宙の夢 ウ宙人はガス状の生命体だ。なので、意識が飛ぶということはない。それは夢を観ないということであり、睡眠を必要としない身体だということだ。
歌仙も身体を得てからというもの夢の世界の魅力に取り憑かれている。不思議で不愉快で心地好い、全てがあって全てがない、そんな感覚は貴重だった。
まるで付喪神として[[rb:像 > かたち]]がない時のたましいのようで。実際、人の身体を得る前のエピソードは茫洋としているが、きっとあんな場所にいた気がする。
和歌でも詠まれる題材だ。歌仙もいくつか歌に表した事がある。そして眠れば新しい夢を観て、起きると霞のように消えていく。一抹のもどかしさを感じつつ、合戦場で首の取り合いをしているうちに忘れてしまうのだった。
1897