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    Tears_reality

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    空気が読める(見える)新入社員パロ(名前ばかり)

    政府職員と天江戸の話

    神様は友達が欲しい父さん、母さん、あなた達の息子はあろうことが新人なのに顕現してまもない刀剣男士の教育係になりました。刀剣男士の教育係、それは一部界隈では良いものだと聞いてるけど実際俺は触れるのは初めてです。神さまの怒りは怖いというし正直不安ですがとりあえず頑張ってみようと思います。

    「初めまして、教育係になりました春夏秋冬です。」

    「ひととせくんか。どんな字書くの?」

    「ええと…」

    字を書きながら清麿様を見れば俺にしか見えない何か。そう空気というものだ。俺には生まれつき空気が見える。その空気は人によって形が違う。その人の個性が空気の形をなしていると言った方がいいのだろうか。動物が好きな人の空気は動物の形だし、食べ物のが好きな人の形は言わずもがな。清麿様の空気は、うん、めちゃくちゃわかりやすい。これをあの方が知ったらどう反応するか俺はちょっと見てみたい。あの方、水心子様は周りからクールだとか何考えてるかよく分からないと言われるけどものすごい感情豊かだ。ここに来る前にプライベートで一緒になったことがあって可愛らしいと思った。もっと出せばいいのにと思ったが彼は新々刀の祖だ。彼なりのプライドというのもあるのだろう。


    「こういう字を書きます」

    「四季の名前でひととせって読むんだ」

    (面白い名前)

    面白い名前。そうか面白い名前なのか。ちなみに俺の本名春夏秋冬千尋だ。ひととせは苗字。他愛のない話をしていれば清麿様の空気がポンポンと表情を変える。その中でも気になった空気がひとつ。

    (寂しい)

    寂しいって…どういうことだろう。清麿様の空気はしゅんとなさってる。ちなみに清麿様の形は小さい水心子様だ。親友なのでまあ、うん。前に関わっていたことがあるせいか何故か他人事じゃいられない。でも寂しいって何が寂しいんだろう。知り合ってまもない俺が踏み込んだらきっと…。空気が読めるということはそういう事だ。空気が読めることはいいことだと思っていたがそうじゃないこともあるわけで。色々考えたけど清麿様の寂しさの原因は分からない。うん、ここは話してみよう

    「ええと、その最近なにかあったんですか?」

    「ううん、特には。」

    あ、これ言うつもりないな。なので俺は踏み込むことにした。父さん、母さん、俺は今から神様に踏み込みます。なので万が一のことがあったらよろしくお願いします。

    「水心子様と何かあったんですか?」

    ふ、踏み込んでしまった。俺の明日はと思っていると清麿様のミニ水心子様がキョトンとした感じで俺を見ている。え、何。俺まずいこと言ったかなと思ったら「水心子とはちゃんとうまくやってるよ」という言葉が帰ってくる。原因が水心子様じゃないとすると何なんだろう。その疑問は数日後明らかになる。

    「ねえ、人の子は休日友達と遊ぶんでしょう?やってみたいな」

    そわそわわくわく。もしやこれはあれなのか。俺たち人間はというか人によって様々だけど相手によっては一歩引いたりすることもあるわけで。刀剣男士とはいえ相手は神様だ。神様は敬うものだと教えられている。それ故に距離を置く人間もいる。もしかしてあの寂しいという感情は…

    「いいですよ。明日は一日中暇ですから」

    パァァ。うわ、可愛い。清麿様はとても綺麗だ。そしていつもにこにこしてらっしゃるけどなんだろう空気がすごい感情豊かというかなんというか。あのニコニコも彼の一部なんだろうけど、まあ刀剣男士に色々あるんだろうな。うん

    そうしてやってきた休日。待ち合わせをしたいという清麿様の希望で俺は現世で彼が来るのを待っていた。スマホをいじりながら待っていたら「ひととせさん」と呼ぶ声がしたので見ればそこには現世の格好をした清麿様が。イケメンは何をしてもかっこいい。そして空気もとてもはねている。その中にはお願い聞いてくれるかなと心配な空気も。

