真の黒幕はだれ?「どうやらお困りのようだね、ブルームーン」
背後から声がかけられる。怪盗ブルームーンはその声が誰のものかもうわかっていたが、その声の主を振り返る。そこには予想通りというべきか、頭から足先まで真っ白な怪盗――怪盗スノーマンの姿があった。
「…………スノーマンか」
「ずいぶんと嫌そうだね。どうして?」
ブルームーンは思わずと言った様子で顔を顰めた。
先ほど彼が言ったように、確かに今ブルームーンは困っていた。無事この無駄に広い豪邸から宝石二つを盗み出し――一つは宝石とは名ばかりの値打ちもなさそうな石だったが――さあ脱出しようというところで、侵入者対策の罠に嵌ってしまったからだ。彼の長い脚は今床板を踏み抜きいて深く突き刺さり、盗んだ宝石は虚しく地面に転がっていた。
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