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    kari

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    kari

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    フィヘミ

    #フィヘミ
    hemi-fihemi

    年末年始だよ!フィヘミ集合!
    今年は和服姿の2人が現実になっているので、お着物シチュもより現実味を増してお送りしております。
    フィがファーショール身に付けてることは自明の理。と、思ってたけど和服の絶妙な落ち着き具合からごりごり粋で男前な格好も良きですわね(?)
    ヘミが袴ブーツではいからさんスタイルだったら…きがくるうかもやんね。

    勝手に年越しは毎年山で初日の出見て過ごしてると決めつけてますが、年々フィのご来光のお供がレベルアップしてくといい。
    ボトルブランデー(回し飲み)→ウィスキーインココア→グリューワイン的な感じで。
    山ほどキャンプグッズ持ってるのに、終わりと始まりの日だけは身ひとつで山に登る男は時々後ろをチラ見して、「今年は何を用意してるのか」予想してこっそり笑う。





    (フィヘミデュエットした)


     汗を飛び散らせながら歌う姿は意外なことに随分と楽しそうであった。頑丈な歯が並ぶ口を大きく開き、身体の芯に届くような低音なのにさらりと聞きやすくもある声が力強い歌詞を紡ぐ。音楽に合わせて掛け合う言葉同士のやりとりは、日常の会話とも文字を通じた交流とも作品の意図を読み取る意思疏通、そのどれとも異なっていた。
     自分のパートを歌えば声が真っ直ぐと前へ伸びていくのを感じる。指先や喉だけではなく、腹から物語を吐き出すのは確かに心地好かった。ましてや、大事な奴とのハーモニーだ。心が満たされていくに決まっていた。
     























    「熱っ!」
     咄嗟に身をひいた動作と強い語気に驚いたのは、フィッツジェラルドだけではなくヘミングウェイ自身もだった。触れられた己の左頬を押さえながら、何が起こったのかわからないといった様子で見開かれた緑の瞳によって、フィッツジェラルドは先に冷静さを取り戻す。伸ばしたままだった右手を一瞥して、もう一度相手に向けるか逡巡するも結局そっと降ろす選択をした。
    「どうした?」
     怯えた野良猫が逃げ出すのを恐れるように、フィッツジェラルドは努めて落ち着いた声を意識して話しかける。未だ動揺した様子が窺えるヘミングウェイはそれでも淡々と告げた。
    「お前、が触れたところが熱かった。まるで焼鏝を当てられたかのように」
     ゆっくりと手を離してみせた皮膚にはなんの跡も、僅かな赤みさえない。
     だが、その日を境にヘミングウェイには誰も触れられなくなった。本人が告げるとおり、彼にとって他人の体温が触れることは重度の火傷を負うことと同義に変わったのだ。
     見た目の変化がなくとも、触診に肩を震わせて男らしく耐えようとする姿に音をあげたのは、隣で待つフィッツジェラルドの方だった。注意深く服の上から肩を抱き、ヘミングウェイの身体を引寄せる。
    「もうやめろ。……すまない、やめてくれ先生」
    「おい、司書が困っているだろう」
     その立派な体躯を診察していた医師達や司書達から隠そうとするように、前に立つフィッツジェラルドをヘミングウェイは嗜めた。2人のうち、苦痛に顔を歪めているのは病を患う方ではない。


     握り締めたフィッツジェラルド手は冷えきっている。しかしあの時からどんな微かな熱であっても、それはひたすらにただの痛みだった。今も確かな感覚をもって右掌が鼓動と同じリズムで焼けていく。酷く青醒めて他人の苦痛を想像しながら怯える男は、ヘミングウェイの手を振りほどこうと必死だ。現実の外傷などなく、目に見える変化すらない当人の言葉だけによる『痛み』をフィッツジェラルドは信じて疑いもしない。
    「離すものか」
     鋭い刺激から出来るだけ意識を反らしながら、キスをするなら今ほど相応しい時はないとヘミングウェイは思った。己の言葉に絶対的な信頼を置いている存在がもたらす温度が、この舌を焼き爛れさせるというのなら何を犠牲にしても味わってみたい。


     


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