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    Tears_reality

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    白山くんが無人島で愉快な仲間たちとすごす話

    白山くんが仲間たちと大切なものを見つける話私の名は白山吉光。かつての私は花嫁道具の一つとして元の主に愛されていたが今刀剣男士として歴史遡行軍との戦いに身を投じている。幸い主様は良い主様であまり感情を出すことが得意ではない私を快く迎えてくれ、成長させてくれたのだが主様は私になにか思うところがあったようで。

    「白山、あなたは何かしたいことは無いの?」

    「私は刀、刀は石を持ちません。あなたの好きなようにしてください」

    「好きなようにって。私は貴方のことを刀だなんて思ったことないわ。でもあなたが刀であることは否定しないけど昔ならいざ知らず今は喋れるの!自分の意思でなんでも出来るの!私は貴方のしたい事をして欲しい。いい、欲望というものは果てしないの!あれが欲しい、これが欲しいのは言うのはだれでも出来るけど私が言いたいのはそういうことじゃないの。って事でこれ参加してみない?」

    「刀剣男士のための刀剣男士による無人島サバイバル生活!とある筋から無人島移住の話が来ておりカンストして暇を持て余している刀剣男士、時には本丸から出てリフレッシュしたい刀剣男士、やりたいことがなく悩んでる刀剣男士、ここでは全部あなたの好き放題!そんな夢の生活送ってみませんか?」

    「どう?無人島行ってみない?」

    「それが主さまの命なら私は従うのみです」

    「命令とかじゃなくてあなたはどうしたい?白山?」

    「どうしたい…主様は私にどうして欲しいのですか?」

    「私は貴方にやりたいことを見つけて欲しい。それだけ。」

    「その命令確かに承りました。貴方が私にやりたいことをここで見つけて欲しいというのなら私はそれに従いましょう」

    そうして準備終えてやってきたのは手付かずの無人島。企画の立案者である業者から寝泊まりできるテントと寝袋と当面の生活必需品を貰ったはいいが困ったことがひとつ。テントの場所だ。自分がいいと思ったところに立てればいいと言われたがどこに立てれば。ここは本丸と違って場所によって景色が違う。しばし考えて思い出したのはあるテレビで「住むなら断然日当り良好角部屋」と言っていた言葉。日当たりはテントで得られるかは分からないがとりあえず日が出る位置と角と思われる場所によってテントを立てた。野宿は遠征で少々経験しているがあの時経験した野宿は大違いだ。主様は私たちのすることに何も言わないが一つだけ。生きて帰ってこいと。それ以外なら何をしても構わないと。無論犯罪はダメだが。

    荷物を解き寝袋に入るものの未だに睡魔は私のところに来てはくれない。慣れない環境のせいだろうか。それにしてもやはり冷える。寝袋に入っていても寒さは私を襲ってくる。刀剣男士になって初めて知ったが暑さ、寒さは厄介なものだ。場合によっては倒れることもある。その際は適切な処理が必要だ。寒さを和らげるには暖かいものが必要だ。テントの中にはそれを凌げるものがない。ふと思い出したのはここに来た時に「DIYも生活のひとつだからね」と言われ渡された電子端末、スマートフォンだ。この中に生活の知恵なるDIYのレシピが入っているらしい。スマートフォンの扱いは主様から教えていただいたのでその通りに操作するとDIYのレシピが出てきた。暖かくなるものはないかと検索した結果出てきたものは焚き火。材料は木の枝と石と書いてある。少々不安はあるがやってみないことには始まらないということで私は焚き火を作ることにした。

    それからしばらくして私は焚き火を作ることに成功した。テントの中ではなく外だ。しばらく手をかざして暖をとっていたら見知った顔ぶれがこっちに来ていた。

    「あ、はーくんだ!」

    「白山吉光か!君が来てるとは意外だったなぁ。」

    亜種の源清麿に皇室供物の鶴丸国永。どちらも演練で一度見えている個体だ。なぜ彼らもここにいるのだろうか。私は彼らに問いかけた。

    「猫耳の源清麿と鶴丸国永、あなた方は何故ここに?」

    「僕は老後のセカンドライフのため!」

    「俺も源と同じだ。無人島でサバイバル生活なんてそうそう体験出来ないからな。本丸同様ここでも驚きをもたらしてやるぜ」

    刀剣男士に老後があるかは知らないがそれぞれ目的があるらしい。そう思ったら心が暖かくなったような気がした。理由はわからない。そうして私たち3人の生活は幕を開けた。

    そして無人島生活が1週間をすぎた頃私達はだいぶ島の環境に慣れ始めてきていた。朝は鶴丸と一緒に海を潜り魚を取り昼は草をむしり、夜は夜空を見上げながら卓を囲む。当初鶴丸は全裸で海に潜ろうとしていたので清麿と一緒にそれを止めた。咎めるものは無いとはいえ全裸で海は何かあってからは遅いということで全力で止めていたら管理人からウェットスーツを貰うことが出来た。余談だが夏と冬では着るスーツも違うらしい。それからしばらくしてのこと。

