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    miya_4ta

    @miya_4ta

    最近勇気を出して二次創作を始めた雑文作成マン
    書き切れない病疾患

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    miya_4ta

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    アイドルぐだちゃんとボディーガードおきたさんの沖ぐだ♀
    ⚠️現パロ、まだくっつかない、なんでも許せる人向け
    続きはがんばる……!

    アイドルぐだちゃんとボディーガードおきたさんの沖ぐだ♀【1】

     夕暮れ時の教室。昼は文化祭ということもあって、あんなに賑やかだったのに今はもう誰もいない。外部の客は閉会時刻を過ぎているためとっくに帰っており、生徒たちは皆後夜祭の会場である体育館へと向かっていった──二人を除いて。
     誰もいない教室の隅。リノリウムの床に座り込んで抱き合う二人。教室の窓から射す西陽が、彼女たちを照らすスポットライトだとしたら、その場はさながら、たったふたりだけの舞台のようだった。
     桜色の少女は問う。私では駄目ですか、と。
     茜色の少女は答える。抱きしめる強さはそのままで、泣きながら。けれど、その言葉は、

    「ごめんなさい……ごめんなさい……わたしは、まだ、あの人を諦められないから……だから、友達でいてくれる?」

     その言葉は、あまりにも、酷だった。


     とある警備会社の応接間。
     社員の沖田総司は、新しい依頼人である、芸能事務所オフィス・カルデアのマネジメント課の社員、マシュ・キリエライトの対応をしていた。

    「嫌がらせ、ですか……」
    「はい。先輩……いえ、我が社の所属アイドル、藤丸立香に対する嫌がらせ行為がとにかく酷くて」

     ──藤丸立香。今をときめくトップアイドル。CMに歌番組にバラエティに引っ張りだこ。最近ではドラマや映画への出演も増えているらしい。普段は仕事と鍛錬に打ち込みっぱなしの沖田でもその名は耳にしたことがある。
     というか、高校時代の友達、である。

     高校二年生の時。クラス替えでふたりは同じクラスになった。最初はなんの接点もなかった。
     立香は軽音部で、人気バンドのボーカルとして活動していた。それだけでなく、明るくて誰にでも優しい。そんな彼女の周りには自然と人が集まっていた。一方、沖田はというと。あらゆる大会を総なめにするほどの剣道の腕前に加えて、優れた容姿。近寄りがたい、怖そう、高嶺の花──そんな印象を勝手に抱かれてしまっていた。

     ふたりが仲良くなったきっかけは、新学年になって間もなく行われた春の校外学習だった。クラスの親睦を深めることが目的で、出席番号順では教室と変わらない、ということで班分けはくじ引き。
     教室の隅っこで、「①」と書かれた紙切れを片手に突っ立っていた沖田に「あなたも1班なの?」と声をかけたのが、立香だった。
     班の中ではお互いが唯一の女子であったからか、自然と話すことが多くなっていった。最初は立香から話しかけていたが、校外学習当日の朝には沖田の方から「おはようございます、藤丸さん」と声をかけるようになっていた。

     校外学習が終わっても、ふたりはたびたび休み時間や昼食、登下校を共にするようになった。
     剣道部の孤高のエース。近寄りがたい。怖い。高嶺の花。勝手に貼られたレッテルのせいで、周りから遠巻きに見られる自分に対して、普通に友達として接してくれる立香。彼女と一緒に過ごす時間が増えていく中で、いつしか沖田は立香にひそかな想いを抱くようになった。

     けれど、同じ年の文化祭の後、彼女は家庭の事情で転校していった。
     そして、引っ越し先でスカウトでもされたのだろうか。ある日の夕食中、突然彼女のデビューシングルのCMが流れた時は驚きのあまり箸を落としてしまった。
     あの日から数年。立香は瞬く間に人気を獲得していき、今やトップアイドルだ。今朝の出勤途中でも、交差点の大きなビジョンには彼女が出演している化粧品の広告が映し出されていた。
     ──上手くいっていると思っていたけれど、そんなことが起きていたなんて。
     立香が自分の知らぬ間に危険な目に遭っていた事実に、思わず拳をぐっと握りしめる。
     
    「藤丸はいいと言っていたのですが、ここ最近徐々にエスカレートしているということと、万が一のことを考えて、と社長がおっしゃいまして。マネージャーであるわたしとしても、大賛成でしたので」

