Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    hariyama_jigoku

    リス限はプロフ参照。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 51

    hariyama_jigoku

    ☆quiet follow

    伏五小説。習作。五i条が小さい頃の恵に恋して、自分のことをショタコン(勘違い)と気付く話。
    ※アニメと9巻くらいまでの知識しかない人が書きました。

    ##呪術

    何が恐ろしいってその温かさが その日、どうして恵の家にいたのかはあんまり覚えてない。稽古に引っ張っていくためだったのか、それとも津美紀不在で宿題をしている恵の留守番に付き合っていたのか、年月が経った今ではそんな記憶すら定かではなかった。ただ、その日はいい感じの秋晴れで、暑くもなく寒くもなく、丁度昼寝なんかにはいい具合だったのだろう。ちょっかいを出す僕を総スカンして黙々と宿題に取り組んでいたはずである恵の、子供らしく体に対して大きな頭がゆらりと傾き始める。そして、かくんとずり落ちた衝撃で恵は鉛筆を握り直した。だがまたこっくりこっくりと船をこぎ始める。それを何度か繰り返して、とうとう宿題のプリントにぺたりと額をくっつけてしまった。
     僕は確か板チョコでもばりばりやりながら、そんな恵を眺めていたはずである。どういう風の吹き回しだったか、ふと僕は恵のプリントを引っ張り出してやろうと思ったのだ。自分で言うのもなんだが、恐らく単純な親切心とかではなかっただろう。プリントが涎か何かでぐしゃぐしゃになったら恵に当たられそうだったから、とかそんな気ままな理由に違いない。寝入ったからか重みを増した恵の頭を持ち上げて、プリントを無事に救出する。
     その時、ふと恵の手に目がいった。子供特有の、肉付きのいい丸みを帯びた手。自分の手はもう随分と細長く伸びて、節が目立つ所謂大人の手になっている。柔らかさだって全然ない。好奇心に導かれるまま、柔らかい肉を軽くつまんでみる。宿題を救ってやったのだから、と手前勝手な言い訳もセットだ。むにり、という擬音がぴったりな感触が指先から伝わってくる。癖になりそうだと僕がふにふに指を揉んでいると、むにゃむにゃと恵が寝言か何かをぼやいた。それに気を取られていると、ふいに指が柔らかくて温かいものに包まれる。
     驚いて反射的に手を引こうとすると、それがぎゅうっと僕の人差し指を握りしめた。むにむにと触られるのが嫌だったのか、それとも何か掴むものが欲しかったのかは分からないが、小さな握り拳で僕の指を握った恵は満足したのかまた寝息を立て始める。チョコを頬張るもう片方の手は自然と止まっていて、意識が人差し指に集中していくのが分かった。穏やかに眠る顔、あんまり見たことはないがまるで赤ん坊のように指を捕まえている仕草に、心臓の奥がきゅうっと締め付けられるような妙な違和感が襲う。
     その後の僕ときたら本当におかしなもので、まるで自分が何かの病気にでもなったんじゃないかと錯覚し、硝子に慌てて電話をかけたのだ。勿論恵を起こさないように片手で器用に電話をかけ、囁きのような声しか出せなかったものだから何度も硝子に聞き返されたものである。 最初は真剣に話を聞いてくれていたし硝子も、事の次第が分かった途端にもう切ってもいいかと冷たい声で返された。今となってはその態度も然もありなんといったところだが、当時の僕にとっては自分の体に関わる大事な話のつもりだったのだ。煙草を吸い始める硝子に尚も食い下がると、本当に嫌そうな声色であいつは告げる。
    「それってあれだろ、恋とか好きとかそういうやつ。私の専門外だからもう聞くんじゃないぞ」
     ぶつっ。それだけ言って、無情にも電話は切られた。後には顔を歪めて呆然とする僕が残るばかり。そうしてようやく理解したのだ。僕は恐らく、自分が引き取った恵を好きになってしまったのである。あと多分、ちょっと、ショタコンかもしれない。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    hariyama_jigoku

    DONE鋭百小説(鋭百々)。付き合ってていちゃついてる二人。互いの無意識の話。
    侵食 ちゅ、ちゅ、とリップ音が鼓膜を舐めるように繰り返される。くらくらと、その度に指先から全身に火が点っていくようだった。無意識に腰が引けるが、腰に回された腕が程よくそれを妨げている。
     眉見の肩に手を置くと、それを合図と思ったのか殊更ゆっくり唇が合わせられた後に緩慢に離された。吐息が濡れた皮膚に当たって、妙に気恥ずかしい。口と口をくっつけていただけなのに、なんて女の子みたいなことは言わないが、一体それだけのことにどれだけ没頭していただろう。腕がするりと離れ、柔らかなベッドに手を置いて体重をかける。
     勉強会という名目だった。元より学生の多い事務所では、勉強会がよく開かれている。C.FIRSTは専ら教え役だったが、S.E.Mなど加われば話は別だ。いつしか習慣と化したそれは、ユニットの中でも緩慢に続いている。事務所に行くだけの時間がない時。例えば定期テスト中―――下手に行けばつい勉強が手に付かなくなってしまう―――とかは、互いに課題を持ち寄って百々人は秀の、眉見は百々人の問題を見る。最初は二人が眉見に遠慮したものの、受験の準備になるからと押し切られる形になった。今日もそうなる予定だったが、秀が生徒会の仕事で欠席することを知ったのがつい一時間ほど前である。今日はやめておくかと聞こうとした百々人に、眉見が自分の家に来ないかと持ち掛けて今に至る。いつもは何かと都合の良い百々人の家だったのだが、一人で来るのは―――それこそ二人が付き合い始めてから来るのは初めてだった。
    1834

    recommended works