    「白山吉光、源清麿、これを見ろ!」

    「個体名マグロ。スズキ目サバ科マグロ属、その名は食用魚として知られており調理法は数多く存在する。」

    「はーくん、ものしり!」

    「それほどでも。それでそのマグロをどうするんですか。鶴丸国永」

    「決まっているだろう。今晩の夕食にする!」

    「でもまだ僕達料理のレシピは…」

    「源清麿、忘れてないか。俺たちには文明の利器があるということを。ということで今宵はマグロのなんちゃって解体ショーをしようと思う」

    「なんちゃって解体ショー…以前本丸にいた時見たことはありますがあれは素人ができるものじゃありませんよ」

    「あぁ、だからなんちゃってなんだ。見様見真似でやってみようと思う」

    「あなた一人の責任では無いのですよ。」

    「わかっているさ!君たちが万が一食中毒で倒れようものなら各本丸に俺はお詫びという事で君たちの代わりを努めよう」

    「鶴丸さんが僕の代わり…」

    そう鶴丸が言った瞬間源清麿はさあと顔を青ざめる。何を想像したのだろうか。次の瞬間源清麿「変わりなんてしなくていいから鶴丸さんは鶴丸さんのままでいて」と猫耳をしゅんとさせて言う。以前主様は猫は正義!猫は可愛いと言っておられたがこういうことだろうか。私も今度折を見て実践してみようと思う。

    そうして始まった鶴丸国永の見様見真似のなんちゃってマグロ解体ショーは幕を開けた。手順こそあれだがその手際は料理に手馴れたものでものの数時間で解体ショーを終えそして今私達は卓を囲み彼が捌いたマグロを食している。本丸でも何度か食べたことはあるが味はどこか違っていて。今日からしばらくはマグロの生活だ。冷凍庫があるとはいえ生物は腐りやすい。クックパッドでレシピの検索と管理人に言って魚料理のレシピを増やしてもらおう。

    それからしばらくして私の家に茶色くて触覚のある小さな客人が侵入していた。見たことがない生き物だったのでそのまま手を掴んで鶴丸国永と源清麿に見せに行ったところ2振りは信じられないものを見たと言わんばかりに私から距離をとった。

    「鶴丸国永、源清麿、君たち二人に聞きたいことがある。この虫は一体なんだ?茶色くて大きくて追いかけると飛ぶのだが」

    「白山吉光、悪いことは言わない。今すぐ部屋の掃除を勧める。その虫は一匹居たら数万びき入ると言われる代物だ」

    「はーくん、その虫さんはね、台所の黒い悪魔なんだよ。僕も何度かあったことあるんだけど逃げ足がとても早いんだ」

    「くろい悪魔?悪魔にはぜんぜん見えないが」

    「そうだな、そいつを見るとうちの審神者は俺たちを呼ぶか殺虫剤をまくな。ちなみにそいつを退治したら誉が貰える。ただし一発で仕留めることが条件だ」

    「一発で…その方法はどんな方法だ?」

    「えっと僕のところは鶴丸さんがさっき言った殺虫剤もそうだけどスリッパで一思いにするか新聞紙で、ね?後は本体で串刺し??」

    本体で串刺し…この小さな虫を本体で串刺しとは。この体になってまだ私は日が浅い。私も串刺しにできるだろうか。と思っていたら脳裏に好物の焼き鳥が浮かんだ。私は焼き鳥が好きだ。中でも好きなのはネギまだ。焼き鳥には酒が合うが私は酒を禁じられている。以前主様に理由を聞いたところ「酒を飲んだ白山は凶器だ」と言われた。凶器、それは危ないもの。酒を飲んだ時の記憶はないが主様がそういうのならそうなのだろう。その日の夜は焼き鳥をおかずに床に付いた。

    番外編

    にゃん麿お料理大作戦

    「鶴丸さん、はーくん、僕のお願い聞いてくれる?」

    「なんだ?」

    「私に出来ることなら」

    無人島に移住してからしばらく経ったある日の事。朝ご飯を食べていたら源清麿が私達にいったお願いの内容は。

    「僕にごはんの作り方を教えてほしい」

    と言う至ってシンプルな物で。私達はここでは運命共同体だ。食事も一人で食べるよりみんなで食べた方がいいと言うことで食事の時間を合わせるようにしている。その際カンタンな役割分担もしている。私が下拵え、鶴丸国永がクックパッドを見ながら調理をし、源清麿は鶴丸国永が作ったものを皿に盛りつけるというのが私たち3人の食事においての役割分担だ。役割分担は最初から決めていた訳ではなく自然とそうなっていた。本丸では厨に立つことがなかったから敵以外の何かを切ったりすることは新鮮で。それは2振りも同様で。ちなみに鶴丸国永はここに来てメキメキと料理の腕を上げている。今では私達の頼れる人間で言うところのお母さんだ。