    「ええと、なにかありますか」

    「…今日は友達のようにひととせさんと色々やって見たいんだ」

    友達のように。つまりそれは対等な立場ということで。それはつまり。そんなことを考えていると清麿様が言う。

    「様付けはなしだよ。僕もひととせさんのことはひととせって言うしひととせさんも清麿って呼んで」

    無理じゃないけど神様を呼び捨てにするなんて。でも相手はそれを望んでる。それが神様の望みなら希望にそうまで。

    しばらく街中を歩いていると行列を見つけた。先を見ればパンケーキのお店。そういえばここ期間限定で有名なんだっけと思っていて見ていたら隣にいた清麿様じゃなかった清麿の顔がぱっと輝く。あ、可愛い。空気もポンポンと跳ねている。

    「ね、ここ入りたい。あのね、テレビで見てからずっと気になってたんだ。水心子と研修期間が終わったら行きたいねって話してたんだ。生クリームが沢山乗ってるから半分こできたらいいねって」

    はい、半分こしましょう。相手が俺でよければ。そうして二時間後俺たちはパンケーキ屋に入った。頼んでからしばらくしてメニューが届くと清麿が端末を取り出すとふふっと笑い出す。それからしばらくして端末を俺に見せてくる。そこには「美味しそう!僕も食べたい!ありがとう、清麿」と書かれたメッセージが。宛先は言わずもがな水心子様だ。あれもしかして…

    「今度は水心子様と一緒に来れたらいいですね」

    「うん、でもひととせともまた来たいな。あのね聞いてくれる?」

    そう言って清麿様は俺と出会う前のことを話してくれた。顕現してまもない清麿様は前後はあったもののほぼ同時に顕現した水心子様と意気投合して仲良くなったまでは良かったけど俺たちの人間の態度、一歩引いた態度にどこか寂しさを感じていたらしい。お刺身が食べたいと言えば結構な値段のするものを、またある時はゲームをしたいといえば勝たせてもらうなど。詰まるところ度をすぎた神様扱いに辟易していたらしい。まあ分からなくもないけど。だから俺と会った時どこか不安そうだったんだ。そこで俺は水心子様と会った時のことを思い出した。

    あの時親近感を感じたのはきっと彼らも俺らと同じように悩んだり、傷ついたり、喜んだりするという感情のある生き物なんだ。つまり神様だけど根っこは俺たちと同じということで。これは俺たちの方も意識を改善しなくちゃいけない。一歩引いたままなのはさすがに寂しい。そんな彼の話を聞いて俺は思った。

    教育係としてでは無く俺個人として清麿様と仲良くなりたいと。そう俺は決意すると清麿様に手を伸ばして言う。

    「俺と友達になってください」

    後日談

    「ふむ、春夏秋冬と書いてひととせとよむのか」

    「うん、僕も最初読み方分からなくてそのまましゅんかしゅうとうって読みそうになっちゃった。」

    「人間の苗字とは面白いものだな。」

    父さん、母さん、今俺は天保江戸の派遣員2振りには挟まれています。右に水心子様、左に清麿様。それだけならまだいいんですけど清麿様に紹介したい人がいるからと言われその相手が水心子様で。水心子様にご挨拶をしてそうそう清麿様は水心子様に言いました。

    「水心子、彼が僕達の人間の友達第一号だよ」

    その時の俺の心境は嬉しいやら恥ずかしいやらで。聞けば水心子様も清麿様と同じく神様扱いに辟易していたようで。でも話に聞くと神様扱いと言うよりもちょっと違うようで。聞けば聞くほどにわかると思ってしまった。

    「私もひととせと呼んでいいだろうか」

    「ええ、かまいませんよ」

    「それにしてもあんまり聞かない名前だな。」

    と、そんな会話をしていたら「千尋ちゃん」と呼ぶ声が。俺を千尋ちゃんと呼ぶ相手は限られてくる。俺が見たその視線の先には幼なじみの金糸雀がそこにいた。
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