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    咲良(さくら)

    @yurutto_sakura
    ゲームskyを元にしたオリキャラのイラストやお話しを書いています!
    師匠を探す雪白(ゆきしろ)と、師匠の友人紺碧(こんぺき)を中心として、登場人物の心情と空を飛ぶ描写に力を入れて書いています。
    年齢不詳の雀たちや、2人が惹かれあっていくところも書いていきますよー!!
    BL苦手な人は退避ッ!!
    顔あり、白肌、衣装や設定など変更してあるので苦手な人は退避ッ!

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    咲良(さくら)

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    雪白が、記憶の語り部のケープを手にしたときのお話し。
    当初、野良さんをキャリーしてハートを入手する内容で書いていましたが、あまりにも味気なかったので、フォロワーさんのお子さんをお借りして書かせてもらいました。

    ##本編
    ##星くず書庫

    記憶の語り部「こ、この人数をキャリーするんですか」
    雪白は目の前の星の子たちを見て、思わず情けない声で言った。
    腕組みをして立っている雪白の師匠・・・紅藤は、当然と言わんばかりに頷く。
    いつも厳しい師匠だが、6人をキャリーしろと言うのは今回が初めてだった。
    ピアノとギターのセッションを楽しんでいた2人組が、紅藤に気づいて手を振った。
    碧海「おーい。久しぶりだね~」
    カレンデュラ「その子が雪白くんか」
    その向こう側では、焚火を囲んだ4人組が楽しそうに談笑している。
    彩「紅藤は厳しそうだからなぁ。お弟子さん逃げないといいね」
    ユカリ「わー!本人に聞こえちゃいますよ!」
    エスペラ「聞こえたからって気にするようなヤツじゃないわよ」
    テン「女子、強いですね・・・」
    雪白はひとりひとりに挨拶をして、ふと彩のケープに目をとめた。
    雪白「白ケープ、俺このケープがずっとずっと欲しくてハート貯めてるんです!」
    一目見て美しさに心を奪われ、身に着けるならこのケープだと決めたのだ。
    目を輝かせる彼に、彩はくるりと一回転してケープをなびかせた。
    光を放つような真っ白な布地に、裏側は深い紺色の美しいケープだ。
    彩「いいでしょ?白ケープ。ハート大変だけど頑張ってね」
    雪白「はい!」
    集まった6人は紅藤のフレンドで、虹かける垂れ飾り、スパイダーケープ、キズナアイヘア、ウィッチハット、したり顔の生徒のケープ、ノーフェイス、究極のお面などなど・・・それぞれがこだわりのアイテムを身に着けていて、長い旅を続けている上級者の星の子だと一目で分かった。
    この6人をキャリーするのか。
    緊張が顔に出ていたのだろう、碧海が少しかがんで優しく言う。
    碧海「雪白、緊張しなくていいんだよ」
    ユカリ「そうそう、みんな飛び慣れている子ばかりだし」
    カレンデュラ「・・・私に手伝えることがあったら、なんでも言ってくれ」
    ユカリとカレンデュラもそう言ってくれて、雪白は笑顔でうなずいた。
    紅藤「あんまりちんたら飛んでると、俺が後ろから蹴り上げるぞ」
    エスペラ「アンタが怖いから、雪白が緊張するんでしょ!」
    紅藤「ああ?これが普通だ」
    テン「雪白さん、怖かったら逃げてきていいんですからね!」
    紅藤「テン・・・てめぇ・・・」
    彩「ほら、やっぱり怖いじゃん」
    師匠の紅藤とみんなのやり取りは、自由で時々笑いが起きて、お互いに気心が知れた間柄なんだなと雪白は思った。
    いつかこんなフレンドが自分にもたくさんできるといいな、とふと思う。

