6.消えたアイス「食べようと思ってたアイスが無い……」
風呂上がりの三ツ谷が負のオーラをまとって俺を見下ろす。
読みかけの雑誌から顔を上げた俺をじっと見つめて何か言いたげだ。
「俺じゃねーぞ」
「大寿くん以外に誰がいるんだよ」
「知らねぇよ。誰が来たんじゃないのか?よく思い出せ」
「最近は来てない。だから犯人は大寿くんだ!」
ビシッと名探偵のごとく指をさされても、知らないものは知らない。
「冷凍庫、隅から隅まで見たのか?」
「見た!無かった!」
「だいたい俺はアイスがあるなんて知らなかったぞ」
「それは俺が隠してたからだ!」
「それなら尚更知らねぇ」
存在すら知らないものをどうやって食うんだ、と吐き捨てれば、三ツ谷はようやく一人で考え出す。
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