ケットシー水君の話「私は誇り高きケットシーだ!」
その言葉の後になったのは自身の腹の音。水心子の家は先祖代々次ぐケットシーの家系だ。ケットシーといえば猫の王様。水心子も猫の王になるべく厳しくしつけられている。そして今彼は人間の世界にいる。何故かと言うとケットシー一族に伝わる修行のためだ。
人間の世界にはお金というものがありこのお金が無いと生活が大変らしい。ケットシーの世界には通貨というものはなかった。読んだ本によれば地域猫になれば美味しいご飯にありつけるらしいが思った以上に人間の世界は厳しかった。
そんな時だった。路地裏の扉が開いたのは。恐る恐る見れば異国の服を着た紫の髪をした人間が何かを持ってきていた。なんだろう、とてもいい匂いがする。もしかしてご馳走と言うやつだろうか。普通の猫の振りをして狩りの構えをするとその人間が振り向き水心子を抱き上げる。
「この辺りでは見ない猫ちゃんだね。毛並みがいいから飼い猫かな」
猫。確かに自分は猫だが猫の王様だ。今は違うけど!水心子は抱き上げられたまま彼に言う。
「私は誇り高き猫の王ケットシーかっこカリだ!」