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    hariyama_jigoku

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    hariyama_jigoku

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    鍾タル小説。甘い。「煩い口なら塞いでしまえ」

    ##原神

    .

    「せーんせい」
     殊更に甘ったるい声。ぐいっと身を寄せて、鍾離の首に手を回した。すると、タルタリヤの腰に手が添えられて、僅かに鍾離がこちらに合わせて屈む。 タルタリヤはどこか満足げに笑みを浮かべて、目を閉じた。そのまま唇を押し付ける。
     最初の方は、こう上手くはいかなかった。どうにかタルタリヤからでは届かないからと言い含め、せめて屈んで欲しいと教えたのである。代わりにこちらはキスがしたいと示して欲しいとのことだったので、こうやって誘惑するような仕草を取ったりキスしたいと直接伝えることもあった。
     児戯のようにちゅ、ちゅ、とリップ音が跳ねる。曰くこういうことにはあまり興味をそそられなかったのだが、鍾離とのそれは脳を緩やかに浸す毒のようだとすら思った。熱く濡れた舌が下唇に触れ、乞われるままに薄く口を開く。あわいに挿し入れられた舌が、探るように口腔を撫でた。縺れるように舌先が擦り合わされると、びりびりと脳が痺れるように気持ちがいい。
     腰を抱かれて、寝台へと雪崩れ込んだ。口を離される合間合間に息を整えるが、追われるようなキスに体の力を解かれていく。タルタリヤから仕掛けたはずなのに、捕食されているような感覚だ。肩を押されて、寝台の上に倒れ込む。
     鍾離の熱を孕んだ瞳孔が、すうっと細まった。近付く顔に気圧されて、後退る背中を枕が押し返す。敷布の上に投げ出していた手に、素肌のままの手が重ねられた。さり、と手の腹で甲を撫でる。
    「ちょっと……」
    「公子殿」
     手の感触に気を取られていると、返事がすぐ近くで聞こえた。顔を上げると、ぱちりと目が合う。あっと思った瞬間に、唇ごと食まれていた。目を逸らせない。岩元素そのものが、らんらんと輝いているようだった。爬虫類を思わせる瞳が、タルタリヤを覗き込んでいる。
     舌を探り当てられ、逃げることすら許さないというように腰を掴まれた。背骨の位置を確かめるような手つきで、段々とその指が下に下りていく。ぞわぞわと肌が粟立つような感覚と腰に溜まる快楽のせいで、思考回路が働いてくれない。
     這い上がる羞恥に堪え切れず、鍾離の肩を押す。抱きしめられていた力の強さとは打って変わって、呆気なく体は離された。
    「どうかしたか」
     そのまま体を押し返して、がくりと体を折って顔を覆う。触れた肌は異様に熱かった。
    「いや、ちょっとタイム」
     熱を覚ますように、深呼吸を繰り返す。キスは好きだし、触れ合いも問題ない。けれどタルタリヤはあの目に見つめられると途端に駄目だった。
    「先生さ、目閉じない? キスしてる時くらい」
    「必要はないだろう」
     タルタリヤの申し出は、一瞬で切り捨てられる。はあ、とため息をつくと、まるで子供にするように頭を撫でられた。
    「じゃあせめて不意打ちしないでよ、目逸らせなくなる」
     顔は覆ったまま、指の隙間から鍾離を見ると一瞬の逡巡の後に口を開く。
    「その顔が見たいと言ったらどうする?」
     思わずじとりと睨みつけた。
    「性格が悪いよ」
    「愛玩のつもりだったのだが、気に入らなかったか」
     また手が伸ばされて、緩く腕を回される。揶揄うような言葉だが、きっと鍾離は本気なのだろう。それがまた忌々しいと、せめてもの抵抗に顔を背けた。
    「だって、先生のその目。食べられそうで気恥ずかしいんだよ」
     熱い熱い、何らかの術を使われていると言われた方がまだましである。
    「今更公子殿は、随分愛らしいことを気にするのだな」
    「俺のことを何だと思ってるの」
     感心したような口振りに、抗議すると耳にかさついた体温が触れた。それはタルタリヤの髪を、そっと耳にかける。
    「悪い意味ではない」
     そう言って、耳殻を柔くなぞられる。そんな刺激さえ、体を震わせるには十分だった。
    「ああもういいよ!」
     どうせ口では勝てやしない。目を閉じたまま、待ち構えていた鍾離に抱き着いた。一瞬顔を、呼気が撫でる。きっと笑ったのだろう。だから、いっそ一思いにがぶりと噛みついてやることにした。
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    hariyama_jigoku

    DONE鋭百小説(鋭百々)。付き合ってていちゃついてる二人。互いの無意識の話。
    侵食 ちゅ、ちゅ、とリップ音が鼓膜を舐めるように繰り返される。くらくらと、その度に指先から全身に火が点っていくようだった。無意識に腰が引けるが、腰に回された腕が程よくそれを妨げている。
     眉見の肩に手を置くと、それを合図と思ったのか殊更ゆっくり唇が合わせられた後に緩慢に離された。吐息が濡れた皮膚に当たって、妙に気恥ずかしい。口と口をくっつけていただけなのに、なんて女の子みたいなことは言わないが、一体それだけのことにどれだけ没頭していただろう。腕がするりと離れ、柔らかなベッドに手を置いて体重をかける。
     勉強会という名目だった。元より学生の多い事務所では、勉強会がよく開かれている。C.FIRSTは専ら教え役だったが、S.E.Mなど加われば話は別だ。いつしか習慣と化したそれは、ユニットの中でも緩慢に続いている。事務所に行くだけの時間がない時。例えば定期テスト中―――下手に行けばつい勉強が手に付かなくなってしまう―――とかは、互いに課題を持ち寄って百々人は秀の、眉見は百々人の問題を見る。最初は二人が眉見に遠慮したものの、受験の準備になるからと押し切られる形になった。今日もそうなる予定だったが、秀が生徒会の仕事で欠席することを知ったのがつい一時間ほど前である。今日はやめておくかと聞こうとした百々人に、眉見が自分の家に来ないかと持ち掛けて今に至る。いつもは何かと都合の良い百々人の家だったのだが、一人で来るのは―――それこそ二人が付き合い始めてから来るのは初めてだった。
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