    2人1組になっておんぶしてもらい、雪白の上に2人、左右に2人ずつという大人数でのキャンマラが始まった。
    紅藤は少し距離を置いてついてくるようで、後ろからの師匠の視線を強く感じつつ、雪白は孤島の大きな岩の上から飛び立った。
    人数が多いとエナジーの回復が驚異的に早く、ケープレベルの低い雪白でも休まず飛ぶことができる。
    左右の2人はキャンドルに火をつけたり、扉を開けてくれたり、さすが飛び慣れているだけあって先回りして助けてくれる。
    まだまだ飛行が粗削りな雪白は壁にぶつかったり、着地しそこねて落下したり。
    そのたびに笑いが起きたり、誰かが助けてくれたり。
    雪白は最初こそ緊張していたが、失敗しても穏やかに認めてくれる空間がとても心地よいと思い始めた。
    キャリーしているのは確かに自分だが、みんながそれぞれ気にかけてくれ、助けてくれ、だんだんと緊張がほぐれてくるのを感じた。

    紅藤は後ろから見守りつつ、暗い洞窟で道に迷う弟子に頭を抱えていたりしたが、ふと自分が微笑んでいることに気づいた。
    昔、雪白を拾ったのは草原の洞窟だった。
    生まれたての、華奢で貧弱な星の子。
    おまけに闇に襲われて大怪我をしていた。
    なんとか一命は取りとめたが、そのせいで暗い場所を怖がり、洞窟や雨林、書庫は慣れるまで苦労したものだ。
    それでも今はこうして、自分よりはるかに上級者の星の子たちを連れて、なんとか飛べている。
    紅藤「(もちろん、皆が助けてくれているからなんだがな。でもよくやってるよ)」
    初期のケープを精一杯羽ばたかせる後ろ姿を頼もしく思い、弟子を助けてくれる皆に感謝し、紅藤は目を細めながらその光景を目に焼き付けた。

    だいぶ時間をかけて捨て地まで周り、ようやくホームへ戻ってきた時はさすがに疲れ果てて、雪白はその場に座り込んだ。
    ケープの加護があるとはいえ、おんぶは足腰に負担がくるし、両手がふさがれた状態で飛ぶのはとても疲れた。
    なんとか無事に周れたという安堵がどっと押し寄せる。
    キャンドルの取り忘れはなかっただろうか。
    壁や岩にたくさんぶつかってしまった。
    手間取ってしまった部分もあり、次回は気を付けなければ・・・。
    テン「よく最後まで頑張りましたね。ささやかながら受け取ってください」
    笑顔で皆から差し出されたのは、お礼のハート。
    雪白「もらっていいんですか!!?」
    彩「もちろん!白ケープゲットのお手伝いになれば、だよ」
    むしろ自分の練習に付き合ってもらった、という気持ちが強かった雪白は驚いて皆の顔とハートを交互に見やった。
    紅藤「あのキャリーでハートもらうなんて、贅沢(ぜいたく)なんじゃねぇか? なぁ雪白?」
    その様子を見ていた紅藤は、意地悪く笑って言った。
    碧海「ほらまたいじめる。まぁそこが面白いんだけど~」
    雪白「師匠、俺がどんなにハート欲しがっているか知ってるくせに・・・キャリーは、まだまだ努力しなくちゃいけませんが・・・」
    話しているうちに、自信なさげにどんどん小さくなる語尾。
    エスペラ「いいのいいの!ほら!早くしまっちゃいなよ!」
    受け取っていいものか所在なさげにしている雪白の肩を勢いよく叩いて、エスペラはウィンクする。
    師匠に何か言われる前に、とばかりに鞄へハートを急いで仕舞い込み、雪白は皆に頭を下げた。
    テン「今日はありがとう!雪白さん、お疲れさまでした!紅藤さん、お弟子さんにはお手柔らかにお願いしますね」
    碧海「僕、少しピアノの練習していこうかな~」
    カレンデュラ「では私もご一緒させてもらおうか。ピアノとギターの演奏もなかなかいいものだな」
    ユカリ「それなら、いい場所知ってるんですよ!草原近くの森の中にあるツリーハウスなんですが、焚火があって落ち着く場所なんです!」
    紅藤「そこのツリーハウスにいる雀の三姉妹に気をつけろよ。化け物だぞ」
    それは森の開けた場所にある3階建てのツリーハウスで、1階には雀の三姉妹が切り盛りする「看板のない店」と呼ばれている食堂がある。
    草原近くのツリーハウス、と聞いて、多少ひきつった表情になる紅藤。
    どうやらなにか苦い思い出があるようだ。

