枕営業の話(P秀)「秀、秀、大丈夫か?」
「大丈夫だよ。プロデューサー。そんなに心配しなくても。」
「でもお前…」
「俺だって男だよ、こんなこと…」
なかったことにしたいのに頭のなかに焼き付いて離れないあの光景。プロデューサーが俺に向ける目はとても悲しげで。そんな顔させたかったわけじゃないのに。
「ぴぃちゃん、あのね…」
「先輩…その先は…」
花園先輩を止めようとしたその時だった。プロデューサーが俺の手をとって別室に連れていったのは。
「お説教なら後でいくらでも聞くから」
「そうじゃない。なんでお前はそうなんだよ。」
「必要なことだから。仕事が欲しいって言ってたじゃん」
俺のその言葉を聞いてプロデューサーは深くため息をつくと俺と額を合わせて言う。
「確かに仕事は欲しい。でも俺は秀に笑っていて欲しいんだ。これは俺のわがままだ。この業界にはまあそう言う良くないものもあるけど、俺はお前に光だけ見ていて欲しいんだよ。」
光だけ。言いたいことはわかるけどあんた、俺にそんなこと言えるの。あんただって俺と同じ穴の狢のくせに。プロデューサーは気づいてない。抱きしめるプロデューサーをそのままに俺は心の中で小さく呟いた。
「嘘つき」