冬きたる 朝、敦は寒さで目を覚ます。
「さっむ……!」
思わず鳥肌の立つ腕をさすりながら体を起こした。
カーテンの隙間から冷えた朝日が部屋に射し込んでいる。いつの間にか、もう冬になっているのだ。
それにしても、なんでこんなに寒いのかと敦は思った。だが、気づけば、毛布や掛け布団は隣で寝ている太宰に全部奪い取られてしまっている。
全く仕方のない人だなあ、なんて思いながら、こちらに背を向けている太宰の肩にそっと手をかける。
「うーん……敦君、そこはだめぇ……」
触れた瞬間、妙に艶っぽい声の寝言。思わず敦は昨夜のことを思い出してしまって、手を離す。ごくりとつばを飲む音が聞こえそうな気すらして――。
「って、太宰さん! 起きてるでしょ!?」
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