同じじゃない(モモシキ)「ねぇ、君は僕と同じなのにどうしてそういられるの?」
どうしてと言われてもオレには答えられない。プロデューサーちゃんに後輩ができると言われて顔合わせをした人達はオレたちと同じ高校生なんだけど割と有名な人達みたいだけどいい人達だと思っていたらももっちに用があるからと言われ逃げられないよう壁ドンされた。逃げられない。
ももっちはとても優しくて穏やかでだからこそ今のももっちは怖くて。っていうか同じってなんの話ッスか。同じ高校生じゃないって言うのはなんとなくだけどわかる。ここは茶化すところじゃない。
ふと顔を上げてももっちの顔を見れば迷子の子供のようで。その表情は先輩たちに会うまでのオレとどこか似ていて。そう思ったらなんかたまらなくなってももっちをハグしてた。ほんとに時々だけどオレ自身もこうなる時があってそういう時は先輩に甘えてる。あの人達はオレにとって光だから。
「伊勢谷くん?」
「大丈夫っすよ。ももっち。ももっちとオレは同じじゃないっす。だって別の人間ですもん。オレ、時々やらかしたり色々やっちゃって凹むんス。そういう時先輩たちのとこに行くと甘やかしてくれるんス。四季おいでって、大丈夫だよって」
「仲がいいんだね、君たちは。」
「5人揃ってHigh×Jokerですから。それを言うならももっちのグループも仲良しじゃないっスか」
「…そう、見えるかな。」
「見えるっす。こないだライブみんなと見に行った時3人ともめちゃめちゃ輝いてたし、とってもかっこよかったっスよ!それにMCのマイクトラブルの時ももっちのマイク故障しちゃってまゆみっちと秀っちが譲りあいして結局3人でひとつのマイクを…あれ、ネットでめちゃめちゃ噂になってたっすよ。」
「えっ、そんなに?」
「ハイっす。だから大丈夫ッスよ。ももっちにはまゆみっちと秀っちとプロデューサーちゃんがいる、一人じゃないっす。」
みんながいれば怖くない。光がなければ声を出せばいい、探せばいい。そうしたらいつかは声の方にたどり着くから。
そうオレがももっちに言うと長いため息を吐いて「本当君には適わないね」って言ってきて。もうそこには迷子のももっちはいなくてオレは安心する。そう考えたら嬉しくなってきた。そこでオレは思い出す。そう言えばまだももっちには言ってなかったッスね。オレはスマホを取り出しある楽曲をももっちに見せる。
「ももっち、これHigh×Jokerの曲ッス。どれもハイパーメガいいんで聞いて欲しいっす。後それともうひとつ。」
オレはそこでとびきりの笑顔を決めて言う。
「ももっちには最高の仲間がいる。それを忘れないで欲しいッス。だから道に迷っても大丈夫ッス。ちゃんと見つけてくれる人がきっといるッス。だから…」
「四季ー、ってえっあ、あの!」
とかっこよく締めようしたら忘れ物をしたのか隼人っちが戻ってきてくれたのはいいんすけど…オレたちを見た隼人っちが「えっとオレたちの四季が何か?」とももっちに話しかけたっす。オレ、今回はなにもしてないっス。誤解しないでくださいッスと思っていたらももっちは隼人っちを見て一言。
「そっか、君たちが彼の居場所なんだね。」
「居場所?なんの事ですか?」
「ううん、何にも。あとこれは今後の為に言っておくけど飼い猫には首輪つけておかないとダメだよ。じゃないと誰かに連れていかれちゃうよ。こんなに可愛い子は特にね」
そう言ったももっちはオレにウィンクを飛ばして事務所から出ていった。後にクラスファーストで百々人の口から語られる可愛い黒猫の話が四季であると言う事が明らかになるのはまた別の話である。