水水でショタおに「大きい私、待っていたぞ!」
そう言って水心子を出迎えたのは同位体で2振り目の自分。同位体と言え全く同じという訳でもなく食の好み、性格は全然違う。くわえて二振り目の自分は短刀程の身長しかない。この子がここに来たのはつい一週間前。水心子の主は審神者でありながら政府職員も兼ねている。主いわく二振り目の自分は突然変異の代物らしい。ときおり政府では刀剣男士を使って実験をすることがある。二振り目の水心子はその実験の段階で生まれた産物らしいというのが主から聞いた彼がここに来る経緯だ。
「ただいま、僕」
「おかえり」
戦場に出すにしても何が起きるか分からない。ちなみにちゃんと本体は持っているがみていて非常に危なっかしいので一振目である自分が責任をもって管理している。
「今日は何をしていたんだ?」
「今日は手合わせをしたんだ!」
ああ、だからところどころ傷だらけなのか。刀として本能なのかそれとも時間をもてあましてしまったのか、いや多分理由はそれじゃない。この水心子正秀は好戦的な一面がある。あとそれと刀として本能も多少は影響しているのだろう。
数日前厨当番だった水心子は2振り目の彼を連れ厨で料理をしていたのだがその際指を切ってしまったのだ。幸い傷は深かったもののその時二振り目は水心子の持っていた包丁を取り上げるとその包丁を使えなくした。理由を聞けば彼はこともなげに言った。
「どうして?どうしてか知りたい?いいよ教えてあげる」
その後の言葉は思い出せない。一振目の水心子は気づかない。二振り目が自分に向ける歪んだ気持ちを持ってることも。一振目には見せない一面があることも。
そう全ては暗い闇の中。