     マシュの発言に思わず目を見開いてしまう。立香はいいと言っていた? 一体どういうことなのだろう。周りがボディーガードの要請を検討する時点で事態はかなり深刻ではないのか。まさかそこまで彼女に危機感がないとは。このまま放っておけば、最悪の事態──立香自身に直接危害が加えられることだって十分ありえる。 
     そんなことがあってはいけない。彼女にそんな目に遭って欲しくない。いつだって笑っていてほしい。どんなに気まずい別れ方をしていたとしても。


     高校二年生の時の文化祭。後夜祭の前に、沖田は立香に想いを打ち明けた。立香は一瞬驚いた後、泣きながら微笑んで、ありがとう、と言った。しかし、それは「好きになってくれてありがとう」の意であり、立香は沖田に同じ想いを抱いていたわけではなかった。
     つまり、沖田は立香にフラれたのだ。
     その翌日に立香は転校して行った。決して良い別れ方をしたとは言えなかったし、今でも思い出せばほろ苦い感情が胸中を埋め尽くす。
     それでもやっぱり、立香を嫌いにはなれなかったし、むしろ想いを募らせていくばかりだった。
     だから沖田は思ってしまった。警備会社の社員としてではなく、藤丸立香に今でも想いを寄せる人間として。

     私が、彼女を守らなくては、と。

    「……わかりました。今抱えている案件もありませんし、このまま私が担当ということでお引き受けいたします」

     沖田の発言でマシュの不安そうな顔がぱあっと明るくなり、マネージャーとして本気で立香を心配していたのが伝わってくる。

    「ありがとうございます、よろしくお願いします! それではこの後、お時間はありますでしょうか?」
    「はい、ありますけど……」
    「さっそく、本人とも顔合わせをしていただきたいのですが……今日も収録がいくつか入っていて、本人はここには来られないんです。ただ、収録の合間に時間があるので、そこでできればと。いかがでしょう?」

     数年ぶりの再会。
     たとえばこれが漫画や小説のワンシーンだったら、感動の再会、だなんて感想が出てくるのだろう。

    (でも、私たちはそうなりませんね。きっと)

     思わずそう言いたくなるのをこらえて、笑顔を作る。

    「ええ、もちろん。問題ありませんよ」

    【2】
     マシュに連れられ、複雑な構造をしたテレビ局の中をどんどん進んで行く。至る所に番組のポスターが掲示されている。その中には立香が出演したことのある歌番組や、今度から放送されるドラマのものもある。
     ポスターを眺めながら歩いていると、先を行っていたマシュがとある扉の前で立ち止まった。その扉の横に目をやると、「藤丸立香様」と書かれた紙がある。

    「到着しました。ここが藤丸の楽屋です」
     
     楽屋の扉をコンコン、とノックするマシュを横目に、沖田はめったにしない緊張で胸が張り裂けそうだった。「はーい!」という元気のいい、懐かしい声が聞こえた気がする。  
     心臓の音が、隣のマシュに聞こえてしまったらどうしようと思うほどにうるさかった。マシュはそんな沖田の様子に気づくことはなく、そのまま扉を開けた。

    「私です、先輩!お話していたボディガードの方が来てくださいました」

     扉が開いたと同時に彼女は、楽屋のソファから立ち上がり、こちら側を向いた。

    「はじめまして、藤丸立香です……って沖田さん!?」
    「お久しぶりですね、立香さん」

     蜂蜜を溶かし込んだようなまあるい瞳、あかがね色の髪。高校時代と変わらない、しかしあの日より確実に大人びた彼女が、目の前にいる。

    (ああ、やっぱり。まだ、私は、あなたのことが──) 

    「もしかして、お二人はお知り合いなんですか?」
    「うん。その、わたしが転校する前に行ってた学校で、クラスが一緒で、それで」

     ふたりのやりとりを見ていたマシュが尋ねる。しかし、あの別れ方をして以来の再会だ。立香の返答にはどこか気まずいものがあった。

    「友だちだったんです。いやーまさか、転校していった友だちがアイドルになるなんて! 私びっくりしましたよ」

     これではいけないと、沖田は努めて明るく、あの文化祭前のように振る舞った。すると立香も何かを察したのか、「でしょう? わたしもびっくりだよ!」と返してきた。一瞬の気まずさを感じ取り、もっと込み入ったことを聞いてくるかと思ったが、マシュは「なるほど、それはお互い驚くのも当然ですね!」と素直にこの「再会」に感心しているようだった。
     少しして真面目な表情になると、今回の本題に入る。最初に沖田に話していた通り、本人に話自体はしていたということで、あとは立香と本格的に契約するのみだった。

