネの花言葉、あなたを愛する、
、 。
その翌日だった。子供を庇って、彼が死んだのは。
どんどん冷たくなっていく肌、少し安心したように、それでも自分の体温に気がついて涙を流す彼を抱き締めることも、直ぐに病院に連れていかれて、叶わなかった。
…手を握った。温度はもう感じない。
結局その手を握ることは出来なかった。それが悔しくて、もう会うことが出来ないと思った。暫く彼の死を受け止めきれず、夢に浸っていたが、もうそれも終わりだ。
この街を歩く。正直何も要らなかった。なぜ、あの時あんな顔で笑った彼が、あんなに簡単に逝ってしまったのか、分からなかった。彼がよく行っていた場所を巡る。
こっそり彼の部屋に近づく。天涯孤独だった彼の部屋は、誰も整理する人がおらず、生前の仲ということではいらせてもらった。恐ろしくなるほどものがない部屋の、整えられていた机の上には、花言葉に関する本と、日記がおいてあった。
代わりに返そうと思ってその厚い本を持つと、栞が挟んであった。
そのページを開くと花言葉が書いてあった。
それを読んで、彼のいったことの理由がようやく分かった。
…そして。少し躊躇しながら、日記を開いた。
赤いアネモネの花言葉、あなたを愛する、見捨てられた 、 。
なんで、諦めてくれなかったんですか。なんで、自分ばかりを責めたんですか。なんで、僕を見てくれなかったんですか。なんで、ちゃんと…好きと言ったのに、手を取ってくれなかったんですか……?
弁明があるなら、今すぐ伝えに来て。お願い。
最後に花を買いに行った。アネモネを勧めてくれた彼女は、酷い顔をしていると心配してくれた。店頭に飾られている美しい花々は心做しか黒ずんで見える。
あなたが全部悪いんだ。だから、あなたが1番嫌がる方法で、あなたに会いに行こうと思う。
だいすきだよ。
赤いアネモネの花言葉、あなたを愛する、見捨てられた、嫉妬のための無実の犠牲。