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    FineRisoluto

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    Fine Risolutoふぃーねりぞるーと。FF14用アカ。 FF14の自機小説を公開しています。
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    !FF14の6.0までのネタバレを含む可能性があるのでご注意ください!
    ★この小説について★
    FF14自機のフィーネの6.0の後日談です。
    大きな山場もなく、ただ平和な冒険の後日談が好きな人向け。
    フィーネ:作者の自機。アウラ・ゼラの女性。

    #FF14

    ある「元」光の戦士の6.02その4 ペンダント居住館の前を通りかかったエルフは、甘い香りに誘われた。窓の空いている一室からハーコットの香りが流れ出ている。
     そういえば最近甘味を食べていない。
     元より香りの強いハーコットが目立つが、他にも果物を使っているように気がする。それなりの手間をかけて作られているのかもしれない。
     あの部屋の住人は何か祝いごとでもあったのだろうか。

    「ご所望の品です」
     うやうやしい態度で妖精王に器をお届けする。
    「くるしゅうないのだわ」
     器には果物を煮詰めてゼラチンで固めた涼菓、ハーコットゼリーが盛り付けられている。
    「ふーん」
     と、ゼリーの周りを飛びながら観察するフェオに、フィーネは謝罪する。
    「お茶かけちゃったのごめんよ!!」
     改めて謝罪する。この間も怒らせて仲直りしたばかりなのだ。次は気をつけないと、と肝に銘じる。
    「どうしようかしら。ん、まあまあね」
     フェオがゼリーを口に運ぶに。イマイチそうな口ぶりだが、食べるペースを見ると気に入ったようだ。
    「よく冷えているわ。どうやったのかしら」
    「アイスシャードを使うとよく冷えるんだ」
     本来料理には使わない触媒だが、持っていれば何かと使い道はある。
     フィーネもいつも多めに確保していた。
    「あなたのことだから魔法を撃ったのかと思ったのだわ」
     確かに横着してファイアで食材を焼くことはあるけれど。だいたい焦げるし、ファイジャだと消し炭になる。
    「魔法で冷やすのは加減が難しくて。凍って砕けることが多いからやめたんだ」
     できなくはないのだろうが、炎魔法より苦手なのである。
    「やったことはあるのね?」
     じっとりした目で見られている。ピクシーにあきれられるヒト、フィーネ。
    「むかしね。タタルさんにめちゃめちゃ叱られた」
    「なにを凍らせたのよ」
    「巨匠の水薬(HQ)を12グロスほど。ブリザラで氷を出して飲み物を冷やそうとしたら、間違えてフリーズ撃っちゃってさ。あんな虚無の顔は生まれて初めてみたよ」
    「水薬……おいしくなさそう。そんなもの凍らせてしまって良いのだわ」
    「たしかに美味しくなかったけど。タタルさんは美味しい水薬がとかいっていたな」
    「ヒトは不思議なのだわ」
    「味覚は人それぞれだからね~」
     あはは、と楽観的に笑っているが、実はその時の損害賠償をまだ払っていないフィーネである。原価で良いので弁償するか働いて返すように言われている……。
    「材料はどうしたの?」
     ぱくぱくとゼリーを食べるフェオが問う。
    「リトルレモンはユールモアの帰りに採集した」
    「あなた、そんなことしていたかしら?」
    「昨日はフェオちゃんが寝ていたからね。その隙を狙いました」
     渾身のドヤ顔を決めるアウラがそこにいた。
    「これは?」
     ややスルー気味に聞いたフェオの持つスプーンにのっているのはハーコットだ。
    「イル・メグの木にあった気がするけれど、行ってないでしょう?」
    「それはベスデンにわけてもらったんだ」
     博物陳列館で働いている人だ。アウラ同士なのもあってなにかと交流がある。
    「あなた……」
     驚いたようにフェオの瞳が大きくなっている。感激したのだろうか。
    「ヒトの友だちがいたのね」
     そこかい。
    「『美しい枝』」
     フィーネの瞳は閉じ気味である。『美しい枝』に友だちがいないと思われているのはショックが大きい。せめてオブラートに包んでほしい。ピクシーがオブラートを使うのかはわからない。
    「ま、まあ、お詫びだからさ……ちゃんと材料も集めたんだよ。ガーデンビートシュガーも入っているけれど、これもベスデンにもらった。彼は甘いものが好きみたいだよ」
     闇の戦士として過去に恩を売っておいてよかった。また依頼するからよろしく、とも言われてしまったが。
    「私もたべよーっと」
     フィーネは冷やしておいた自分の分を取り出して、フェオの向かいに座る。
    「おかわり」
     スプーンを手に持ち、さあ実食というところでフェオが言った。
    「ふたり分しかないんだよ」
     困ったように笑いながら、フィーネが告げる。
    「じゃあ交換しましょ」
     食べ終わった器を差し出して、フェオが笑っている。
    「何を」
    「私の器と、若木の器よ」
     にっこり。
     フィーネは自分の器と彼女の器に交互に視線を移す。
    「フェオちゃん、食べ終わってるじゃない」
    「お詫びに。何でも。するって。あなたが。私に」
     区切りながらフェオが言葉を紡ぐ。首をかしげるようなしぐさがかわいらしい。
    「私の……ゼリー……」
    「若木のものは、私のものよ」
     かくしてフィーネのハーコットゼリーは『美しい枝』の胃袋に収まることになる。





