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    トミコです。まほやくのファ右

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    フィガファウ版ワンドロライの第21回
    「清純派」「触れる」のお題をお借りしました。

    とうとうに始まり唐突に終わります

    #まほや腐
    mahoyaRot
    #フィガファウ
    Figafau

    【フィガファウ】「清純派」「触れる」「清純派、清純派うるさい」
     怒りにも似た焦りの滲んだ声。フィガロをまっすぐにとらえる紫眼がすぐ間近に迫っていた。
     そんなこといったって、きみのことを妖艶、あるいは汚濁とかそういうものと、清純と、どちらなのかといわれたら圧倒的に後者じゃないか。なんて言おうものなら、選択肢が極端すぎる。とか、いやもしかしたら、僕には汚濁が似合うに決まってる。なんて本気の目をして返してくるのかもしれない。少しばかりの怒りを添えて。
     しかし、幸か不幸かフィガロはそれを言葉にしてファウストの怒りを買うことはなく、ただただ瞬きの間に頭の中でだけ巡った思考であった。
     言葉を発するために唇が、塞がれていて声を出すことも開くことができなかったので。
     本当は、フィガロから言葉を奪うほどの拘束力はもっていない、柔らかくて少しだけかさついた、けれども隙間が少しだけ湿り気を帯びているもの。それがフィガロの唇に重なっている。むにむにと食むようにして動くのだけれど、それ以上何かをしてくるわけではなかった。
     押し付けて、はさむだけ。
     近すぎで合わなかった焦点を合わせてみれば、眼前では、先ほどまでまっすぐにフィガロをとらえていた紫眼がぎゅっと強く閉じられた瞼に隠されている。眉間には皺が深く刻まれていて、まるで機嫌が悪いときのようだ。けれども目元にもそれに続く頬にだって、うっすら朱がさしているいるから、おそらくそうではない、ということはわかった。
     おそらく、とついてしまうのが、わかりやすいのにわかりにくい、彼の地雷を踏み抜いてしまった過去の経験ゆえである。
     目を閉じるのがマナー、というのはどこから得た知識だろうか。書物か、それとも四百年の間に誰かがファウストに教えたのだろうか。いや、後者であるならきっと、こんな閉じ方にはならないはず。前者であろう。うん、きっと、たぶんそうだ。そういうことにしておこう。
     普段ならばもっと客観的にいくつもの選択肢を見出すのに、いまは随分と主観的で自分本位だ。そんな自分がおかしくて、目の前の彼が可愛らしくて、ふっと笑みの息がこぼれた。
     それをどういうふうに受け取ったのだろうか。びくりとファウストの肩が震え、その振動が、フィガロの両肩に置かれた彼の手のひらから伝わってくる。違うよ、大丈夫だよ。そう伝えるつもりで右肩に置かれた、ファウストの左手の甲に触れると、指先が小さく跳ねた。
     肩に置かれた手に力がこもる。身を離そうとしている気配に、フィガロは素早く彼の左手に重ねた右手に力を込め、左手で彼の右腕の肘の上を掴んだ。離れることを阻む動きに、ファウストが動きを止める。ぎゅっと閉じられていた瞼が、そろり、と開かれた。現れた紫眼は、戸惑いを含んで揺れている。いつかの頃と同じように、これでいいのでしょうか、と問われているようで肯定のために目を細めて見せた。
     右肘の骨の形をなぞってから、そっと彼の頬に手を伸ばす。笑みの形に口角が吊り上がっていることを自覚しながら、けれどそれをどうしたって普段の微笑のように戻すことができない。
     唇だけくっついたまま。触れるだけの拙い口づけ。そこからどうしたらいいのかわからなくて固まってしまうだなんて、やっぱり清純派じゃないか。
     嘲っているわけではないことだけは確実に伝わってほしい。そのためには、きちんと言葉で伝えなければ。
     ファウストの頬に左手の指先を添え、少しだけ顎の角度を変える。そうすると、鼻先がかすかに触れ合うかたちで、唇が離れた。
    「嬉しいよ」
     ファウストが何かしら言葉を発するより先に言う。言葉を尽くそうとしては間に合わない。端的で的確な言葉を探すまえに口から飛び出していた。右手で触れていた彼の左手を、己の頬に運ぶ。緊張を物語るように頬に触れた指先は汗ばんでいた。
     言葉を探すように彼の唇が、何度か開いて閉じるたびに見え隠れする白い歯と赤い舌。見つめあっていたって視界の端でちらつくそれに意識を持っていかれる。
    「フィ……」
    「いやじゃないなら、口を開けて」
     また、彼の言葉を封じ、ファウストの頬に添えた指に力を込め、そして顎を傾けた。触覚に集中するため、目を閉じ距離を測ったとて、さまになるくらいには慣れている。けれどもいまは、薄くでも目を開けてみていたかった。どんな表情をするの。いつ目を閉じるの。目は閉じないの。もし閉じるなら、その目には最後にどんな色を宿すの。
    「そんな大きくじゃなくていいからね」
     フィガロが唇を重ねる直前に、ファウストが深く息を吸おうとしたので、そう告げた。
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    Replies from the creator

