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    hariyama_jigoku

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    hariyama_jigoku

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    しっくすす東京メモ。not小説の散文。

    ##サイドエム

    風が吹いている。形容できない高揚感。熱くて、でもその正体がわからない。少し怖い。

    「百々人先輩」

    終わりじゃないですよ。これが始まりです、俺たちが世界を変える。その一歩に過ぎない。

    これが俺たちの全力。でもこれはあくまで、今の、です。ファンの皆にも、プロデューサーにもーーー、世界にも、見せてやらなくちゃ。

    でも、できるかな。これ以上の、ステージが。

    できるさ。だが気負えと言ってるんじゃない。全力を尽くす、その先に自ずとあるはずだ。

    まずは明日。っていう話。

    舞台袖は暗い。漏れくる会場の灯りが、照明が、より一層それを意識させる。

    耳元で撤収を告げるスタッフの指示が聞こえた。非常灯の灯りを頼りに、控え室の方へと進む。ステージの、観客の、夢のような時間は遠ざかっていく。それでも光ある方へ。
    別れじゃない。

    疲労は確かにあった。激しいダンス、張り上げた声。それでも足取りは軽い。

    風が吹いている。今も確かに、明日へ、次のステージへと、息つかせる間も無く。強い風が背中を押していた。音もない、触れられもしない。そんな風が、確かに吹いていた。
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    hariyama_jigoku

    DONE鋭百小説(鋭百々)。付き合ってていちゃついてる二人。互いの無意識の話。
    侵食 ちゅ、ちゅ、とリップ音が鼓膜を舐めるように繰り返される。くらくらと、その度に指先から全身に火が点っていくようだった。無意識に腰が引けるが、腰に回された腕が程よくそれを妨げている。
     眉見の肩に手を置くと、それを合図と思ったのか殊更ゆっくり唇が合わせられた後に緩慢に離された。吐息が濡れた皮膚に当たって、妙に気恥ずかしい。口と口をくっつけていただけなのに、なんて女の子みたいなことは言わないが、一体それだけのことにどれだけ没頭していただろう。腕がするりと離れ、柔らかなベッドに手を置いて体重をかける。
     勉強会という名目だった。元より学生の多い事務所では、勉強会がよく開かれている。C.FIRSTは専ら教え役だったが、S.E.Mなど加われば話は別だ。いつしか習慣と化したそれは、ユニットの中でも緩慢に続いている。事務所に行くだけの時間がない時。例えば定期テスト中―――下手に行けばつい勉強が手に付かなくなってしまう―――とかは、互いに課題を持ち寄って百々人は秀の、眉見は百々人の問題を見る。最初は二人が眉見に遠慮したものの、受験の準備になるからと押し切られる形になった。今日もそうなる予定だったが、秀が生徒会の仕事で欠席することを知ったのがつい一時間ほど前である。今日はやめておくかと聞こうとした百々人に、眉見が自分の家に来ないかと持ち掛けて今に至る。いつもは何かと都合の良い百々人の家だったのだが、一人で来るのは―――それこそ二人が付き合い始めてから来るのは初めてだった。
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