「…………」
王になってからのライオスは時々ぼんやりと外を眺める癖がついた。
「何を探しているのか知りませんが、魔物はここには現れませんよ」
うっと詰まって、彼は気恥ずかしそうに頭を掻いた。どうやら図星だったらしい。
「たまにはあの味を恋しく思ってもいいじゃないか」
「全くあなたって人は」
これでは午後から公務に支障が出そうだ。恨めしそうに見上げる視線の前に腰をかける。俺を側に置いていながら、さっきの言葉は見過ごせない。それに、仮にも恋人がいるというのにそっちのけで魔物の話とは面白くはなかった。
「あんたは俺だけ食べておけばいいんです」
ぽかんとした瞳が俺を見つめる。こういう時に言葉はわりと無力だということを、俺は最近の経験で学んだところだ。
567