Dogma 楽しいと、最後に感じたのはいつだろう。
何もかもに手ごたえがない。何もかもがツマラナイ。
……ずっとこうなんだろうか。
この先ずっと、もう何もかもが味気なく。
遠い記憶のいつかのような、心が震える瞬間は、二度と訪れないのだろうか。
そんなのは嫌だ。嫌だ、嫌だ、嫌だ、から、探さなくては。
もう一度、心から面白いと思えるナニカを。
××××××
「やぁ、リコリス」
「……スノーマン」
高層ビルの屋上で、どこからともなく姿を現した見知った顔に、僕は眼下を走るパトカーの灯りからようやく目を離して彼の通り名を呼ぶ。それに答えるように彼は帽子を軽く上げ、軽い足取りで僕の隣に並んだ。ふわりと、彼の銀に近い白髪が宵闇に揺れる。
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