一線。「貴方、どうして被験者になろうと思ったんです?」
…どうして、か。
ここで
私が、貴方に一目惚れしたからです。
貴方のその心を見透かしているような鋭い眼光に惹かれたんです。
貴方のふとした時に見せる寂しげな顔がたまらなく胸を締め付けられるんです。
貴方の可愛いを求めているくせに声やがたいはちゃんと男性なところが憎らしくて愛おしいんです。
貴方の……良いところもだめなところもキモイところも美しいところも…その全てを愛してしまったんです。
なんて言ったら、どんな反応をするんですかね?
…まめねこが可愛いから、ですよ。
「おやぁ!よく分かってるじゃあありませんかぁ!!まめねこ可愛いでしょ〜!?まぁ私ほどじゃないですけどねぇ!?」
博士そういうとこですよ
「はぁ!?私可愛いでしょぉ〜!?ほらこの〜………ッ、………!!!」
駄目だ、やめよう。
こんな感情、表に出しては駄目だ。
この関係性を捨てるくらいなら…
「…大丈夫ですか?〇〇。」
ッ……、は……
…
……ねぇ、博士
「どうしました?もしかして昨日投与した薬が…」
…好きです、とても。貴方のこと。
「……ッ、…。…ありがとう。」
その瞳を覗いて、気づいた。
これは、少しの悲しみと失望。
博士はきっと気づいていた。私の好意も、被験者になった理由も。
その上で、私がこの関係を保ってくれると、思っていた。
……私は、恐らく超えては行けないところを超えたんだ。
…あっ、私、そろそろ帰らないと。それじゃあ博士…ッ、また、次の実験で。
「…えぇ、それでは今日はここまでだ。上がってもらって結構。…お疲れ様。」
最後の挨拶は、いつもよりも覇気がないように感じた。