    私達が答えなかったのか不安に思ったのか源清麿が不安そうにしている。役割分担が変わることはなんの問題もないはずだ。

    「私として反対する理由はないが」

    「俺もだぜ。でもなんでそう思ったのか教えて欲しいな」

    「あ、あのね、僕料理そのあまり得意じゃなくて…どちらかって言うと食べる専門なんだけど2人が作ってるの見て…その、あの…僕も作ってみたくなっちゃって、盛り付けももちろんたのしいんだけどそっちもやってみたいなって」

    源清麿、大丈夫です。私も普段はそちら側ですがこちらに来てから作る楽しみを覚えました。つまりは私たちを見てこちらもやってみたいと思ったらしい。なんでもやってみようという気持ちは大切だ。やらずに後悔するのは勿体ない。

    「私としては全然構いませんが」

    「俺もそういうことなら力になるぜ。そうだな、まずは何が作りたい?」

    「作りたいもの…うなぎの蒲焼!」

    「うなぎか…材料はあるが肝心のうなぎは…」

    「源清麿、物事には順番があります。まずは簡単なものから始めてみましょう。」

    「簡単なものって言うとそうだな、カレーあたりからか」

    「無難でしょうね。ちょうど材料もありますし」

    「…じゃあ今日の夕食はカレーだな!」

    それから数時間後私達は飯盒炊爨をしていました。鶴丸国永曰くカレーと言ったら飯盒炊爨だろうと。しかもテントまでなんとまあ準備がいい。材料を向きながら鶴丸国永と源清麿を見る。彼らは今材料の下ごしらえをしています。し始めた当初はその手際にハラハラドキドキでしたが今はコツを覚えてどうにかなりました。

    「玉ねぎ、めにしみる…」

    「切り終わるまでの我慢だ。頑張れ」

    それから数時間後「できた!はーくん、鶴丸さんできたよ」という嬉しそうな源清麿の声が。どうやらカレーが出来上がったらしい。今回やったのはキャンプ式だ。本丸に戻った時も同じ方法でやったりしないだろうか。不安だ

    「鶴丸国永、どうして今回はこのような形に、普通に教えればいいだろう」

    「どうしてってどうせやるなら楽しい方がいいだろ。それにこういうのも久しぶりだからな!」

    あぁ、なるほど。何となく言いたいことはわかりました。できたカレーを食べながらお互いの本丸の話や自分の話をする。今食べ物の好き嫌いの話をしている。

    「私は焼き鳥が好きです。1番好きなのはそうですね、ネギまと豚でしょうか」

    「焼き鳥、知ってるよ!串から外して食べるんだよね」

    「そこは人によりけりですね。貴方の好物は?」

    「僕はさんまの蒲焼!秋の秋刀魚は美味しいんだけど高くてなかなか食べれないんだ」

    「年々高くなっているようですからね。鶴丸国永は何がお好きなんですか」

    「俺は、俺はそうだなぁ…俺の好きな物は…食べ物じゃないんだが自分の作ったものを食べてくれる人の笑顔、かな。うちの厨当番は光坊なんだがいつも世話になっているお礼になにかしたいって言ったらなんて答えたと思う?」

    「…燭台切さんならかっこいい何か?」

    「…それも有り得ますね、ですが何か違うような気がします」

    「いい線行ってるぜ、白山。光坊はこう言ったんだ、食べてくれる鶴さんの笑顔だけで僕は幸せだよって、その時は欲がないと思ったがこうして自分が料理する立場になって光坊の気持ちがよくわかったぜ」

    その言葉で私はあることを思い出す。私達は刀だ。刀にとっての価値はそれぞれ違う。みなそれぞれ用途はそれぞれで。以前本丸で揉めたことを思い出した。私は剣だ。それ故に刀派は同じでも距離を置いていた。自分が相手に受けいれられるか不安だった。粟田口は短刀が多い。私以外はみな刀だ。剣の私がと思っていたらそれでも構わないと彼らは受け入れてくれた。その時に長兄である一期一振は私に言った。

    「白山、それでもお前は私の兄弟だよ。それは刀でも剣でも関係ない。もう一度言おう。どんな姿をしていてもお前は私の…」

    不意に何故か恥ずかしくなった。それと同時に少しの寂しさも。そういえばこちらに来てから何の連絡もしていなかった気がする。

    後日とある本丸でインタビューを受けた白山吉光は言う。

    「私はあそこで色々学びました。誰かと心を通わせることはあんなにも楽しいものだとは思っていませんでした。」

    その後無人島に刀剣男士による申し込みが殺到したとかしなかったとか
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