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    chiya1918

    @mi_chiya

    @chiya1918昭和5○生まれ、腐歴20余年にしてほぼ初めて少年漫画ジャンルの沼にハマってしまいました。👹は、💎🔥/🍃🔥/🎴🔥/🔥さん右固定がベースですが、リバも大丈夫です。歳食ってる割に不慣れなのでご迷惑をおかけしたら申し訳ございません。界隈の騒動に配慮して、ツィフォロワ限定にさせて頂きました。お手数おかけします、申し訳ございません。

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    chiya1918

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    💎弟×i 🔥、ドi ロラi イ拙作の続きです。現i 代i 軸でハピエン。だいぶ自i 分勝i 手な捏i 造設i 定なのでご注意ください。タイトルの映画(邦画じゃなくて中i 華) が好きで、兄i 弟じゃないけれど、💎さんと弟と🔥さんの関係に置き換えたら💕って思いました。

    #宇弟煉
    udieRefining

    Lovers Vol.2叶わない恋より、二度と出逢えない恋の方がいい。
    身体の内で、命の鼓動が消えていく瞬間、その声と言葉が蘇ってきた。

    「ー…愛してる、」

    20年という短い生涯で、その言葉をはっきりと自分に向けて囁いてくれたのは、彼独りだった。
    もしも自分が生まれ変わったのだとすれば、きっと彼もその筈。
    そう信じて、あの頃と同じ20年間を生きてきた。
    「ー…え?お前誰とも付き合ったことねぇの?」
    「うむ!ー…本当好きな人と巡り合うまでは、誰とも付き合わないと決めている。」
    3歳年上の宇髄天元とは、大学の友人を介して知り合った。
    彼も、そして俺に彼を紹介してくれた不死川や冨岡も、前世では鬼殺隊の同僚だった。
    「は〜ぁ?真面目かよ。勿体ねぇなぁ、お前、顔も性格もイイし、モテんのになぁ。」
    そう言って宇髄は俺の頭をポンポンと撫でる、あの頃も彼にはこんな風に気軽に触れられていた。
    今ならそれが軽いスキンシップだと理解できるが、あの時代には誰かに身体を触れられることなど、殆ど無かった。
    それを、恋情と勘違いするほどに。
    3人の妻を持つ彼にとって、そんな風に抱きしめたり、撫でたりすることは親愛の証でしかない。
    それを理解した時は既に、俺は自分の中で勝手に育てた彼への恋情を打ち消すことが出来なかった。
    離れなければ、気づかれないようにしなければ。
    そんな焦燥感に襲われていた時、ー…「彼」に会った。
    「あ〜、でも同じ理由で、本命作らねぇヤツ、もう一人知ってんな。」
    「ー…ふむ、」
    「ー…あっ、丁度来た。オイ、遅ぇよ!」


    振り返ると、「彼」がいたー。


    「兄貴、ちょっと待ってー…、」
    文句を言いたげな宇髄の傍を通り過ぎて、彼は動けないままの俺の前にやってきた。
    「…?」
    互いを見つめたまま、何も言えずにいる俺と彼を見て、宇髄は怪訝そうな表情をしていた。


    「ー…やっと会えた。」


    あの日、3日目にやっと見えた彼の顔。
    淡い恋心を抱いた相手と、同じ瞳と黒い髪。
    「ー…ずっと、探してた。」
    「俺も…、もう一度君に会いたかった。」
    そう言ったら、彼は苦笑交じりに首を横に振った。
    「アンタが列車事故で死んだって聞いて、それでも、またどこかで逢えるんじゃないかって、思ってー…。そのうち、今度は早く生まれ変わってアンタに逢いたいと思って、死に場所を探して…、」
    言葉の先を聞かずに、俺は腕を伸ばして彼に抱きつく。
    あの日、動くことが出来なくなった身体を抱き上げてくれた強い腕が、俺を抱き寄せた。
    「あの日、君が言ってくれた“愛してる”だけが、俺にとって本物の愛だった。」
    他の誰にも、言われたことはないー…そう囁いたら、彼は俺を見つめてふと微笑む。
    多分きっと殆ど笑わない彼が、ぎこちなく微笑むその表情が好きだった。
    「ー…孤独さえ愛しいと思えるほど、アンタが好きだった…、」


