4.せっかく同棲してるのに!一緒に住み始めて二週間が経った頃、お互いの仕事にイレギュラーな事が重なり、すれ違いの日々を送っていた。
会えたとしても一瞬で、ハグしてキスして終わり。疲れきった体は睡眠を求めてベッドを選ぶ。起きたらもう大寿くんはいなくて、寂しさがどんどん募る。
それでも仕方なくて、目の前の仕事をひたすら片付けていく。
そして、ようやく終わった!と急いで帰路に着いた。
「ただいま!」
大寿くんの靴がある!
バタバタと大きな足音を立ててリビングへ。
「うるせえな。もう少し静かに、……おい、どうした?」
「大寿くんだぁ……」
騒がしい俺を見て眉間に皺を寄せた大寿くんに勢いよく抱き着く。油断してたせいか少しよろけた大寿くんだけど、しっかりと抱き留めてくれた。
「せっかく一緒に住み始めたのにすれ違いばっかで、前に戻ったみたいだった」
「確かにそんな感じだったな」
頭の上で大寿くんがフッと笑った気がした。
あ〜、早く大寿くんと繋がりたい…。
期待の意味を込めて、大寿くんを見上げると、大寿くんもその気なのか、熱っぽい眼差しを向けられた。
「大寿くん、もう…」
誘うように大寿くんの首に腕を回し、顔を近づける。
いっぱいキスして、後はもうベッドにふたりでなだれ込むだけなのに、
ぐぅぅ~~~~………
盛大に腹の音が鳴った。
俺は恥ずかしさで、あぁぁぁ……と情けない声が出て、あの大寿くんの熱い視線がきょとんとした表情へと変わり、顔をふいっとそらせた後、ブフッと堪えきれない笑いを漏らして肩を震わせた。
「しょーがねーだろ!メシの時間も惜しんで仕事したんだよ!」
「メシはちゃんと食え」
「早く終われば大寿くんに会えると思ったから…」
「無理すんなってことだ。……俺も会いたかった」
拗ねるな、と頬を撫でられ、キスで唇を塞がれる。
もっともっと欲しいのに、キスの合間もぐーぐーと腹の虫が俺にもくれと催促してくる。
しまいにはふたりとも可笑しくなってきて、唇が触れたまま、クスクスと笑い出す。
「飯にするか」
「大寿くんもまだ?」
「あぁ、まだお前が帰らないなら先に食おうと思ってたが」
「外行くのも何だし、炒飯ならすぐだよ」
「その間に風呂に湯をためてくる」
「お願いしまーす」
なんだかんだですぐに日常へと戻ってしまう。同棲したてとはいえ、付き合いはもう何年にもなるからそこはもう阿吽の呼吸だ。
同じようなことはこれからもあるだろうけど、またこんなことを繰り返しながら過ごすんだろうな~。