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    hariyama_jigoku

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    hariyama_jigoku

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    イベント感想として書いた百i々i人くん話。短い。君の進む道に幸いがありますように。

    ##サイドエム

    その名前を知っているか 珍しい夜だった。
     どこかぼんやりとした頭のまま、とすんとベッドに腰を下ろした。いつもと同じはずなのに、まるで熱があるみたいに思考が煙っている。確かにさっき百々人は湯船を上がったばかりだが、それと今の状態は関係ないように思えた。
     ヘッドボードに背を預けて、深くため息をつく。今日は酷く疲れてはいたが、浮ついた気分は眠気をどこかに放り投げてしまったようだ。目を閉じれば、瞼の裏をちらつくのは眩いライト、踊る度移り変わる景色、観客の熱のこもった視線、プロデューサーの嬉しそうな顔、共に踊る二人の姿。三人の新しい曲は何度も聞いたはずだったけれど、今日のそれが一際耳にこびりついている。
     明日が怖くない夜なんて、きっとあったはずだろうに思い出せない。まるで、雷みたいに鮮烈な記憶だった。とくとくと、心臓が音を刻んでいる。アイドルになってから、百々人の世界はびっくりするくらいに変化していった。今もそうだ。
     プロデューサーと出会ったこと。天峰と眉見が同じユニットになったこと。おもちゃ屋で描いた絵を喜んでもらえたこと。努力していたのは自分だけじゃないと知ったこと。三人で、アイドルなのだと分かったこと。
     初めてのライブで、抱いた感情は今も形容できない。高揚感、興奮、どれとも表現できない。
    「もうちょっと、ああして歌って、踊っていたかったな……」
     過ぎた瞬間を惜しんだ声は、ぽとりとベッドの上を転がる。落ち着くことを知らない心臓の音は、どこか目覚めを告げる鐘に似ていた。
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    hariyama_jigoku

    DONE鋭百小説(鋭百々)。付き合ってていちゃついてる二人。互いの無意識の話。
    侵食 ちゅ、ちゅ、とリップ音が鼓膜を舐めるように繰り返される。くらくらと、その度に指先から全身に火が点っていくようだった。無意識に腰が引けるが、腰に回された腕が程よくそれを妨げている。
     眉見の肩に手を置くと、それを合図と思ったのか殊更ゆっくり唇が合わせられた後に緩慢に離された。吐息が濡れた皮膚に当たって、妙に気恥ずかしい。口と口をくっつけていただけなのに、なんて女の子みたいなことは言わないが、一体それだけのことにどれだけ没頭していただろう。腕がするりと離れ、柔らかなベッドに手を置いて体重をかける。
     勉強会という名目だった。元より学生の多い事務所では、勉強会がよく開かれている。C.FIRSTは専ら教え役だったが、S.E.Mなど加われば話は別だ。いつしか習慣と化したそれは、ユニットの中でも緩慢に続いている。事務所に行くだけの時間がない時。例えば定期テスト中―――下手に行けばつい勉強が手に付かなくなってしまう―――とかは、互いに課題を持ち寄って百々人は秀の、眉見は百々人の問題を見る。最初は二人が眉見に遠慮したものの、受験の準備になるからと押し切られる形になった。今日もそうなる予定だったが、秀が生徒会の仕事で欠席することを知ったのがつい一時間ほど前である。今日はやめておくかと聞こうとした百々人に、眉見が自分の家に来ないかと持ち掛けて今に至る。いつもは何かと都合の良い百々人の家だったのだが、一人で来るのは―――それこそ二人が付き合い始めてから来るのは初めてだった。
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