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    Tears_reality

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    恋人ごっこをする則さんと水心子君の話
    清麿君が間男ポジです。安定のサイコホモになってしまった

    恋人ごっこ「僕と恋人ごっこをしてみないか?」

    恋人ごっこ。ある日の昼下がり。仕事を終えた水心子が上司である一文字則宗に言われた言葉はそんな言葉だった。

    「恋人ごっこ…」

    「人間は恋をするだろう。それに少し興味が湧いてな。どうだろう?してみないか?」

    するしない以前の前に自分は男士なのだが。わかっているのだろうか。この人は。以前から突拍子もないことを言うとは思っていたがまさかここまでとは。いやいや天下の一文字だ。何も考えていないわけが無い。それにごっことはいえ恋というものに多少の興味はある。水心子は則宗の申し出を快諾した。

    「ということになったのでしばらくはそちらに行けなさそうだ」

    「それはいいけど珍しいよね。水心子があの人の言うこと聞くの」

    「あー、それは…」

    恋に興味があると言ったらこの親友はどんな反応をするんだろうか。以前人間のことを勉強するべくテレビドラマを見た時ドラマと似たようなことをされた。水心子と清麿は部屋を行き来する中で非番の時は大抵一緒に過ごしている。付喪神と言われる彼らだが生活は人間とそう変わらない。夜更けまで話し込むのは更出し、回し飲みだってする。ちなみに夜は清麿の冷え性だと言うので抱き枕になっている。水心子が。以前その話を政府職員にしたら距離が近いんですねと笑顔で言われたのはいつの事だったか。


    「愛妻弁当とやらが食べたい」

    恋人ごっこをやると決めたその日に言われたのが先ずその言葉だった。愛妻弁当。調べれば妻が旦那のために作るお弁当らしい。それはわかるが自分は彼の妻でもなんでもないただの同僚だ。今はごっこの最中なので恋人かっこカリなのだが。どのようなものなのかを調べればベタなものだとでんぶでハートマークを作るものから好きな物で彩ったものまで。そこで水心子ははたと気づいた。則宗のことを何も知らないことに。

    「僕の好きな物、そうだな、…甘い卵焼きが好きだな、あとは塩鮭にハンバーグとやらもいいな。ああ、あとサンドイッチも好きだ。ご飯はそうだな、玄米がうまい」

    「この水心子正秀、必ずや期待に答えて見せよう」

    そう言って意気揚揚と弁当を作り始めたはいいが炭水化物ばかりなのに気づいてしまった。しかも隣には癖で清麿の分まで作ってしまった。一応時の政府にも食堂はあるのだが水心子の作るご飯がいちばん美味しいよと清麿に言われて以来ズルズルと。まあこの件に関しては何も言われてないので良しとしよう。うん

    「監査官殿、清麿、今日の弁当だ。」

    「水心子の作るお弁当は美味しいからね」

    「ふむ、ごっことはいえお前さんが作るご飯は格別だなぁ。食べる人間に対しての気持ちがこもっているのがよく分かる。」

    「別に、これは…」

    「あぁ、でも独り占めできないのは嫌かなぁ」

    途端に感じたのは寒さ。いやこれは殺気だ。和やかなランチタイムに殺気なんて似つかわしくないと思い発生源を見れば清麿で。しかも向けられているのは上司である則宗だ。うん、怖い。水心子と清麿の付き合いが長い。だから清麿が則宗に怒っているのは目に見えてわかるが理由がわからない。そういえば恋人ごっこを始める前日珍しく甘えてきたのを思い出す。仕事が終わらず部屋に持ち帰ってきた水心子に清麿が抱きついてきたのだ。あの時の彼はどこか寂しそうで。どうした?と聞けば清麿は抱きしめる腕に力を入れ縋るように言った。

    「水心子の一番は僕じゃなきゃ嫌だよ。君の隣は僕だけのものだから。だから約束して。誰のものにもならないって。ずっと僕のそばにいるって」
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