    t0mic0x0shi

    DOODLE書きたいとこだけ!
    ハウルパロです。
    【フィファ】フィガロの動く城(書きたいとこだけ)フィガロの動く城(書きたいとこだけ)

    「ああ、いたいた。探したよ」
     どこからか、この場ににつかわしくない滑らかで穏やかな声が聞こえると同時に、死角から伸びてきた腕がファウストの眼前で揺れる。鮮やかな緑の上等そうな服の袖、金の繊細な装飾品で飾られた手首、その先にある節ばった手がゆらり。人差し指の根元にはめられたこれまた金の指輪の石の赤さが印象的だった。
    「さあ、行こうか」
     いまにもこちらの腕を掴まんとしていた衛兵もどきとファウストの間に身を滑り込ませてきた存在が、不思議な力か、それともただ突然現れることで与えた驚愕からかで彼らの動きを止める。
     風もないのに柔らかく揺れる薄群青の髪。身長はファウストよりも高く、すこしだけ見上げる格好になる。踊るように男がファウストに向かって振り返ると、服の裾が緩やかに広がった。曇り空のような無彩色の中に若葉色の煌めきを持った不思議な色合いの目を細め、これまた場に似つかわしくない笑みを浮かべた彼は、衛兵のことなどどうでもいいことのように、ファウストだけを見て、手を差し伸べてくる。
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    t0mic0x0shi

    DOODLEアレクはなぜファを火刑にした?ということに悶々として得たひとつの妄想。カプ要素ない。
    アレクはもっと賢いよー!と思いつつ…なんかなんとか無理やり辻褄合わせる方法ないかな!?

    あとこの世界では、ファとレの不在時にフィは離脱してて、その時に軍にいた者たちから自分の記憶を奪ってる設定です
    ファは一年、特定の人ではなく、修行の旅に出て強くなって帰ってきた!と思われてるような感じ
    【アレクの話】碧落に願う碧落に願う

     この戦いの日々が、いつの間にやら革命と言われたこれが終わったら、お前は何がしたい?

     ”大いなる厄災”と呼ばれる大きな月が闇を連れて太陽の代わりに空を飾る頃、焚き火ゆらめくいつかの夜。親友とそんな話をした。
     それは一度だけではない。これから戦いに向かう夜、あるいは命からがら一つの戦いを終えた後。しょっちゅう、というほどではなかったけれど、時折、思い出したように。
     人間と魔法使いと、同じ軍にいても部隊や役割が違っていて、規模が大きくなるにつれいつも仲間の誰かが周りにいた。宴や軍議が終わればそれぞれ個々に別の仕事が待っている。そんな中で不意に、時にはどちらかが意図を持って二人きりになった時。
    4900

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    tono_bd

    DOODLE※400年前のフィガロは髪が長かったという前提で、
    ベッドの中でファウストから「いつ髪を切ったのか」と訊ねられる話。
    ※南の国の開拓初期の捏造があります。若干のモブ有り。


    え、ここで終わるの? 濡れ場は? って思う方。
    私もそう思います。
    pixivに上げる時に追記するかもしれないし、しないかもしれない。
    タイトルはその時考えます。
    フィガファウの官能小説大好き。
    セックス後の浅い眠りから覚めたフィガロが、髪にまつわる昔語りをする話。 まどろみが続いていた。
     寄せては返す波のようなそれは、思いのほか心地が良い。悪い夢は見なかった。むしろそれとは逆のずっと見ていたいような幸福な夢を見ていた気がする。だが、それ以上の幸せを知ってしまったから、重たい瞼を持ち上げるのもやぶさかではない。結局現実以上の幸せは夢の中には無いのだと教えてくれた存在が、今も自分に触れてくれているのだ。
     頭皮には触れず、短い髪の表面を撫ぜるような遠慮がちな触り方に思わず口元を笑みの形に変える。すると鼻を摘ままれた。
    「狸寝入りか」
    「違うよ、夢から覚めたばかり。まだ夜明け前でしょう、寝られないの?」
    「うん。眠気が来なくて、終わってすぐに眠ってしまったあなたを見てた」
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