【さにきゅあ】男の子の秘密の話「たっくん、たっくん、聞きたいことあるんだけどいいい?」
「なんだ?」
「SEXって何?」
それは突然やってきた。元敵幹部だった清麿が寝返ってから半年。彼は毎日ここに顔を出すようになった。見た目は普通の高校生だったが中身はとても幼くて恐ろしく無知だった。そんな彼が聞いてきたことは。
SEXは性行為。その目的は子作りだったりお互いを確かめ合う行為だったりするわけで。多喜が学生時代の時は大抵の話題はそれだったり所謂AVを鑑賞したりとまあその手の話題には事欠かなかった。高校生くらいの年齢ともなると出会いも多くなるし、そういうことにだって興味は出てくる。彼の場合それが今だったというわけで特別早くも遅くもないのだ。多分。
教えるだけならまあと思うが清麿には彼を大事に思っている幼なじみが居る。清麿も相手のことを大事に思っている。傍から見れば好き同士なのに未だ清い付き合いだ。以前それを清麿の相手である水心子にその手の話題を振った時は彼は言った。
「早すぎでは無いか。昨今の恋愛事情はどうであれ学生のうちは勉強に勤しむべきだろうと」
水心子の言うことはご最もだが今はそういうことに興味がなくても彼も男だ。いずれはそういう欲も出てくるわけで。他人の恋路に首を突っ込む訳では無いがもし迫ってきたらどうするつもりなのだろう。水心子は真面目だ。無理やり抱くことはしないだろうが思いを通わせるまではだくことはないと思う。以前婚前交渉の話をしたらもってのほかだと言っていたのを思い出す。
もっと自由でいいと思うんだけどなぁと多喜は思うが多喜自身も初めては好きな人と決めている。そんなことをぼーっと考えていたら「多喜、お茶溢れてる」と咲貴に指摘され我にかえる。
「清麿、お待たせ。それでさっきのその…」
「えっとね、これクラスメイトの子から渡されたの。最高だから見てみろって」
「あれ、これって無修正の…」
「無修正??」
清麿がバッグから取り出して見せたのは一枚のDVDディスク。パッケージこそ貼られていないが話からしてまあその手の者だろう。素人に初っ端から無修正はないだろう。うん。ここに水心子がいたら確実に取り上げられるのは必死だ。どう説明すればと悩んでいたら水心子が多喜達のところに来た。
「3人で何を?」
「あ、すう、あのね、これ今日クラスメイトの子から見てみろって言われたの。エッチなビデオだって言ってたよ」
エッチなビデオ。その単語が出た瞬間水心子は清麿の手から取り上げ万華亭の窓からそれを放り投げた。そして一言。
「我が君にはまだ早い!」