Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Tears_reality

    @Tears_reality

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 63

    Tears_reality

    ☆quiet follow

    短刀の水心子くんと清麿の話

    短刀の水心子くんと清麿の話「水心子、迎えに来たよ」

    「おかえり!清麿」

    時の政府のとある部屋でそれは起きていた。水心子正秀、源清麿の二振りは天保江戸の派遣調査員だ。今は何回目かの特命調査を終えあとの任務を待つばかりである。他の同位体は既に任務を終え一緒に戦った本丸に迎えられているが清麿とこの水心子は未だここにいる。当初は政府の人間もおかしいと思っていたが清麿が言いくるめたのか今では誰一人彼らについて言う人間はいなくなった。

    清麿が本丸に行きたがらない理由、それは水心子だ。今清麿のそばにいる水心子はバグによって短刀の容姿をしている。その姿はとても愛らしく見るものを虜にするもので清麿としては審神者が水心子可愛さのあまり暴走するのではないかという不安があるのだ。ちなみに清麿はと言うとだいぶマシになった方だ。出会った当初はともかく気持ちを自覚してからはめちゃくちゃ抑えている。猫可愛がりした挙句一週間程水心子にお触り禁止された清麿は見る影もないくらいそれはそれは見るに絶えなかった。

    「清麿、話がある。」

    「何?水心子」

    「この間政府の人間が言ってるのを聞いてしまったんだ。僕がここにいるから清麿は本丸に行かないんだって。それは本当か」

    「…君をここに置いて行きたくないんだ」

    水心子はバグの影響で特命調査から外されているものの政府からは要観察とされている。一回目はともかくそれが何回も繰り返されれば水心子も疑問に思うわけで。姿こそ小さいものの彼らの関係性は親友だ。水心子はこの間の政府の人間が自分たちの話をしているのを聞いて自分が清麿の足枷になっているのではと。なのに清麿はその事を水心子に言わなかった。それは清麿のエゴだ。自分が本丸に行ったら誰が水心子を守るというのだろう。幸い自分の周りにいる政府の人間は良い人間が多いという自負はあるが装っている可能性だってある。そんな不安が清麿は尽きないのだ。

    「清麿、僕は君の足枷になりたくない。僕のことを考えてくれるのは嬉しいけどいつまでもここにいるのは良くない。それに清麿を待ってる人間もいる」

    「水心子、僕のことを気にかけてくれてありがとう。でもここにいるのは僕の意思だから。だから気にしないで」

    清麿の言葉を聞いて水心子は悔しさに手をにぎりしめる。こんなナリとはいえ自分だって刀剣男士だ。なのに清麿はそれを許してくれない。親友なのに。本当の意味で彼の隣に並び立ちたいのに。その日二振りはそれ以上言葉を交わすことは無かった。

    それからしばらくして何回目かの特命調査が行われることになったある日清麿はいつも通り水心子に挨拶に行くと部屋はもぬけの殻になっていて。慌てて政府の人間に聞けば彼も特命調査に出ると。廃棄された世界は危険がいっぱいだ。自分以外の同位体がつくのはわかっていても清麿は気が気じゃなかった。廃棄された世界が開かれるまであと数分。清麿は小さい水心子を探し続けた。もうダメだと思った時だった。彼が現れたのは。

    「何を焦ってるんだ」

    「何って水心子、君どこに行ってたんだい!?探したんだよ」

    「すぐに見つかったら君はまた同じことを繰り返すだろう。僕は君の足枷になりたくない。ならすることは決まっているだろう」

    そう言って笑う水心子はとても頼もしくて。彼が新々刀の祖であるということは自分が一番知っていたはずなのに幼子の姿のおかげで彼にそう言う一面があるのをすっかり忘れていた。小さい水心子と清麿が無事特命調査を終え本丸に配属されるまで後少し。

    「王手!」

    「相変わらずお強いですねぇ…」

    「あいつ、これで何人抜きだ」

    今日も今日とてそれは行われていた。小さい水心子と清麿が配属された本丸の主は現世では将棋を指していて将棋の世界ではそこそこ名の知られた存在だった。当初は主も戸惑っていたが今では主の良いライバルだ。

    「僕が言ったの間違いなかったでしょ?」

    「それとこれは話が違うだろ。強いのは認めるけどよ」

    本丸にいる刀剣男士は知らない。水心子の勝負強さを。当初は水心子も負けていたが今は見る影もない程で。そんな話を肥前としていると勝負を終えたのか水心子が清麿のところに来て問いかける。

    「何の話をしてたんだ?」

    その問いかけに清麿は水心子を抱き上げ言う

    「君がすごいって事だよ。僕の水心子が君でよかった」

    いつも言われる言葉に水心子はふくれるがそれに続く清麿の言葉に嬉しさを感じ水心子も清麿を抱きしめ同じように返す。

    「僕も。君が僕の清麿で良かった。」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works