    〜おまけ〜
    フィーネが凍らせた巨匠の水薬(HQ)
     漆黒時代、みんな大好きだった巨匠の水薬。HQ3個をクリスタリウムでリーヴ納品すると7000ギルもらえる。
     12グロス=1728個=約400万ギル分である。※6.0でナーフされたので半分以下の金額になってしまった。
     タタルさんのいう「美味しい水薬」は「利益が美味しい水薬」の意味。
     クリスタリウムに行けないタタルさんはフィーネに換金しに行かせようとして呼びつけたらこれである。
     その後フィーネはアン・アヴァンとイルーシブジャンプを駆使して逃げた。
     タタルさんはフィーネ対策をしっかりしたので、今はもう逃げられないだろう(ある「元」光の戦士の6.01その3参照)。



    ブリザラ
     漆黒時代の話なので使用者の周囲に氷が発生する。暁月からは遠距離範囲になった。

    ハーコットゼリーの素材
     リトルレモン
      コルシア島 6:00~ 18:00〜 未知
      ユールモアの帰り(ある「元」光の戦士の6.02その3)で採集した。

     ハーコットとガーデンビートシュガー
      採集するならイル・メグだが、今回はベスデンにもらった。
      このエピソードはサブクエスト「水晶公の御用達」をベースにしています。
      クエスト報酬でベスデンにもらえるのはハーコットゼリーそのものですが、彼なら材料のハーコットも持っているでしょう。

     ゼラチン
      クリスタリウムの素材屋に売っている。
      みんな素材屋の位置知ってる?ショップの中でも端っこにあってわかりづらいんじゃけど。
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    DONE・FF14の6.0までのネタバレを含む可能性があるのでご注意ください。
    ・FF14自機のフィーネの6.0の後日談です。
     大きな山場もなく、ただ平和な冒険の後日談が好きな人向け。

    ・フィーネ=リゾルート
    「元」光の戦士。アウラ・ゼラの女性。クリスタリウム中心にノルヴラントに引きこもっている。ミーン工芸館で職人として働いている。
    ある「元」光の戦士の6.03その9「なぜクラフターをやるんだ、という人がいる」
     フィーネは斧を振り下ろす。脇には既に伐採を終えたパイン原木が山になっていた。
    「ええ」
     フェオはその山の上に腰掛けて両手で頬杖をついている。
    「なぜギャザるのかと問う人もいる」
    「そうなのね」
     静寂の中をアオサギ滝の水が流れ落ちる音が心地良い。二人はヤンサを訪れていた。
    「でもクラフターもギャザラーも目的のためにするわけじゃないんだ」
     木に斧が打ち込まれる音がリズミカルに静寂を切り裂いていく。
    「お仕事だからするんだと思っていたのだわ」
    「順番が逆なんだよ。クラフターもギャザラーも仕事ではあると思う。だけどそうじゃない。仕事だからするんじゃあないんだ。やりたいことをして、楽しくなって続けているうちにそれが仕事になっていくのが一番良いんだ」
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    FineRisoluto

    DONE・FF14の6.0までのネタバレを含む可能性があるのでご注意ください。
    ・FF14自機のフィーネの6.0の後日談です。
     大きな山場もなく、ただ平和な冒険の後日談が好きな人向け。

    ・フィーネ=リゾルート
    「元」光の戦士。アウラ・ゼラの女性。クリスタリウム中心にノルヴラントに引きこもっている。ミーン工芸館で職人として働いている。
    ある「元」光の戦士の6.03その8「お前ら、会うたびに喧嘩するのなんとかならねえのかい?」
     フィーネの母の腕にできた傷の手当てをしながら、父親がため息をつく。
    「ため息のつき方が若木にそっくりなのだわ……!」
     フィーネに出された緑茶をすすっていたフェオが感激するその横で、フィーネもまたため息をつく。
    「似てないよ」
    「ほら、今、そっくりだったのだわ!」
     フェオは喜び、フィーネと父の間を飛び回る。
    「それにしてもお前、風の噂じゃあ聞いていたが腕が立つようになったんだなあ」
     父親の感嘆をよそに娘は淡々と答える。
    「母さんより腕っぷしが強い人のほうが少なかったよ?あ、でもアジムステップはもっと喧嘩っ早い人がいたなあ」
    「いやあ、それでも母さんに喧嘩で勝てるようになったなんてなあ。父さんなんだか涙腺にきたよ」
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