    「わたしは何度も大丈夫だよ、って言ったんだけど……」
    「ダメです先輩。もしも先輩に何かあったらわたしは、わたしは……」

     マシュは立香の両手を掴んで、自分にとって立香がどれほど大切な存在かということを言い聞かせる。自分もこんな風に彼女の手を取って、伝えられたらよかったのに、と思った。そんな気持ちを振り切るように、沖田はさっきのような振る舞いを続けた。

    「はい、二人ともストーップ! この天才美女ボディーガードの沖田さんにお任せください! 大切な友人に嫌がらせしている不届き者を、ちょちょいのちょいっと斬り伏せてやりますよ!」
    「……ふふっ。そういえば、沖田さんって剣道部のエースだったもんね。……正直ね、ちょっとこれ以上エスカレートしたらどうしようって気持ちも、あるにはあったんだ。マシュにも心配かけてばっかりだしね。うん、沖田さんがいてくれたら、心強いよ。よろしくお願いします。あっでも! 本当に斬ったらダメだよ!? 沖田さん捕まっちゃう」
    「さすがに、その辺りは大丈夫です!……たぶん。では立香さん、こちらこそこれからよろしくお願いします!」
    「た、たぶんって何?!」

     状況はよろしくないが、立香に頼られるのは、素直に嬉しかった。
     未だに燻る想いを、どうかこれで昇華できればいい。彼女を最後まで守り切ったら、今度こそ綺麗さっぱり断ち切ろう。沖田は笑顔の下で、そう決心した。

    【3】
     話を終えた後、立香は歌番組の収録が入っているということだったので、それを見届けてから、今日はひとまず解散となった。
     立香が歌う姿を全く見てこなかったという訳ではない。彼女のデビューシングルのCMを目にした日から、気がつけばテレビの番組表で彼女の名前を探してしまっているし、大手動画サイトの検索履歴には彼女の名前や楽曲の名前が並んでいる。
     ただ、生で彼女の歌を聴くのは本当に、あの日——高校二年の後夜祭以来だ。立香にフラれた後ではあったけど、最後に彼女の歌を聴いて、想いを断ち切ろうとした。ステージ上で歌声を響かせる彼女の頬からは、涙の跡が消えていた。何があっても笑顔で、まっすぐな歌声を聴かせてくれる。何があっても自分はそんな彼女が好きなのだと思い知らされ、結局その時は、想いを断ち切ることはできなかった。
     駆け抜けるようなギターが印象的なイントロが流れ始めると、曲に合わせた、明るいけれど切ない——そんな表情を浮かべ、振りをこなしていく。数十秒もすると、彼女は息を吸い、マイクを持ち直した。
     トップアイドルになったということもあって、声量や安定感が増し、表現の幅も広がったのが分かる。しかし、まっすぐなところはあの日から変わらず今も、彼女の歌声の一番の魅力だった。沖田の心に直接響くような、歌声。一秒たりとも目が離せない、太陽みたいにまぶしい笑顔。
     
     これでは、断ち切るどころか——想いが大きくなっていくばかりではないか。スタジオの片隅で、沖田は一人頭を抱えた。


    「お疲れ様でーす。ただいま戻りましたー」
    「おー沖田ちゃんお帰り。新しい案件入ったらしいじゃないの」

     日もどっぷり暮れた頃、数時間ぶりに事務所に戻ってきた沖田を迎えたのは、同僚の斎藤だった。

    「そうなんですよ。どっかのヘラヘラ社員さんと違って沖田さん、真面目に仕事してるので」
    「はは、言うじゃないの沖田ちゃん。どーお? 今から一本手合わせ」
    「いいですねぇ、じゃあ……」
     
     さっそく二人が事務所内にある道場に行こうとすると、副所長室のドアの向こうから「おい沖田、戻ってきたんならまず報告しろ」という土方の声が響いてきた。鬼の副所長を怒らせる訳にはいかない。いってらっしゃーい、とからかい半分に言う斎藤を横目に、報告するべく沖田は副所長室に入っていった。

    「で、どうなったんだ朝の件は」
    「どうもなにも今は暇ですし、私が担当しますよ。……実は、対象の方は高校の頃の友人なので。先方も、顔見知りならより安心して任せられると言ってました」

     沖田の報告を受けて、じゃあその件はお前に一任するぞと告げ、彼は退室を促した。


     沖田が副所長室から戻ってくると、斎藤は話を切り出した。

    「別に無理しなくていいんじゃないの沖田ちゃん。その子のこと、昔好きだったのにフラれちゃったんでしょ? 常に一緒ってのは、辛いんじゃない」

     朝、オフィス・カルデアからマシュが来ていた時。斎藤は担当こそしなかったものの、事務所にいたためその話を聞いていた。そして彼は、沖田と藤丸立香の間にかつて何があったのを知っていた。

