男子組4人をにーごにしてみた話(冬彰)男子組4人がにーご化してます。苦情は受け付けません。それでも良ければスクロールしてください。
「トーヤ、ねえ外行ってみようよ」
「…外よりピアノの練習しないと…コンクールが近いんだ」
「息抜きも大事だよ」
端末に住む少年に外出をねだられ冬弥はため息を着く。今から少し前冬弥はバーチャルシンガーの初音ミクに暗く寂しいセカイに呼ばれた。そしてその初音ミクは普通とは違う初音ミクだった。最初は冬弥だけだったセカイに少しづつ人が増えて行った。幼馴染みだった司と元天才マジシャンの神代類、そして休業中の子役、東雲彰人。彼らはミクのSOSを受けてこの寂しいセカイに呼ばれたらしい。司以外と初対面だった冬弥は知らない2人に驚いた。彰人と類はいわゆる有名人で姿を見なくなったあとでもテレビで噂に出るくらいの実力の持ち主だからだ。小さい頃から英才教育を受けていた冬弥は彼らの事を知らなかった。だからこそ当初は警戒心むき出しだったが、司を通して話すことで今では軽口を叩くくらいの仲にはなった。
それからしばらくしてレンが現れた。当初はオドオドしていたが一緒に過ごすうちに慣れていった。このレン、気弱だが外のことには興味津々らしく4人がいる時もしくは暇な時は外に連れ出してもらっているのだが、冬弥はいまだに一回もない。冬弥にとって外に出ることは簡単なことでは無い。一人で外になんてこの歳になるまで出たことがない。小さい頃はコンクールや両親に連れられ出ていたように思うが、あることをきっかけに冬弥は外を出ることを避けるようになった。耳が良すぎるのもそうだが、もうひとつ別の理由もある。それなりに有名なコンクールだとテレビ中継もある。その中継が起こした事故で冬弥は人が怖くなった。とは言え全くダメという訳ではなく玄関や近くの公園までなら何とかって言う感じだ。
「レン、外出たいなら俺が連れて行ってやるよ。変装してくるからちょっと待ってろ」
ああ、また。押し問答していたふたりを見兼ねて彰人が言う。休業中の子役となっているが、その実彰人は謹慎中の身だ。その理由は大人の理不尽極まりない理由で。家にずっと居ても息が詰まるらしいので変装しては街に飛び出しているらしい。
「東雲、すまない」
「気にするなって。お前、気分転換した方がいいぞ。顔色悪い」
「俺の事なら気にしないでくれ。少し休めば治る」
「そんな顔して気にするなってのが無理。」
「行くとこ、俺の家の近くの公園だから。人混み苦手なんだろ、とりあえず一回着替えてくるから」
それから数分後3人は彰人の家の近くの公園にいた。冬弥はと言うと彰人の膝の上に頭を乗せて太陽を見ている。いつもはガラス越しの太陽だが、今日はガラス越しでは無い生の太陽だ。その眩しさに冬弥は目を細める。
「久々だな。こうして太陽見るの」
「生もたまにはいいだろ」
「あぁ、そうだな。」
「お前、外に出んのどれくらいぶりだ?」
「そうだな、2年ぶりくらいだな、勉強は家庭教師だったし」
勉強は家庭教師…どこか世間ズレしてると思っていたがそういうことか。着ている服からしてどこぞのボンボンかと思っていたが、品の良さはあっても金持ち特有のいやらしさが冬弥にはない。どちらかと言うとほっとけなさを彰人は感じていた。小さい頃からクラシックの英才教育を受けていた話は本人から聞いていたが改めて話を聞くことで世間と接することが出来ない世界にいたんだと彰人は感じた。あのセカイは冬弥の心を反映させたセカイだ。最初あのセカイに呼ばれた時彰人は隅に置かれた子供用のヴァイオリンと大きなグランドピアノに驚いた。あのヴァイオリンとピアノはきっとそういうことなんだろう。
「東雲?」
「…」
「いつまでも東雲ってよそよそしいんだよ。下の名前で呼べ。あの人のことも下の名前で呼んでんだろ」
「司さんは幼なじみだから」
「…いいから呼べって。ちゃんと応えてやるから、お前の声に」
彰人の言葉に冬弥はふいに心動かされる。それが何か分からない。ただその言葉は何故か信じられるような気がした。