    手を振り、飛び立っていくフレンドさんたちを見送ってから、雪白は嬉しくてたまらない、といった表情で拳を握った。
    ようやく49個、ハートが貯まったのだ。
    目標の50個まであとひとつ。
    まだ雪白が空を飛び始めたばかりの頃、初めて目にした真っ白なケープに心を奪われた。
    布そのものが光を放つような、美しい「記憶の語り部」のケープ。
    身に着けるなら絶対にこのケープだと決意してからは、他のアイテムには目もくれずにハートを集めてきた。
    師匠のフレンドが協力を申し出てくれたが「キャリーなしでハートを受け取るのは許さねぇ」などと、その大半を紅藤が断ったおかげで、雪白はハート集めに四苦八苦することになったのだ。
    当時は、ちょっとくらい協力してくれてもいいじゃないかと拗ねたものだが、今となっては、あのとき甘やかされなくて良かったと分かる。
    もしも簡単にハートを入手していたら、手に抱えた鞄の重さを、ここまで誇らしく思うことはなかっただろう。
    物思いにふけっていた雪白の目の前に、紅藤の手が差し出された。
    その手には、ひとつのハート。
    え、と間の抜けた声が、雪白の口から転がり落ちた。
    「これで50個、だろ?」
    穴が開くほどハートを見つめる雪白の鼓動が早くなって、頬が赤く上気する。
    それとは対照的に、ほとんど表情の変わらない紅藤だが、きつい目元がいつもよりも穏やかに雪白を見下ろしていた。
    「師匠!」
    感極まった様子で、雪白は紅藤に飛びついた。
    普段はじゃれつくと、必ず足払いをかけられて、あっという間に地面に転がされる。
    しかし今日は雪白にされるがまま、抱きつかれ、揺さぶられるがまま、紅藤はじっとしていた。
    花火杖を扱い、硬くなった大きな手のひらが、乱暴に雪白の頭をなでる。
    ぐしゃぐしゃに乱れた髪のなかで全開に笑う弟子を見て、紅藤も微笑んだ。
    「ま、お前にしちゃ、頑張ったんじゃねぇの」
    「もっと素直に褒めてください!たまには褒めてください~~!」
    襟首をつかんで揺さぶる雪白の手を掴んで、見事な一本背負いを決め、紅藤はふん、と鼻を鳴らした。
    「~~ほんっと容赦ないですよね、師匠!鬼!鬼ししょー!」
    「ちゃんと受け身とれるようになったじゃねぇか。うっせぇ!早くケープ交換してこいよ」
    あまりモタモタしていると、今度は蹴りが飛んでくるだろう。
    ぐっと力をこめ、バネのように跳ね起きると雪白は星座版へ向かった。
    「・・・次は、こいつをくれてやるかな」
    後ろ姿を眺めながら独り言ちて、紅藤は自分の耳飾りにそっと触れた。
    雪白を拾ったとき、強く育てようと思った。
    自分が拾ったガキなのだから、好きなように育てようと。
    強く、真っすぐな、磨き上げた刀のような星の子に。
    この耳飾りを渡すとき、彼はまた一回り成長しているだろう。
    白いケープを手にした雪白が、遠くで手を振っている。
    弟子の成長が楽しみだなんてジジくさいな、とちらりと思いながら、紅藤も片手をあげて、雪白に応えた・・・―――。

    (完)

    Special thanks
    エスペラさん @Noa_Sky_920さま
    碧海さん @Nizisan_skyさま
    テンさん @tenri_skyさま
    ユカリさん @sakura_ponnzuさま
    彩さん @irodoruhana0624さま
    カレンデュラさん @Lily_Lycoris_icさま

    大切なお子さん、ありがとうございました♡


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