    この世に互いだけ、唯一無二。
    そういう不器用な愛が、2人には必要だった。


    街はクリスマスシーズン、色鮮やかなイルミネーションがいつもと違って見える。
    それは多分、彼が隣を歩いているから。
    「ー…兄貴に、告白されたんだって?」
    彼と再会した夏の終わりに、今更だけど好きだった、宇髄はそう言った。
    俺も好きだった、ずっとずっと昔に。
    そう返すと、宇髄は泣きそうな顔で笑った。
    その昔がいつだったか、何も言わなくても解っているようだった。
    『君なら、きっと…これから1人以上、多分3人の女性と巡り逢って同時に愛せるだろう。』
    美しく強く、可憐な3人の妻を、彼は平等に愛し抜いた。
    『でも俺はダメだ、ー…たった1人しか愛せないし、彼には俺だけを愛してほしい。』
    「ー…君、あの頃、妻はいなかったのか…?」
    ふと気になってそう聞くと、彼は驚いたように眼を見開いて、それからクスクスと楽しそうに笑った。
    「今更それ聞く?」
    「…だって急に気づいたんだ。今までそんなこと、考えもしなかった…。」
    彼はふと静かになって、遠くを見つめる。俺はイルミネーションの淡い光に照らされた横顔を見つめた。
    手の甲で、彼の手に触れる。それに気づいて、彼は俺の手を握って自分のジャケットのポケットに2つの手を入れた。
    「ー…兄貴と同じように、15の時に嫁を娶れと言われた。」
    俯いて、ただ黙って頷く。彼は俺の方は向かずにただポケットの中の手をギュッと離さないように強く握った。
    「後にも先にも、親父に逆らったのはあの時だけだ。ー…まぁ適当に誤魔化して、姿を眩ましただけだけど…、」
    「ー…何故、そんなことを…、」
    思わず顔を上げてそう呟くと、彼は初めてそこで俺を見おろした。
    泣きそうな笑顔に、胸が張り裂けそうになる。
    「全てを話しても、アンタはまだ俺を好きでいてくれるかな…?」
    初めて彼の部屋に招かれたそこで、俺は2人が初めて出会ったあの時代の彼について聞かされた。
    忍び一族に生まれたこと、父親の命令で兄弟姉妹が殺し合い、生き残った強者だけが血を受け継いでいくそういう世界で生きてきたこと。
    「ー…あの時代の兄貴に言われた、…“お前は鬼畜だ”と。天元は、3人の嫁を連れて里を抜け出したー…、俺が殺した兄弟姉妹の墓を立てたと聞いた。」
    忍びの残酷な運命は、あの時代宇髄に聞いたことがある。
    鬼が居ない夜なのに、眠れない宇髄は俺を抱きしめて、自分が殺した兄弟姉妹に懺悔するように涙を流し続けていた。
    思えば、俺が宇髄に恋したのはあの夜だった。
    口づけ以上のことは決してしないと、互いに誓った。
    「アンタに出逢ったのは、親父が死んだすぐ後だ。ー…運命、だと思った。」
    全てから解放されて、殺すことが生きる意味ではなくなった瞬間だった。
    ふいに言葉が止んで、冷たい手が頬に添えられて、俺はその冷たさにビクッと肩を震わせた。
    「ー…恐い?」
    何がとは、言わずにそう聞かれて、俺は首を横に振る。
    顔を上げると、同じ位冷たい唇が自分のそれと重なった。
    あの時、熱に浮かされたあの時も、彼の唇は冷たくて。
    それはまるで灼けるような身体と、渇いていた心を潤すようだった。
    「ー…んっ、ふっ…、はっぁ…、」
    今生では初めてなのに、憶えていた感触に堪らなくなって、夢中で彼の舌を追いかける。
    「あっ、ー…んっ、」
    銀糸を引いて離れた唇は、そのまま首筋に触れる。
    座っていたソファが2人分の体重で軋んだ。
    「本当に怖くない…?あの時代の俺を好きになってくれたのに、俺は人殺しだ…。」
    俺の首筋に顔を埋めて、シャツの襟を指先で弄りながら彼は呟く。
    「ー…異形の鬼を斬ることを生業にする家に生まれたんだ、俺だって大して変わらない…、」
    鬼も元は人間なんだという、少年の言葉が心の何処かから聴こえてくる。
    「でもアンタは弟も親も、大切にしてきただろうー…未熟な隊士達や市井の人間を大勢救った、俺からすればアンタは、決して汚しちゃいけない高貴な存在だよ。」
    顔を上げて、表情を変えない葡萄酒色の瞳が俺を映す。
    俺は黒髪に指を差し入れて撫でながら、苦笑交じりに首を横に振った。
    「少なくとも、俺に、君を裁く権利などないー…、君が何者でも構わない、ただずっと好きだった…俺に分かるのはそれだけだ。」
    前世の罪悪感で眠れない夜があるなら、ただ君のそばに居たい。
    「ああ、…今生でもアンタは俺を救ってくれるんだな…、」
    額を合わせてそっと眼を閉じる、互いの息遣いだけを聞きながら。
    そっと眼を開いて、涙が滲む葡萄酒色の瞳にそっと告げる。
    「ー…お願いがあるんだ。生まれてからずっと、もう一度言ってもらうなら、君からと決めていた…。あの時代、俺はその言葉を生涯で唯独り、君から言われた…ー、」


    言い終わらないうちに、彼はもう一度唇を重ねて。
    口づけの隙間で、そっと囁く。

    「ー…愛してる。」

    長い長い時間をかけて、2人はそれが運命だったかのように恋人同士になれたのだ。

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