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    咲良(さくら)

    @yurutto_sakura
    ゲームskyを元にしたオリキャラのイラストやお話しを書いています!
    師匠を探す雪白(ゆきしろ)と、師匠の友人紺碧(こんぺき)が中心。
    うちよそ、うちうち、BL、顔、衣装や設定の捏造あります。

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    咲良(さくら)

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    素敵なお子さんお借りしました♡
    桜みそさん宅 オリヴィエさん

    うちよそSS 緑風×オリヴィエさん別行動をしていたオリヴィエさんと緑風。
    合流地点に現れたオリヴィエさんが怪我を負っていて、緑風は青ざめる。
    占いに文句を言う客と口論になり、逆上した相手に暴力を振るわれたという。

    「本当に品のないお客様だったよ」

    オリヴィエは不敵に笑って見せるが、緑風の表情は険しい。

    「...相手の特徴と、向かった先は...?」

    仄暗く緑の目を光らせ、低く発する声は、抑えてはいるが明らかに怒気をはらんでいる。

    「もう昨日のことさ。この辺りになんていないよ」

    オリヴィエは、ふうと息をつき疲れたように笑った。
    そして倒れ込むように、緑風の胸に身体を預ける。
    緑風は慌てて、彼を支え、そして抱き上げた。

    「...昨夜はあまり寝ていないんだ...」

    呟くように言って目を閉じたその顔には疲労の色が濃く、切れた唇がさらに痛々しさを感じさせる。

    「医者には?」
    「この程度なら必要ない。怪我には慣れているよ」
    「...そう...ですか...」

    緑風の手のひらが、そっとオリヴィエの頬を慈しむように撫でる。
    節のある太い指先に、オリヴィエの薄く滑らかな肌の感触。
    その手に自分の手を重ねて、オリヴィエは緑風を見上げる。

    「ふふ。緑風。そんなに悲しい顔しないで。まるで耳を垂れた大型犬みたいだ」
    「...宿をとってあります。ここから少し離れているので、寝ていて下さい」

    緑風は心配そうに眉間に皺を寄せ、回した腕が余るほど小柄なオリヴィエを精一杯優しく抱きしめた。

    「じゃあ、少し寝かせてもらう」
    「着いても起こしませんよ。休んで下さい」
    「...緑風」
    「なんですか?」
    「...シチューが食べたい」

    唐突なオリヴィエの要求に、一瞬の間を置いて緑風は破顔した。
    垂れ目の優しい目尻が、さらに下がる。

    「もちろん、用意しましょう」
    「あと焼きたてのパンも」
    「はい」
    「それと、身体中痛くて湯浴みができないんだ。手伝ってくれるかい?」
    「もちろんです。薬草を入れて薬湯を作りましょう」

    オリヴィエの荷物を背に背負い、ほとんど重さを感じないほど華奢なオリヴィエを胸に抱き、緑風は助走することもなく空へと舞い上がる。

    宿に着いたら、しっかり休んでもらおう。
    湯浴みを済ませて、清潔に。
    温かい食事を用意して...。

    「緑風」

    宿に着いてからのシュミレーションをしていると、オリヴィエの静かな声で呼びかけられた。

    「はい」
    「...ありがとう」

    長いまつ毛に縁取られた、綺麗な青と黄色の瞳が見上げてくる。

    「我儘を言ってしまって、すまない」
    「何を言っているんですか、そんなこと我儘のうちに入りません」

    力強く羽ばたき、風を切り、ケープが大気を叩く。

    「俺はもっと貴方のことが知りたい」

    各地にちらばる生徒たちのところへ赴くため1つの場所に留まらない緑風は、オリヴィエと別行動することも多くある。
    だから一緒に居られるときは、たくさん彼の話しを聞いて、彼のことを知りたいのだ。
    好物を知ったのもつい最近のことで、彼が1人のときは携帯食で食事を済ませていることも最近知った。
    焼きたてのパンを頬張って、温かさ柔らかさに驚いていた顔が普段より幼く見えてとても可愛いと思った。

    「おや、緑風。私は意外と君のことを知っているかもしれないよ?山野を駆けめぐる体力に、背に隠した猟銃。食事は美味しそうに、でも上品に食べるね?笑うと目尻が下がって少し皺ができる。生徒に慕われていて、時々からかわれていたりする。レコキャンの録画停止を押し忘れる。どこでも眠れてしまうのだけど、道端で寝ていると熊と間違えそうになる。荷物がとっても多くて、先日は友人の悪戯で荷物に土嚢を入れられたが、なんと気づかなかっただろう」

    「は、え、えぇ?!土嚢のこと知ってたんですか?!」

    「荷物を整理していたら底から出てきたが、トレーニングの一環だと思ってそのままにしたんだ。後に蒼黒団長の悪戯だと知ったのだが」

    うろたえたような、情けない声が緑風の喉から漏れる。
    君のこと意外と知っているだろう、と、くすくすと笑って、オリヴィエは悪戯っぽく目を細める。

    「私は意外と秘密が多いかもしれないぞ?」

    「おやおや、これは参りましたね...。しかし俺は解き明かすことが大好きでしてね。核心に迫ったときの高揚感や焦(じれ)ったさが大好物だということは知っていましたか?」

    オリヴィエに野性味を感じさせる微笑を返しながら、彼を抱く手に力を込める。

    「貴方を解き明かすのが楽しみだ」

    生徒には決して見せない、それは教師にあるまじき男の顔だ。

    「困った先生だ」

    肩をすくめてから、首を伸ばして緑風の頑丈そうな顎に口付けをひとつ、そしてオリヴィエは再び体を預け目を閉じた。
    私を姫扱いする困った先生は、頼れるパートナー。
    温もりと確かな信頼に心地よさを感じて、オリヴィエは今度こそ眠りに意識を預けた。



    ☆☆おまけ☆☆

    「...湯浴みの最中、変なところ触ったら怒るからな」
    「えぇ?!少しくらいボーナスあっても良いんじゃないですか?!」
    「怪我人だぞっ!それにボーナスは年に2回だ」
    「少なすぎますよぉ...せめて月に1回...」
    「強欲だぞ先生」
    「それくらいの働きはしますよ、姫」

    (完)
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