日常(紺碧×雪白 課題・野宿)食堂の厨房にて...
芋の皮むきを手伝う雪白。
こはくとう「慣れてますわね〜」
雪「師匠(紅藤)と居たときは自炊が基本だったので」
小さなナイフを使って、器用に皮を剥きながら答える。
「お紅(べに)さんは、料理どうでした?」
雪「う〜ん。味より...栄養重視で...焼いただけの魚とかキノコとか簡単なものが多くて、それはそれで美味しいんですけど。
ときどき立ち寄る町のご飯が、どれだけ美味しかったか...」
思わず皮むきの手に力が入る。
雪「はぁ〜思い出すなぁ。肉汁たっぷりのお饅頭とか、熱いスープの中に具と麺がいっぱい入っているのとか、衣をつけて揚げてあって、食べると中からチーズとお肉がでてくるのとか!!」
「ふふ。ヨダレが垂れちゃいそうなお顔ですわ〜。相当美味しかったんですわね♪」
雪「食事は、旅の楽しみの1つでしたからね!」
紺碧「楽しそうだね。ただいま〜」
そこへ顔を出したのは、帰宅した紺碧。
雪「あ!おかえりなさい!!」
紺「ん〜雪白くん。今日も元気でいいね。手伝いも感心、感心」
いいこ、いいこ、と頭を撫でる。
本当は頬擦りもしたいけど、雪白はナイフを扱っているから我慢。
紺「緑風先生の課題はどう?」
紺碧も皮むきに加わり、手を動かしながら尋ねる。
雪「レポート提出したんですけど、着眼点はいいから、もっと現地に行って光の生物をちゃんと観察しなさいって。だから明日雨林へ出かけてきます。たぶん一泊して帰ります」
今回もどっさり課題を出されていて、残りの課題を考えるとため息が出そうだった。
紺「雨林か。僕も行こうかな」
皮が残っていないか芋をくるりと回して確認し、紺碧が言った。
それを聞いて雪白の顔が明るくなる。
雪「来てくれるんですか?やった。じゃあ火鉢は大きい方にしよう」
紺「僕は杖の手入れでもしていようかな。雨の音を聴きながら無心で出来そう。楽器は音が出るからやめておいた方が良さそうだね」
雪「久しぶりの野宿。楽しみです」
紺「ご飯は僕に任せて、雪白くんは課題頑張ってね」
雪「紺碧さんのご飯!」
紺「何にしようかなぁ。夜はリゾット...スープパスタの方がいい?チーズの燻製作っておいて、翌朝は燻製チーズとパンにしようかな。お昼どこかお店で食べちゃおうよ」
雪「課題なんかやらないで、遊びたくなりました...涙 お腹空いた...」
楽しそうに話す2人の様子に、こはくとう の口元にも自然と微笑みが浮かぶ。
この2人が仲良しなのはとても微笑ましい。
雪白をこの家に置く、と言い出した紺碧に、当初は微かに不安を感じていた こはくとう だが、それは杞憂に終わった。
紺碧が雪白を手元に置くのは紅藤への当てつけも含まれるだろうが、それ以上にこの2人はお互いを必要としあう仲になっている。
(2人の関係がどこまで進んでいるのかは分かりませんが、応援したくなる2人ですわね。雪白さんは今どき珍しいくらい真っ直ぐでさっぱりした子ですし、何より紺碧さんに心開ける人ができて本当に良かったですわ)
これからもそっと(時には野次馬根性丸出しで)見守ろうと誓う こはくとう でした。
完