    「これは仕事です。私情を挟まないようにしますから」
    「そ。もし何かあったらさ、僕にいつでも言いな。代わってやるから」

     代わってやるから。斎藤の口からその発言が出た瞬間、沖田の顔つきが険しいものに変わった。どう見ても仕事がどうのこうのという顔ではない。自分以外に彼女の護衛をさせないという、そんな意志のこもった顔つきだ。

    「……その必要はありません」
    「私情挟みまくってるんだよなぁ……」

     まあ、いいか。とひとりごちる。あんなに自分の感情を剥き出しにした沖田をお目にかかれることは滅多にない。
     それこそ、以前飲んだ際に彼女──今回の護衛対象である藤丸立香について聞かされた時以来な気がする。
     仕事帰りに寄ったとある居酒屋。隣のグループはだんだん騒がしくなっていき、途中からは会話の内容(藤丸立香に関する、下品な話題ばかりのもの)が丸聞こえだった。
     これはヤバい、と察した斎藤が咄嗟に「沖田ちゃん、明日も早いし、お開きにしよっか!」とタッチパネルの会計ボタンを押していなかったらどうなっていただろう。考えるだけでも恐ろしい。

    (会計の時、店員の子ビビりまくってたもんな。僕もヒヤヒヤしてたけど)

     当時のことを思い出して苦笑いしていると、突如沖田のスマートフォンが震え出した。

    「立香さん? どうしたんです」

     ま、俺もそろそろ退社しますかねとソファーから立ち上がろうとすると、目の前の沖田の顔に緊張が走り、声も緊迫感のあるものに変わった。

    「今、どこにいますか? 周りに何か建物は?……はい、はい。ええ、あそこの。わかりました。……いいですか。絶対に電話を切らないで下さい。すぐそっちに行きますから!」

     沖田の応対。嫌がらせを受け、徐々にエスカレートしているという相談内容。そこから立香の身に何が起こったのかは容易に想像できた。

    「尾けられてたのか」
    「帰宅したら、確かに施錠したはずのドアが開いていて、玄関が荒らされていたと」
    「彼女の家までは?」
    「車で十分ほどです」

     本人は冷静を装っているつもりだが、取り乱しているのが丸分かりだった。今すぐ、何としてでも彼女の元へ飛んで行かなければという焦りも見える。

    (まったく、本当に好きなんだな)

    「危ない危ない、あとちょっとで一缶開けるところだったわー。……沖田、乗れ。飛ばすぞ」
    「えっ、でも」
    「そんなんで運転に集中できるわけ?」
    「……っ、お願いします、斎藤さん」

     珍しく斎藤の気迫に押されたのか、それとも彼女のためなら何でも……という気持ちがあったのか。沖田は斎藤の提案を受け入れた。

    「立香さん、今から行きます。十分弱で着く予定です。何度も言うようですが、絶対電話を切らないように!」
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    🍵
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    miya_4ta

    DOODLE魔法少女モノパロアルキャスぐだ♀
    ・勢いで書いてなんも推敲とかしてないのでだいぶ荒削りですがとりあえず載せちゃえ~の精神
    ・設定はガバです
    ・正直某変身ヒロイン読んでたら魔法少女するアルキャスとサポ妖精するオベロンと転校生イケジョキーパーソンの藤丸が書きたくなったから書いたみたいなところある
    ・なんでも許せる人向けだよ!
    魔術少女⭐︎ル・フェ 第n話「キスではじまるなんとやら」 それは、師にしてパートナーの彼から言われた言葉。 

    「いつか、君が運命のヒトと出逢う時――君の中に眠っている力は目醒めるよ」

    ***
    「これで終わりだ! えーい!」
     アルトリアは魔術で強化した杖を大きく振りかぶった。そしてそれをまっすぐに降ろすと、ソレ(・・)は呻き声を上げて消滅していった。
    「ふう……」
    「お疲れ様、アルトリア! 無事にあるべきところに戻ったのを確認したよ」
     変身を解いてひと息つくと、ふわふわの蚕に乗ったふわふわの妖精王が、近づいてきた。
    「よかったー! ありがとうございます、オベロン。それにブランカも」
    「いやあ、君のパートナー兼お助け妖精として、これくらいは当然だろう?」
     ゴーグルを上げてぱちりとウインクをしてみせる彼は、やはり最高にうさんくさい。まあ、なんだかんだ信頼しているのだけど。
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